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詳しく解説

Maya の Arnold レンダラーを使って
ボリューム レンダリングを効果的に行う方法とは

著者:Lee Griggs 氏

Arnold レンダラーは VFX 業界やアニメーション業界の大手スタジオで採用されており、映画「ゼロ・グラビティ」や「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー: リミックス」でも使用されました。Arnold では、実際の撮影セットと同じようなライティング手法を使って簡単にシーンをレンダリングできるため、クリエイターはソフトウェアの設定に煩わされることなく、創造力をフルに発揮することができます。

私は個人的に数年間 Arnold を使用して作品を制作しており、実物そっくりのフォトリアリスティックな効果、さらにはスーパーリアリズムやシュールレアリスムといった超現実的で抽象的な効果を活用してきました。私が作品を制作するときには、写真や伝統的な芸術作品がインスピレーションの主な源泉となっています。Pinterest などの Web サイトも、インスピレーションの良い参考になります。コンピューターを使わない時間を作ることも重要です。瞑想したり、公園を散歩したり、一人でコーヒーを飲むことも、アイデアを生み出すのに役立ちます。

Standard Volume シェーダ

最近、私は Standard Volume シェーダを使った新しい手法に挑戦しています。Standard Volume シェーダは Arnold 5 の新機能で、多くの場合は VDB ボリュームに対して使用されます。一般的に、このシェーダは煙、炎、雲などの従来からある効果によく使用されます。しかし、試行錯誤してこのシェーダの可能性を探ったころ、今までに類のない、稠密で面白い形状の視覚エフェクトを生み出す独特の手法を発見しました。私はこの手法を、ボリューム ディスプレイスメントと名付けました。

他のアーティストの皆さんにもボリューム ディスプレイスメントについて共有し、さまざまな創作活動でこの手法を試していただきたいと考えています。私自身、この手法の可能性を探り始めたばかりなのです。また、この手法は Maya、3ds Max、Cinema4D、Houdini、Katana など、すべての Arnold 対応 3D DCC ツールで使用できます。

今回は、Maya と Arnold の組み合わせでボリューム ディスプレイスメント手法を使用し、この画像を制作した過程を詳しくご紹介します。

この画像は、私が以前作成した VDB ファイルが基になっています。手始めに、画像がジオメトリのように見えるまで密度を高めました。この効果によって、抽象的でありながらリアルな外観のボリュームを作成できました。

カメラ投影と被写界深度

ポップなテクスチャを施したかったので、[カメラの投影]ノードを使用し、カメラから有機的なテクスチャ マップを投影しました。私はテクスチャ マップをこつこつと収集しているのですが、有機的なテクスチャ ソースを利用すると従来の CG とはまったく異なる風合いを出せるので、個人的に気に入っています。他のタイプの投影も試してみましたが、私が目指していたレベルの稠密さは得られませんでした。

次に被写界深度を追加して、投影効果を部分的に隠しました。最初はやや不自然に見えましたが、調整を繰り返して、満足のいく結果を得ることができました。個人的には、テクスチャと投影の種類を変えながら調整を繰り返すというやり方が最善だと思います。とにかく、すべての組み合わせを試してみることをお勧めします。試行錯誤を繰り返しても、なかなか成果は得られませんが、最終的に良い結果が得られれば、その苦労は大いに報われるでしょう。出力結果はこのようになりました。海底の景色のように見えませんか。

レンジ シェーダ

今回の画像では、細い巻きひげ状のものが背景に溶け込んでいるような効果を得られたことが、とても気に入っています。レンジ シェーダを使って元のテクスチャの入力値を再マッピングし、ボリューム シェーディング効果をディスプレイス(転移)することで、コントラストを高め、ボリュームに隙間や穴を作り出しました。レンジ シェーダは、テクスチャを操作して元のテクスチャとは異なる予想外の結果を得るために、よく使用されます。完成した画像では、[出力最大値]を 4 に設定しています。これによって、硬い物体のような印象が強まりました。珊瑚のように見えます。

散乱カラーと透明度カラー

このディスプレイスメント テクスチャに色を関連付けようとしましたが、思うような結果が得られませんでした。その代わりに、私は Standard Volume シェーダの散乱カラーと透明度カラーの設定を使用して、色を調整しました。散乱とは、イルミネーション下のボリュームの明るさを示し、散乱される光と吸収される光の比率として表されます。ここでも、望みどおりの効果が得られるまで試行錯誤を繰り返しました。

今回の画像のライティングでは、オブジェクトの縁を透過するバックライトを配置しよう考えていました。私はバックグラウンドに HDRI 光源を 1 つ追加し、透明度カラーの設定を調整して、光がにじみ出るようにしました。

被写界深度を適用しない状態

ボリューム レイ深度

ボリューム レイ深度を使用すると、レイ タイプに基づいてレイ再帰を制限するように設定でき、シーンや画像にドラマティックな印象を加えることができます。ボリューム レイ深度を大きくすることで、ボリュームの内部で光を複数回散乱させることができました。これによって適切なレイの長さが得られましたが、レンダリング時間も長くなりました。ありがたいことに、Arnold RenderView のインタラクティブなテスト レンダリング機能は非常に高速で処理されるため、プロセスをごく短時間で進めることができました。全体として見ると、この手法は十分に試す価値がありました。ボリュームの外観のリアルさが大幅に向上しただけでなく、完成品に近い状態まで仕上げることで、後工程のコンポジティングとクリエイティブ フィニッシングの時間を大幅に短縮できたからです。ボリューム シェーディング ネットワークは可能な限り軽くすることをお勧めします。ボリューム シェーディング ネットワークは頻繁に評価されるため、ボリューム コンテキストのレンダリング回数を考えると、このことは重要です。

挑戦してみよう

もうお気づきかと思いますが、私は実験が大好きです。特に、Arnold レンダラーで何ができるのかについては、色々と試さずにはいられません。私の場合は Maya が最も快適に作業できますが、ボリューム ディスプレイスメントの手法は他の Arnold 対応アプリケーションでも利用できます。

最新バージョンの Maya と、私が作成したボリューム シェーダ ファイルがあれば、ボリューム ディスプレイスメントの手法をお試しいただけます。既に Maya のサブスクリプションをご利用中であれば、問題ありません。Maya をお持ちでない方は、こちらから無償体験版でお試しください。