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Claudius Peters 社

重機械製造メーカーがジェネレーティブ
デザインを堅実に導入

ものづくりの未来

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画像提供: LimbForge

新しい製品開発テクノロジーが 100 年の歴史を持つ企業を製造の未来に導く

Claudius Peters 社は創業 113 年のバルク材加工装置製造メーカーです。21 世紀に対応するデジタル企業への転換を進めています。ジェネレーティブ デザインはこの変革の鍵であり、製品の設計と最適化に取り組むための画期的な新しい方法を提供します。このテクノロジーでは通常 3D プリンティングを用いますが、同社はこれを従来の製作方式に取り入れ、価格志向の産業市場に対応した、コスト効率のより高い製品を生み出しています。重工業におけるジェネレーティブ デザインは、資材、燃料コスト、リード タイムの削減を促進し、変化する時代の中で Claudius Peters 社の競争力をさらに高めています。

変化を受け入れる伝統的な企業

ドイツの製造メーカー Claudius Peters は、「重工業」という言葉が示す典型とも言える企業です。セメント、鉄鋼、石膏、アルミニウム産業向けの大型工業機械と加工設備の生産を行っています。「我々はバルク材を専門に扱う企業です」と Claudius Peters 社(以下 CP)業務部長、Thomas Nagel 氏は言います。CP は、ハンブルク(ドイツ)の本社に加え、南北アメリカ、ヨーロッパ、アジアに 12 の支社を展開しています。

1906 年の創業から 100 年以上に及び、運搬機、格納庫、粉砕機など、大型の資本集約型産業製品を製造してきました。その由緒ある歴史に固執することなく、Nagel 氏は最高デジタル責任者として尽力し、CP はデジタル イノベーションの世界的なリーダー企業としての評価を確立することができました。Claudius Peters 社は、コスト、品質、納品期間、顧客満足度に関するビジネス成果を向上させるという目標を掲げ、2014年にイノベーションの取り組みを開始しました。しかし、21 世紀の競争に勝ち残るためには、新しいソフトウェアだけではない取り組みが必要であることに気づきました。CP は 2018 年にアジャイル企業への転換を開始し、新しいデジタル スキルと、設計の思考、実験、反復を重視する企業文化が必要とされるようになりました。

Claudius Peters 社業務部長兼最高デジタル責任者、Thomas Nagel 氏。ドイツ、ハンブルク近郊ブクステフーデの本社にて。

イノベーション ジャーニーの開始

Claudius Peters 社のイノベーション ジャーニーにおいて、オートデスクのようなテクノロジー パートナーとの連携は必要不可欠です。CPでは、BIM 360(英語) などの新しいツールを導入し、販売、エンジニアリング、設計、製造、組み立てにわたるプロセスを連携させています。また、Inventor と有限要素法(FEM)解析を使用して製造プロセスを合理化する新しい方法を見出しました。CP では、装置の設置に ReCapNavisworks による 3D リアリティ キャプチャの使用を開始しました。顧客の設備施設のデータをキャプチャして、そのファイルをドイツのエンジニアリング チームおよび設計チームにすぐに引き渡すという方法をとっています。「これにより、より高い品質で、かつコストを抑えて迅速に業務を行えるようになり、顧客満足度の向上につながっています」と Nagel 氏は語ります。

「しかし、当社のイノベーションはそれにとどまりませんでした」と加えます。Fusion 360 のジェネレーティブ デザインのデモから刺激を受けて、この新たなテクノロジーを習得できるよう、Nagel 氏は CP のチームのために 4 時間のワークショップを設けました。

オートデスクのジェネレーティブ デザイン ソフトウェアでは設計の目標や制約に対応し、設計ソリューションの可能な代替手法を探り、さまざまなオプションをすばやく生み出します。チームは、いくつかの標準部品を試したのちに、セメント産業向けの CP の中核製品であるクリンカ冷却装置の部品の最適化にジェネレーティブ デザインを使用することに決めました。

既存のクリンカ冷却装置の部品を Claudius Peters 社のチームとともにレビューを行う Nagel 氏(写真右)。

クリンカ冷却装置とは

セメント産業は Claudius Peters 社初期からの主要産業です。セメント製造会社は粉砕された原料石を混ぜ合わせて 1,450°C (華氏 2,640 度)に及ぶ高熱窯で処理し、「クリンカ」と呼ばれる小石大の粒状の塊を作り出します。焼塊となったクリンカは 50 x 25 メートル(164 x 82 フィート)の巨大なクリンカ冷却装置に送り込まれます。クリンカは、冷却装置の中を移動し、空気冷却によって約 100℃ (華氏 212 度)ほどになります。その後、粉砕され、他の材料と混ぜ合わされてフォームセメントとなります。

CP は 1950 年代初めからセメント産業へのクリンカ冷却装置の提供を開始し、その後 60 年以上にわたり 700 機を超える装置を生産しています。しかし、クリンカ生産には莫大な燃料が消費されるため、セメント産業は世界でも二酸化炭素を最も大量に排出する産業の 1 つに数えられるようになりました。

2000 年代の初めに CP はエネルギー節約に向けた次世代のクリンカ冷却装置 ETA Cooler の開発を開始しました。ETA Cooler は、省エネを示すギリシャ文字の「η」(エータ)にちなんで名付けられています。「ETA Cooler の最大のメリットの 1 つとしてあげられるのは、極めて優れた熱効率です」と Nagel 氏は述べます。「このエネルギー節約は、セメント生産が与える環境へのマイナス影響の軽減に役立てることができます」現在、CP の主要ビジネスは、既存のクリンカ冷却装置から ETA Coolers へと代わり、セメント工場の効率を高めています。

スイスの Holcim Untervaz Cement Plant の ETA Cooler は、巨大な装置でサッカー場の半分ほどの大きさがあります。画像提供: Claudius Peters

ジェネレーティブ デザインが生み出す驚きの結果

CP は、ETA Cooler のある部品の最適化にジェネレーティブ デザインを使用することを決めました。これは重い金属の部品で、余分な材料を除去するため従来の設計方法で最近再設計されていました。各冷却装置にはこの部品が 50 ~ 60 個あり、焼成されたクリンカを ETA Cooler 内で移動させる一連のコンベア レーンにボルト留めされています。「この成形ピースは何度も繰り返し最適化されてきました」と CP の設計エンジニア、Maximilian Lerch 氏は語ります。「目標は、軽量化と、その分の金属のコストを削減することでした。少しの重量最適化でも、大きな成果を得られるためです」

「エンジニア全員がコンピュータの画面の周りに集まり、ジェネレーティブ デザインを食い入るように眺め、ほとんど何もない、制約のみの状態から最適化された優れた部品を作成する光景は、本当にすばらしいものでした」と Lerch 氏は続けます。「最適な方策に至るまでに必要な反復はすべてソフトウェアによって行われます」

ジェネレーティブ デザインを使った 4 時間のセッションののち、チームは最初の結果を手にしました。「私たちはこれを「エイリアン パーツ」と呼びました」と Nagel 氏は言います。「その結果に驚かされました。自分たちの最適化部品とどうしてこうも違うのか。そして 30 ~ 40% も軽い」

元の ETA Cooler 運搬部品(左)、従来の最適化部品(中央)と著しく異なる、ジェネレーティブ デザインの最初の結果によって生み出された「エイリアン パーツ(右)。

ジェネレーティブ デザインが生み出す驚きの結果

CP は、ETA Cooler のある部品の最適化にジェネレーティブ デザインを使用することを決めました。これは重い金属の部品で、余分な材料を除去するため従来の設計方法で最近再設計されていました。各冷却装置にはこの部品が 50 ~ 60 個あり、焼成されたクリンカを ETA Cooler 内で移動させる一連のコンベア レーンにボルト留めされています。「この成形ピースは何度も繰り返し最適化されてきました」と CP の設計エンジニア、Maximilian Lerch 氏は語ります。「目標は、軽量化と、その分の金属のコストを削減することでした。少しの重量最適化でも、大きな成果を得られるためです」

「エンジニア全員がコンピュータの画面の周りに集まり、ジェネレーティブ デザインを食い入るように眺め、ほとんど何もない、制約のみの状態から最適化された優れた部品を作成する光景は、本当にすばらしいものでした」と Lerch 氏は続けます。「最適な方策に至るまでに必要な反復はすべてソフトウェアによって行われます」

ジェネレーティブ デザインを使った 4 時間のセッションののち、チームは最初の結果を手にしました。「私たちはこれを「エイリアン パーツ」と呼びました」と Nagel 氏は言います。「その結果に驚かされました。自分たちの最適化部品とどうしてこうも違うのか。そして 30 ~ 40% も軽い」

  • セメント製造プロセスでは、焼成されたクリンカが高熱窯から ETA Cooler へと移されます。その量は、1 日あたり最大 13,000 メートル トンに及びます。

  • クリンカはコンベア レーンで ETA Cooler に移され、焼塊は 100°C (華氏 212 度) 前後に空気冷却されます。

  • 各 ETA Cooler には約 60 個の運搬部品があり、焼成されたクリンカを冷却装置内で移動させるためのコンベア レーンに配置されています。

  • 元の運搬部品(左)は 2016 年に再設計されたもので、14 機のクリンカ冷却装置に設置され、実績もあります。

  • ジェネレーティブ デザインに基づいた新しい部品設計(右)は元の部品よりも 50% 以上軽く、材料費とエネルギーの大幅な削減を実現しています。

  • レンダリングは、元の重い幾何学的な設計(上列左端)からジェネレーティブ デザインとリバース エンジニアリングの反復に至るまでのクリンカ部品の進化を示しています。

画像提供: Claudius Peters

ジェネレーティブ デザインによる部品を従来の製造に適用

Claudius Peters 社の懐疑的に思ったエンジニアは、「エイリアン パーツ」について計算と FEM 解析を行い、この部品が従来の最適化バージョンの部品よりも効果的であることに驚きました。チームはこの設計の解析を開始し、どのように製造するかを調べました。「ジェネレーティブ デザインでは、通常、3D プリンティングか その他の積層造形法を使用して製品を製作します」と Nagel は言います。「私たちの業界では、3D プリンティングによる部品は使用しません。コストがかかり過ぎます」しかし、ジェネレーティブ デザインと従来の最適化のアイデアを使用して、「部品のリバース エンジニアリングには 1 週間しかかからず、従来の製造方法で作成できるようになりました」

Inventor と FEM 解析を使用して、チームは Claudius Peters 社の鋳造技術によるさまざまな製作方法をテストしました。「成形部品から、レーザー切断したプレートと溶接による方策に移行することに決めました」と Nagel 氏は述べます。「この部品をさらに 25% 軽量化し、より速く、コスト効率よく製作できるようになりました」チームは、運搬部品の設計オプションの研究を続け、改善とより一層のコスト削減のさらなる機会を探っています。「間もなく、生産に乗り出す見込みです」と Nagel 氏は続けます。「1 年以内にこの部品が世界のどこかで使われると思います」

ジェネレーティブ デザインから得たアイデア、従来の設計、鋳造のインプットを生かしてリバース エンジニアリングされた新しい運搬部品のプロトタイプを、溶接工が製作します。

ジェネレーティブ デザインのメリットの相乗効果

最終的に、ジェネレーティブ デザインによる CP の部品は、この部品を設置したクリンカごとに大幅な経費の節約をもたらします。運搬部品の重量が約 20 キログラム(44 ポンド)減ると、部品あたりで 約 100 ユーロ(113 米ドル)の節約が見込まれ、各冷却装置の部品数で 60 倍以上になります。さらに、重量が軽くなると輸送にかかるコストも安くなります。「開発した最初のプロトタイプから、ジェネレーティブ デザインは、製品コストの改善と競争力の強化に役立つと信じていました」と Nagel 氏は述べています。

ジェネレーティブ デザインは優れた持続可能性も実現します。「インドまたはトルコの鋳造工場で成形される重い部品から、ここの作業場でも行える溶接設計に移行できます」と Nagel 氏は言います。「材料、エネルギー、輸送時間、その他の環境へのマイナス影響が減ることになります」

現在、Claudius Peters 社では、ジェネレーティブ デザインが既存部品の最適化または新部品の設計の標準プロセスになりつつあります。「将来的に、最適化と材料削減を行う部品をさらに見つけていきます」と Nagel 氏は述べています。「部品ごとに、ジェネレーティブ デザインによって同様のメリットが得られるかを検討していきます」

設計エンジニア、Maximilian Lerch 氏は、従来の製造方法で製作できる、ジェネレーティブ デザイン部品のリバース エンジニアリングに取り組んでいます。

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