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スペインの建築家ダビド・ロメロ氏が AutoCAD で現代によみがえらせるフランク・ロイド・ライトの失われた建物

スペインの建築家であるダビド・ロメロ氏は、3D モデリングのスキルをさらに磨きたいと思っていました。建築を専攻していた学生時代からフランク・ロイド・ライトの作品に魅了されていた同氏は、ライトが設計し 1942 年に竣工するも翌年に焼失したローズ・ポーソン邸のモデリングをすることに決めました。ロメロ氏が特にこの建物を選んだのは、現存しないものをかたちにするという目的に 3D ツールが最適だったからです。

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アリゾナ州フェニックスに建てられていたローズ・ポーソン邸のレンダリング。1939 年にライトが設計し、1942 年に竣工したものの、翌年に火事で焼失。暖炉の残り火が近くにあったカーテンに引火したのが原因。画像提供: ダビド・ロメロ氏

初めてのレンダリング作品であるポーソン邸の作業を進めていく中で、ロメロ氏は非常に大きな可能性を手にしていることに気づき、新しい情熱を感じていました。同氏は「Hooked on the Past(英語) 」という建築の歴史を辿る Web サイトを開設しました。現在このサイトには、ライトが設計した E.A. スミス邸、トリニティ チャペル、ラーキン ビルの見事なレンダリングが掲載されています。ロメロ氏はフランク・ロイド・ライト建築保存協会とも密に連携を図っており、また、Wired からニューヨーク・タイムズ紙にいたるまで、さまざまなメディアにも取り上げられています。

フランク・ロイド・ライトが 1958 年に設計したトリニティ チャペル。オクラホマ大学のために設計したが、建設されなかった。画像提供: ダビド・ロメロ氏
5 階建てのラーキン ビルのレンダリング。ラーキン ソープ カンパニーのためにライトが 1903 年に設計し、1906 年にニューヨーク州バッファローにて竣工。1943 年には同社の業績は悪化し、売却を余儀なくされる。ビルは 1950 年に再度売却され、トラック用サービス エリアを建設する目的で解体されたが、サービス エリアが建設されることはなかった。

ここからは、ロメロ氏がこうしたレンダリングを作成する際の AutoCAD の活用方法や作成プロセス、さらには、ライトなら現代のテクノロジーについてこう考えていたはずだ、という持論を語ります。

フランク・ロイド・ライトの作品の図面や写真から、デジタル 3D レンダリングをどのように作成しているのか、詳しく教えていただけますか?

まず、対象となる建築作品に関する情報を、可能な限りすべて集めます。青写真や平面図、立面図、透視図、写真などです。そして、集めた情報をもとに AutoCAD で建物のモデリングを行います。この段階でほぼ完成といってもいいぐらいです。実物の写真やライトが実際に手描きした透視図があると、素材や建物の完成形のイメージが湧いてきますね。

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AutoCAD を使ってフランク・ロイド・ライトが設計したポーソン邸、トリニティ チャペル、ラーキン ビルを再現

それから 3D モデルを 3ds Max に書き出して、光源やカメラ、テクスチャ、それに家具や植栽の詳細を追加します。最後に、でき上がった最終レンダリングを Photoshop で微調整すれば完成です。

これまで作成したレンダリングの中で一番難しかった部分はどこですか?そこをどう乗り越えましたか?

ラーキン ビルのときは、彫刻の作成で本当に苦労しましたし、ポーソン邸のときは、「砂漠の石積み」を模した納得のいく風合いを出すのに長い時間がかかりました。これだけで 1 ヵ月以上作業していたと思います。トリニティ チャペルは、平面図でも立面図でも建物が独特な三角形になっていて、モデリング作業も複雑でした。ライトの作品と完全に一致するまで何度もやり直さなくてはなりませんでした。

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画像提供: ダビド・ロメロ氏
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画像提供: ダビド・ロメロ氏
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画像提供: ダビド・ロメロ氏

なぜ過去に目を向けることが現代建築においてそれほど大切なのですか?

ライトの作品は、私を含め現代の建築家の多くに今なおインスピレーションを与え続けています。その意味で、彼の作品は現代にも通用する過去であると強く思います。一方、私も自分の取り組みが、人類の芸術遺産であり、20 世紀を形成していた一部でもあるライトの作品を保護する必要性を世の中に喚起する一助になればと願っています。ライトの作品は、あまりに身近な存在であるがゆえに、しかるべき形で保護されていないと感じています。ライトが手がけた建築は本当に芸術的な作品です。今では失われたその美しさを私の作品を通じて伝えていきたいです。

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フランク・ロイド・ライトが設計した E.A. スミス夫妻の建設されなかった邸宅のレンダリング。画像提供: ダビド・ロメロ氏

新しいプロジェクトやレンダリングの計画はありますか?

私の ToDo リストはびっしり埋まっています。ちょうど今、ライトが手がけた オコティーヨ砂漠キャンプ(英語)のモデリングを進めています。また、ライトに限らず、他の現代建築家の作品も再現してみたいです。アールトやミース・ファン・デル・ローエ、ル・コルビュジエなどですね。それと、古代ギリシャやローマ帝国時代の古典建築にも興味があります。つまり、初期メソポタミア文明の寺院から現代の建物にいたるまで、探究したい建築はたくさんあります。

フランク・ロイド・ライトが現在の建築で利用されているテクノロジーについて、どんなことを考えるとロメロさんは思いますか?

ライトは天才で時代の先を行く人物でした。テクノロジーをフル活用して建築する方法を知っていて、今日の私たちをも驚かせる作品を残しています。彼が今でも生きていれば、自分の信念を曲げることなく、現代のテクノロジーを斬新かつクリエイティブな形で使い続け、私たちをあっと言わせていたに違いありません。

All components are designed with precision in AutoCAD
画像提供: ダビド・ロメロ氏
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画像提供: ダビド・ロメロ氏
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画像提供: ダビド・ロメロ氏

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