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詳しく解説

Arnold と Maya でフォトリアリスティックな CG キャラクターを制作

著者:Aviral Agarwal 氏

デジタルアーティストにとって最も難しいのは、頭の中のイメージを映像に変換することでしょう。考えていること、思い描いていること、感じていることをソフトウェアで正確に表現する必要があります。そのためには、そのプロセスを容易にするツールとワークフローが不可欠です。アーティストの仕事は作品を生み出すことであって、ソフトウェアを使いこなすことではありませんから。

Arnold レンダラーは、私の制作プロセスに欠かせません。私が Maya と Arnold を使い始めたのは、ロサンゼルスのノーマン スクール オブ ビジュアル エフェクツ 在学中のことです。その学校で学び、VFX の達人に指導を受けた時間が、伝統的な芸術の世界からコンピューター グラフィックス へ転向するきっかけとなりました。ルネサンスの巨匠や新古典派アーティスト、20 世紀のイラストレーターに刺激を受け、媒体が何であれ迫力や雰囲気、ストーリーを感じさせる彼らの巧みな技を習得しようと常々努めてきました。今は人体の微妙で繊細な形状とそれを成すさまざまな層を把握し、できる限り本物らしく描こうと、研究を重ねています。そうして習得したリアリズムで見る人の心を揺さぶることが私の望みです。

Arnold を使用すると、頭の中の制作プロセスを実際の画面上に落とし込み、モデリング ソリューション間でイメージを切り替えながら、制作を進めることができます。Arnold なら、スカルプトを大幅に変え、さまざまなテクスチャ マップを試し、適切なエフェクトが得られるようアセットを何度でも微調整することが、最小限の労力でシームレスにできるため、構想を実現するプロセスを純粋に楽しめます。

個々の制作プロセスは、他のアーティストが単純に真似をしてうまく応用するというわけにはいきません。望む結果を得るために、一人ひとりが異なる方法で作業します。ですが、ここでは私自身が Maya と Arnold レンダラーを使用してこのポートレイトを制作した手順をご紹介したいと思います。ぜひこれをヒントに、ご自分なりのプロセスでフォトリアリスティックな CG キャラクターを制作してください。

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基本的形状

私がフォトリアリスティックなスカルプチャを制作するプロセスは、本質的に、さまざまなモデリング ツールを使って人体をできるだけリアルに見せるための事例研究です。イメージを形にしていく工程ではデジタル スカルプト ツールと Maya を使用します。各要素を 1 つのツールでスカルプトし、別のツールでさまざまなテクスチャやライティング、シェーディングを用いて微調整します。

Maya では多数のスカルプト ツールを使用しますが、まずは ZBrush でスカルプトを開始します。最初に、顔を形作るすべての基本的形状をスカルプトし、続いて個人個人の顔の構造のディテールやニュアンスを決める二次的形状へと移り、最後は肌のたるみやしわなどの三次的形状です。基本的形状のスカルプトが終わったら、すぐにそれを Maya に取り込み、モデリング ツールキットを用いてトポロジを整えます。こうして要素を作り、Arnold でテクスチャやシェーディングによってリアルさを加える、という手順を延々と繰り返します。

ジオメトリを Maya に戻すときには、基本的形状をできるだけ ZBrush で作成したトポロジのまま維持するようにします。これにより、手順を効率化しながら Maya でスカルプチャのディテールに手を加えることができます。Maya で加えた編集や微調整は Arnold で直接試して、各要素のディテールが十分なレベルかどうかをすぐに確認。満足のいく結果が得られるまで、統合されたワークフロー内を自由に移動しながら作業できます。

私は主に Arnold の Standard シェーダーを使用します。非常に汎用性が高く、基本的にあらゆるマテリアルを作成できるからです。Arnold 5.0.2 の新しいランダム ウォーク方式の SSS シェーダーは、特に鼻、耳、口、目の周りのくぼんだ部分でディテールを少し際立たせます。これを使用すると、フォトリアリスティックなキャラクターには明らかにふさわしくないロウやプラスチックのような質感がなくなり、実に自然に見えます。

1 つ重要な秘訣を紹介すると、肌の反射率を固定するのがよいでしょう。反射/鏡面反射を分割することが非常に重要です。三次的なディテールは間違いなく効果を発揮しますが、肌の構造を非常に細かいディテールで表現することで、それを超えるレベルを実現する必要があります。

Arnold では、何度でも手順を繰り返せることが成功の鍵となります。

極めてリアルな髪を作成するときには、例外的に Standard シェーダーを使いません。Arnold には、質の高い Standard Hair シェーダーが用意されています。まず、リファレンス ライブラリを探して再現する例を見つけます。Maya の XGen を使用してヘアスタイルを整え、インタラクティブ グルーム スプラインを使用してガイド カーブのスカルプトとデザインを行います。その後、固有のスカルプト ツールおよびクランプ、ノイズ、カットなどのモディファイアを使用して、外観を仕上げます。

私は互いに重なり合う 2 つのジオメトリを使っています。1 つ目のレイヤは強膜と虹彩の組み合わせ、2 つ目のレイヤは角膜と結膜の組み合わせです。続いてすべてのシェーディングに AI Standard Surface を使用します。[拡散]を完全に符号反転し、[SSS ウェイト]を最大に設定すると、ペイントされたアルベド テクスチャによってサブサーフェス カラーが強くなります。[SSS 半径カラー]を、眼球の内側に詰まっている硝子体液の色に近いペール ブルーに設定します。角膜と結膜の外側のレイヤのシェーダーは、IOR が 1.336 の透明のマテリアルです。ジオメトリの結膜部分に影響を及ぼす非常に微妙なバンプ マップも適用して、角膜と対照的に鏡面反射光を分割します。

カラーとライティング

私はポートレイトの外観が好きなので、さまざまなスタジオ ライティングの設定を選んで、多数のエリア ライトによってソフト ボックスとスピード ライトをシミュレートすることがよくあります。Arnold はレイトレーシングに実際のオブジェクトを必要とするため、この画像ではメッシュ ライトを使って目のコースティクスを強めました。Arnold 5 のメッシュ ライトは、前バージョンより実行速度が大幅に向上しているので、楽しく使えます。原則的には、基本的な 3 ポイント ライトの設定を使用しました。リム ライトは髪と耳における散乱すべてを表現します。右のカメラからのキーライト、左のカメラからのフィル ライトもあります。

挑戦してみよう

私はさまざまなモデリング ツール間を行ったり来たりできる環境をとても気に入っています。Maya と Arnold の新しい統合ワークフローは、そうした自由な制作を可能にします。モデルの更新やライティング要素の追加を行ったら、それがどのように表示されるかをすぐに確認できるので、アーティストとしての私の制作プロセスにぴったりです。

Maya と Arnold とともにこの記事で紹介したテクニックを使用して、ご自分でオリジナルのリアルな CG キャラクターを作ってみてください。最新バージョンの Maya と、私が作成した無償の目の 3D データ ファイルがあれば、すぐに始められます。既に Maya のサブスクリプションをご利用中であれば、問題ありません。Maya をお持ちでない方は、こちらから無償体験版でお試しください。