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詳しく解説

Arnold と 3ds Max による自動車のシェーディングとレンダリング

著者:Sina Mehralinia 氏

car rendering with Arnold and 3ds Max

3D アーティストは、次にどんな作業が来るかをまったく予測できません。あるときは非常にリアルな田園風景を作成したかと思えば、次には、長く鋭い爪、トゲのある尻尾、巨大な牙を持つ、悪夢から飛び出してきたような生き物をデザインしたりします。さまざまな異なるものをゼロから作り上げることが多いため、このビジネスでは創造性や細部への注意に加えて、柔軟な対応力を持つことが不可欠です。最適なツールを揃えることが鍵となります。私は一貫して 3ds Max と Arnold を使っています。これらのツールは、私がさまざまなプロジェクトに取り組む際に必要な幅広い能力を与えてくれるからです。これらは 3D ビジュアライゼーションの世界で文字どおりあらゆることができ、しかも学びやすく、使いやすいツールです。

私は独学の 3D アーティストですが、建築分野で AutoCAD と Revit を使用した経験もあります。その後、3ds Max を使って、より複雑な 3D モデルや実物そっくりの 3D レンダリングを作成し始め、今それらの制作プロセスに夢中になっているところです。自分独自の世界を作り上げ、自分のアイデアに命を吹き込み、やりたいことが何でもできることに魅せられました。

制作方法は人それぞれですが、ここでは私自身が 3ds Max と Arnold を使って自動車の 3D レンダリングを制作した手順をご紹介したいと思います。皆さんがご自身で何か魅力的なものを制作するためのヒントになれば幸いです。

プロジェクト

私はよく、広告や VFX のパイプラインでアセットとして使用するのにふさわしいリアルな外観や質感を持ったレンダリングの作成を依頼されます。メーカーが作成した CAD ファイルの形で、詳細な 3D モデルが送られてきます。運が良ければ、いくつかの異なる角度や距離からモデルを撮影した参考写真一式も提供されます。最良の 3D モデルは、自然光で撮影されたものです。通常は、クライアントが求めるムードや調子、全体的な雰囲気などをまとめた指示が渡されます。これらはすべて、プロセス全体を通してさまざまなシェーダー、テクスチャ、ライティングなどを試す際の基準となります。

ルック デベロップメント

私は通常、シェーダーを作成するために 3D モデルをルック デベロップメント シーンに配置しますが、今回は、Speedshape の 3D モデルで作業することに決めました。最初に、オブジェクトを読み込んで Arnold Skydome ライトを追加し、新しいシーンを作成しました。Skydome ライトは基本的に、モデルに向けられた物理的なカメラです。次に HDRI を選択し、Skydome ライトに割り当てました。個人的には、内側で強いライトを当てるのが好みです。

もう 1 つのオプションは、3ds Max のテンプレート機能を使用することです。Skydome ライトを使った新しいテンプレートを作成することができ、必要なすべての設定や UI 機能を後で使用するために保存できます。これはかなり便利だと思います。

自動車の塗装

自動車にはさまざまな表面があり、それぞれ異なる種類の塗装を使用することが重要です。実際、Arnold 5.0.2 では[自動車の塗装(Car Paint)]シェーダーが導入され、自動車の各部分で異なる外観を表現するのが簡単になりました。

  • solid car paint shader

    Solid

    最初の塗装として[Solid]を使用しました。これは、塗装の基本カラー レイヤー(鏡面反射性 0)であり、上にクリアコート レイヤーを持ちます。

  • matte car paint

    Matte

    次に 2 番目の塗装として[MATTE]を作成しました。これは、多少粗い(0.5 以上の)鏡面反射性を持つ基本カラーです。

  • render metallic car paint shader

    Metallic

    3 番目の塗装は、フレークのない[Metallic]塗装です。ほとんどの場合、このスタイルを使用するのは、クローズアップ撮影の心配をする必要がなく、レンダリングの時間を節約したいときです。これは粗さ 0.25 の鏡面反射性を持つ基本カラー レイヤーで、上にクリアコート レイヤーを持ちます。

  • metallic with flakes car paint shader

    フレークのある METALLIC

    次に、クリアコート レイヤーの下に粉状の金属を追加した[Metallic]塗装を作成しました。追加する金属の量、サイズ、種類は、メーカーによって異なります。

  • render pearlescent car paint shader

    Pearlescent

    最後に作成した塗装は[Pearlescent]です。これは[Metallic]塗装と似ていますが、マイカ フレークと呼ばれるセラミック結晶によって光を屈折させ、光の一部を通し、一部を減速させることで、複数の色に分離します。

カーボン ファイバー

炭素繊維強化樹脂(CFRP)は、非常に強くて軽い繊維強化プラスチックです。炭素繊維を生成するには、結晶内で結合する炭素原子がある程度、繊維の長軸に平行に並ぶ必要があり、この結晶配列が繊維に高い体積比強度を与えることで、サイズあたりの強度が増します。数千本もの炭素繊維を綱状に束ねたものを、そのまま使用するか、または織物のように編み合わせて使用します。

carbon fiber shader for cars

目的の効果を得るために、拡散反射光カラーやバンプ用のビットマップを使用しました。

ゴム

タイヤ用には、粗い鏡面やわずかなバンプなどの詳細を表現するノイズ マップを使用して、ゴム マテリアルを作成しました。

傷のある金属

このシェーダーでは、金属を作成し、その表面上の傷に対して法線マップを適用しました。傷のマップを法線マップに変換するには、CS6 以前の Photoshop を使用している場合は、Adobe Photoshop 用の NVIDIA Texture Tools を使用できます。Creative Cloud 以降のバージョンを使用している場合は、Photoshop のフィルター メニューにオプションがあります。

scratched metal in photoshop

プラスチック(車内)

ステアリング ホイールとダッシュボードにはプラスチックを使用しました。実際の自動車の参考写真を何枚か見て、それと一致するよう最善を尽くしました。重要だったのは、バンプに適切なマップを選択し、正しい粗さを使用することでした。次に、同じバンプ マップを使用して、シェーダーのひび割れ部分で鏡面反射光カラーが暗くなるようにしました。

Creating plastic effect in photoshop

レザー(車内)

レザーを作成する手順は、プラスチックのシェーダーとほぼ同じですが、バンプと鏡面反射性を減らし、表面をより滑らかにしました。

Creating leather in photoshop

自動車

すべてのマテリアルを作成し終え、自動車をシーンに読み込む準備が整いました。まず、各シェーダーを割り当て、マップスケーラーのモディファイヤーを使用してそれらのスケールを調整しました。または、トライプラナー ノードでスケール パラメーターを使用することもできます。

次に、自動車のホイール用のシェーダーを作成しました。2 つの異なる金属マテリアルを作成し、先に作っていたゴム マテリアルに追加しました。側壁タイヤのテクスチャには、[Displacement]を使用しました。MaxtoA で、[Displacement]に対して、オブジェクトを選択し、Arnold のプロパティ モディファイヤーを追加します。

クイック ヒント:[Displacement]を有効にし、マップをスロットに割り当てます。

次に、ライトを処理します。ヘッドライトのガラスには、バンプを使用したテクスチャを適用しました。他の部分には、クロームまたはミラーのシェーダーを使用しました。自動車のウインカー用には、オレンジがかったガラスをフロントに、後ろの方向指示器には赤色がかったガラスを作成しました。色の付いたガラスを作成するには、拡散反射させたい色と、その色の明るいバージョンを、透過カラーに追加する必要があります。鏡面反射光バウンスは、作業しているシーンによって異なります。より明るくしたい場合は、[レンダリング設定]の[レイ深度]セクションで、より多くのバウンスを追加します。ここでは、4 で十分です。よりリアルさを増すために、いくつかの基本カラーを追加したことに注意してください。

ライティング

最終レンダリングには、マッチする HDRI とともにバックプレートを使用し、離れた光源によってライティングの影を増強しました。単純に、[環境と効果]の[バックグラウンド]にバックプレートを割り当てました。次に、Skydome ライトを作成し、HDRI を割り当てました。3ds Max のパース マッチ ユーティリティを使用して、カメラのパースをバックプレートに注意深くマッチさせました。また、バックプレートを撮影したカメラ モデルの exif データを読み出し(画像を右クリックして[プロパティ]を選択)、DOF の情報を使用して、より正確にマッチさせました。最後に、自動車の下にプレーンを作成し、シャドウ マットを割り当てて、影を作成しました。後は、求める外観が得られるまで、Skydome ライトの設定を微調整するだけです。

スタジオ ライティングについては、こちらの詳しいチュートリアルをご覧になることをお勧めします。.

Lighting the car with 3ds Max

レンダリング

Arnold でのレンダリングは、ごくシンプルです。最初に、レンダリングとコンポジットの最適化のために AOV を作成します。レンダリングにノイズがある場合は、それらの AOV を使用して、ノイズの原因を見つけます。直接光 AOV にノイズがある場合は、ライト サンプルを増やす必要があります。間接拡散反射光 AOV にノイズがある場合は、拡散反射光サンプルを追加する必要があります。モーション ブラーと被写界深度にノイズがある場合は、カメラ AA サンプルを増やすことができます。

ノイズの除去については、以下の情報が役立ちます。

デノイズ

Arnold には、2 つの組み込みデノイザー、Noice(高品質な最終フレームのデノイズ用)と OptiX(NVIDIA AI テクノロジー)が追加されています。Arnold に統合された OptiX は IPR やルック デベロップメントで使用でき、どの AOV にも適用できますが、ドライバー バージョン 390 以上がインストールされた NVIDIA GPU が必要になります。Noice と OptiX はいずれも、アーティストにもスタジオにも時間の節約に役立つツールです。

OptiX を使用するには、デノイズ対象の AOV を選択し、[Denoise with OptiX]チェックボックスをオンにします。

Noice を使用するには、少なくとも、デノイズ対象のメイン レイヤー(通常は、「Beauty」とも呼ばれる RGBA)と、ピクセル単位の変動を指定する変動レイヤーが必要です。

より良い結果を得るために推奨される AOV は、法線(N)、深さ(Z)、アルベド(diffuse_albedo)です。

非常にリアルな 3D ビジュアルの作成は、適切なツールさえ揃っていれば簡単です。3ds Max と Arnold は、自分が求めるあらゆるものを作成するために必要な柔軟性とコントロールを与えてくれます。これらは簡単に習得でき、多くの組み込みシェーダー、テクスチャ、マテリアル、ライティング、その他さまざまなコンポーネントによって、時間を大きく節約できます。Arnold のワークフローについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの広範なチュートリアルのライブラリをチェックしてください。

3ds Max と Arnold とともにこの記事で紹介したテクニックを使用して、オリジナルの 3D 自動車レンダリングの作成を始めてみてください。無料で配布されているシェーダー パックをダウンロードし、シェーダーを読み込み、自動車のジオメトリに割り当てて、さまざまな異なる外観を試してみましょう。既に 3ds Max のサブスクリプションをご利用中であれば、問題ありません。3ds Max をお持ちでない方は、こちらから無償体験版でお試しください。

HDRI and Backplates from HDRMAPS / Speedshape 3d model by Jeff Patton