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China Construction Eighth Engineering Division

超高層ビルの建築会社が天津で挑む巨大なチャレンジ

THE FUTURE OF MAKING THINGS ― ものづくりの未来

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Video courtesy of China Construction Eighth Engineering Division

先進的な BIM ツールと工業化建築で根底から変革する、超高層ビルの未来の建設方法

China Construction Eighth Engineering Division (CCEED: 中国建筑第八工程局有限公司) は、世界で最も複雑で最大規模のサステナブルな超高層ビルを建設してきました。Tianjin Chow Tai Fook Financial Center (天津市周大福ファイナンシャルセンター) には、先進的な BIM とプレファブリケーション、工業化建築のプロセスを適用して、LEED ゴールド認証に準拠した印象的な 103 階建ての超高層ビルを建築中。同社は超高層ビルの設計や建築を、コラボレーションに基づいて効率よく、正確に行うための新たな方法を切り拓いています。

超高層ビルの建設コンセプトを再構築

中国最大の建設企業体に属し、環境に優しい建設方法をリードする CCEED は、中国内を含めて国際内な建築サービスを提供するべく 1952 年に設立されました。同社の超高層ビル部門を率いるスー・ヤゥ氏は世界中で 30 棟の超高層ビルの建設プロジェクトを受注しており、そのうち 20 棟が現在建設中です。

建設業界で豊富な経験を持つスー氏は、20 年近く超高層ビルに取り組んでいます。スー氏は当初から、Excel ファイルとモデル ファイル、プロジェクトプランニング ツールを組み合わせる従来の方法では、超高層ビルの建設プロセスは困難なものになると考えていました。「とても課題が多かったので、建設作業中に多くのことを学びました。超高層ビルに関連する、あらゆる技術をできる限り学ぶことにしたのです」と語るスー氏は、300 m を超えるガラス張りの超高層ビル 2 棟を含む、様々なプロジェクトを担当してきました。その経験を生かして、現在はアジアでも最大の、最も画期的な超高層プロジェクトを監督しています。

現場でキャプチャされたレーザースキャン データを確認する Tianjin Chow Tai Fook Tower のプロジェクト マネージャー、スー・ヤゥ氏 [写真提供:China Construction Eighth Engineering Division]

複合施設のランドマークとなる超高層ビルのユニークな特長

CCEED がこれまでに手がけた中でも最大規模となるプロジェクトが、中国北部の海沿いの都市、天津にある全高 530 m の 103 階建て超高層ビル、Tianjin Chow Tai Fook Financial Center です。500 m を超える超高層ビルは同社初の試みであり、その規模だけでなく、ねじれた線や起伏のある曲線が特徴的な、ユニークなデザインも課題となりました。「曲線を使ったファサードを、建造物に連結したカーテンウォールとして使用する超高層ビルのデザインが、近年人気を博しています。ただし、Tianjin CTF の場合はカーテンウォールではなく、内部に実際の構造として建設します」と、スー氏は説明します。

このタワーは、様々な用途に対応する必要があります。39 万平米のスペースに、ショップやオフィス、300 戸の高級アパートメント、350 室からなる 5 つ星ホテルなどを収容することになっているからです。スー氏によれば、このために 100 種類以上の電気、機械、配管システムが必要で、それらを手直しせずに組み合わせる必要があります。高さと難易度に加えて、Tianjin CTF Financial Center プロジェクトは世界的な環境性能評価システムである LEED ゴールドへの準拠も目指していました。

  • Tianjin Chow Tai Fook Financial Center は、風荷重を低減し、構造効率を最大化するよう、先細で曲線的なデザインと空気力学に基づく構造を採用

  • 超高層ビルの多くは直線的だが、Tianjin CTF は内部構造自体が湾曲しており、傾斜の付いた 8 本の柱で耐震性を強化

  • 工場で製造された鉄骨構造用のコンポーネントは、精度を確保するため、レーザースキャナーで測定して BIM モデルと照合

  • 工場で製造された鉄骨構造用のコンポーネントは、工場内で組み立てるには大き過ぎるため、建設現場へ運んで組み立てとインストールが行われた

  • このプロジェクトで採用された先進的な製造プロセスの一環として、コンポーネントは工場から設置まで追跡できるよう、QR コードでタグ付けされた

  • チーム メンバーは計画と進捗を比較し、BIM モデルをアップデートするための写真データをキャプチャするため、毎日ドローンを飛ばした

[写真提供:China Construction Eighth Engineering Division]

BIM モデルで複雑な構造に対応

CCEED は 2014 年に Tianjin Tower の建設準備を開始し、複数の分野で構成された BIM チームを組織して、世界中のデザイナーのグループ、地元中国企業との連携体制を整えました。このチームは 185,000 のモデル コンポーネントにより 1,000 の BIM モデルを作成。チーム メンバーは Revit を使用して、組積パネル、パーティション ウォール、配管シャフト、ドア、設備筐体、その他のアセンブリのモデリングを行いました。MEP システムを収めるため Navisworks を使用して何万ものレイアウトを調整し、Dynamo を使って、カーテンウォール用のパラメトリック デザイン モデルを生成。AutoCAD を用いて、製造用に 4 万点の構造図が出力されました。

膨大な量の BIM データを管理するため、CCEED はクラウドでアクセス可能な独自のプラットフォーム、「EBIM」を開発。BIM モデルの軽量化とモバイル デバイスでのアクセスを実現しました。建設チームはレーザースキャナーやドローンで取り込んだデータを使い、現場でリアルタイムにモデルを更新し、パイプ支持材の精密な配置にはロボットを活用。BIM モデルは、設計シミュレーションや作業者の安全トレーニングで利用される、VR エクスペリエンスの作成にも使用されました。

100 名のメンバーから成る CCEED の BIM チームは、1,000 の BIM モデルを使用してTianjin Chow Tai Fook Financial Center の複雑なデザインのレンダリングを行い、米国や英国、香港、その他の国のデザイナーが、地元の中国企業とコラボレーションできるようにした。 [写真提供:China Construction Eighth Engineering Division]

高度な製造技術で高い精度を実現

このタワービルの建設には、仕様に従って精密に製造された、複雑なコンポーネントが多数必要でした。そのため、CCEED は高度な製造、建築の自動化技術を導入しました。「非常に複雑なプロセスですが、工業化されたアプローチで Tianjin CTF Financial Center の建設に取り組みたいと考えました」と、スー氏。「このような方法で管理することによって、プロジェクトの精度を高めることができます」。

CCEED の BIM チームは、Inventor やその他の機械設計ソフトウェアを使用して、カーテンウォールや鉄骨構造用のコンポーネント、ダクト配管、その他のコンポーネントの構成部品の製造に必要なモデルとコンポーネント リストを作成しました。工場ではモデル データが CNC 工作機械へ入力され、仕様に従ったコンポーネントが正確かつ自動的に製造されます。BIM モデルにすべての部品情報を統合し、工場から現場まで追跡できるよう、各コンポーネントには QR コードが付けられました。鉄骨構造用の膨大な数のコンポーネントを現場で問題なく組み立てられるよう、工場で 3D レーザースキャナーによる測定が行われ、ReCap ソフトウェアを使用してモデルを作成。こうして完成したモデルを分析し、元の仕様との誤差を分析したのち、BIM モデルの更新が行われました。

タワービルの巨大な湾曲構造柱は、工場で仕様に忠実に製造された後、アセンブリのため現場に輸送された。 [写真提供:China Construction Eighth Engineering Division]

当初からサステナビリティに配慮

天津の浜海新区に位置する Tianjin Chow Tai Fook Financial Center は、かつての工業地帯を世界的な貿易と金融の中心地にすることを狙った大規模再開発計画の一環で、ランドマークとして建設されます。複合地域となる浜海新区は、高性能な建築基準、利便性の高い公共交通手段、効率的なパワーグリッド、サステナブル (持続可能) な水管理を含む、環境に配慮した設計モデルとして開発されました。

こうしたサステナブルな都市環境のためのガイドラインを遵守し、さらに凌駕するため、プロジェクトチームは開始当初から LEED ゴールド認証の取得を目指していました。環境に優しい工法を採用し、冷暖房の必要性を削減しつつ、太陽光を最大限に取り入れ視界を妨げない高性能なファサードなど、環境に配慮した設計要素を実現。BIM モデルを駆使して建築コンポーネントを正確に製造し、潜在的な干渉部分を予測することにより、CCEED は建設期間中の廃棄物を大幅に削減しました。また、タワー内の高級ホテルでは 2,000 種類以上の高級素材に代替軽量品を採用するなど、タワー全体で軽量資材を使用することで資源を有効活用しました。

Tianjin Chow Tai Fook Financial Center プロジェクトは、天津の海岸都市、浜海新区の大規模サステナブル開発事業の一環 [写真提供:China Construction Eighth Engineering Division]

未来の超高層ビルの新たな基準

Tianjin CTF Financial Center は 2018 年末までに完成し、中国政府による 10 カ月から12 カ月をかけた検査を経て、2019 年 10 月にオープン予定です。未来の超高層ビル プロジェクトの高い基準を確立したこのプロジェクトは、2017 Autodesk AEC Excellence Award のコンストラクション部門賞を獲得しています。

プロジェクト完了後、CCEED は最終的な BIM モデルを、BIM LOD 500 (Level of Development 500) の情報と共に、ビルのオーナーに引き渡します。LOD 500 モデルは同タワーの建設時の総合的なデータを反映したもので、部品の場所や型番などの詳細情報が含まれています。「これにより、BIMモデルを建設中だけでなく、ビルの長期的なライフサイクルに役立てることができます」と、スー氏は述べています。Tianjin Chow Tai Fook Financial Center で採用された、BIM にフォーカスした工業化建築のプロセスにより、超高層ビル プロジェクトに対する CCEED のアプローチは全く新たなものになりました。同社は Tianjin CTFで得た経験を、インドネシア ジャカルタの 111 階建て超高層ビルなど、新しいプロジェクトに生かしています。

“このプロジェクト以前は、デザインと建設、材料の購入は全て異なるプロセスでした。それが今では全てが単一の BIM プラットフォームにまとめられ、お互いに調和してコラボレートしています。”

スー・ヤゥ氏
(China Construction Eighth Engineering Division プロジェクト マネージャー)

世界中で建設方法を一新

スー氏は、建設業界の将来的なトレンド、新たな革新技術の波は、建築の自動化とコネクテッド BIM だと考えています。コネクテッド BIM は、プロジェクトデータの新たな取得方法とクラウドのパワーを統合して、設計、建築、運用プロセス全体で新しいインサイトを獲得します。さらにスー氏は、BIM を GIS (地理情報システム) で強化し、BIM モデルにリアルタイムの位置情報を提供したいと考えています。「Tianjin Chow Tai Fook Financial Center には、既に最新の GIS 技術を導入しています。それによって、この種の技術トレンドを将来的に導入するための基礎作りを行っているのです」。

Tianjin CTF Financial Center は、より大規模で、さらに複雑化する未来の超高層ビルの始まりに過ぎません。これはスー氏とそのチームが、中国初となる高さ 1 km 以上のビルを建築するための基礎となるのです。「このアプローチは中国だけでなく、世界各地で建築物や超高層ビルを建設する方法を変えるでしょう」と、スー氏は語ります。先進的な BIM とプレファブリケーション、自動化技術を駆使して、CCEED は世界中で次々と超高層ビル建設に取り組み、ビルの建設方法を画期的に変化させています。

Tianjin CTF Financial Center の詳細な BIM モデルは、建築自動化プロセスによって工事の合理化をサポートするだけでなく、ビル完成後の保守と運用にも活用可能 [画像提供:China Construction Eighth Engineering Division]

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