TrustedDWG

AutoCAD の歴史 ~.dwg から TrustedDWG へ~

AutoCAD は、1982 年に設立されたオートデスクの最初の製品として登場した、MS-DOS上で動作するパッケージ化された CAD アプリケーションです。

AutoCAD は CAD としての必要なベース機能を提供し、さらにカスタマイズできる拡張性( API*= Application Program Interface )を提供した、画期的な製品でした(*API とは、ソフトウェアをカスタマイズするためのインタフェース)。

拡張性のある AutoCAD の登場により、設計ソフトウェアを自社開発する必要がなくなり、時間とコストを大幅に削減できるようになりました。このため、設計に携わるさまざまな業界で AutoCAD が採用されるようになりました。これに伴って、販売、開発、サポート、トレーニングを手掛けるパートナーが増え、さらには AutoCAD を扱える人材確保が容易になったなど、さまざまな要素が相乗効果を生み、AutoCAD が普及していきました。

この結果、AutoCAD のファイル形式である「 DWG 」が世界中で設計図面データの主流となったのです。


AutoCAD とともに普及し、進化してきた DWG ですが、普及と同時に、拡張子が同じでも AutoCAD のそれとはファイルの構造やテクノロジーが違う DWG も出現してきました。

オートデスクの管理していない仕様で作成された DWG です。このような DWG で作られた設計図面を AutoCAD で開く際に、エラーが出たり、データが欠落していたりというケースが発生します。

オートデスク製品を使って作成された DWG ファイルと、オートデスクが開発者に有償で提供する RealDWG を使って作成された DWG ファイルは、構造やテクノロジーが同じためにこのような問題は生じません。

しかし、拡張子が同じために一見しただけでは DWG の違いはわかりません。そこで DWG の違いを区別できるようにしたのが、TrustedDWG です。

TrustedDWG は、オートデスク製品または RealDWG で作成された、信頼できる DWG ファイルです。たとえば AutoCAD LT で作成された DWG ファイルを AutoCAD で開くと、画面右下に TrustedDWG のアイコンが表示され、オートデスクの管理する仕様に基づいて作成された DWG ファイルと判別ができます。

AutoCAD 2007 以降の AutoCAD には TrustedDWG というチェック機能が搭載されています。オートデスク製や RealDWG のライセンスを受けたデベロッパーが開発したアプリケーション以外で作成された DWG ファイルを開く際、注意を促すメッセージが表示されます。

TrustedDWG のチェック機能は、オートデスクがサポート対象にはできないと思われる DWG ファイルを識別し、 AutoCAD および AutoCAD ベース製品との設計データの受け渡しに欠損が生じる可能性を警告します。この機能は、ファイルやデータの不備や欠損を修復するものではなく、そのファイルを使用するかどうかの選択をユーザに委ねるものです。


TrustedDWG ではない DWG ファイルを開くことで、起こりうるケースには次のようなものがあります。

  • 異尺度対応の設定をしたオブジェクトが異尺度対応でなくなってしまった
  • ダイナミックブロックが普通のブロックになってしまった
  • 参照先の情報がない、図面が破損しているなどで、他の人からもらった図面が開けない

※オートデスクでは、Customer Error Reporting という仕組みを用いて、ファイルのクラッシュや問題がどのようなタイミングや環境で発生したのか統計を取り、将来の開発やバグの予防に役立てています。

もし AutoCAD 実行中にエラーが発生した際は、積極的に、AutoCAD エラー報告の画面で問題点を入力・送信してくださいますようお願いいたします。


もし、破損図面を受け取ってしまった場合は、RECOVER コマンド(図面修復)を実行すると、破損図面を修復できる可能性があります。

図面は開けたが、TrustedDWG 警告が表示された場合は、AUDIT コマンド(図面監査)を実行してください。破損箇所のレポートが生成されますので、それに基づいて破損箇所を修復できる可能性があります。