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カラバンケ トンネル プロジェクトにおいて BIM/CIM を活用する Elea iC 社

導入事例

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ASFiNAG 社と DARS 社(オーストリア共和国・スロベニア共和国の道路建設会社)は、オーストリアとスロベニアを結ぶ全長 8 km の双方向交通用単設トンネル、カラバンケ トンネル プロジェクトにおいて、第 2 トンネルの設計のサポートに Elea iC 社を起用しました。

カラバンケ トンネルは元々、双設トンネルとして設計されましたが、交通量が少なかったため単設トンネルとして建設されました。開通後、交通量の増加や支柱の劣化、安全対策の欠如などの問題が浮上し、今後の効率的なトンネル運営には、第 2 トンネルの開設が必要であることが明らかになりました。

プロジェクトの目標:BIM/CIM の試験導入

プロジェクトの目標は、BIM/CIM を使った手法の体系的な導入、および以下に挙げるような BIM/CIM に関連する活動の計画、実行、管理を通じた利点と課題の調査でした。

  • 顧客が今後のプロジェクトでも使えるような、包括的な発注者情報要件(EIR)の作成
  • 顧客が今後のプロジェクトでも使えるような、包括的な BIM/CIM 実行計画書の作成
  • 3D モデリング(設計および現況モデル)、4D および 5D モデリング、モデルベースの品質管理
  • 地質学的、地質工学的モデリング
  • 運用段階におけるモデルの活用
  • 既存の CAFM(コンピュータ支援施設管理)システム開発の促進
BIM/CIM によるトンネルのビジュアライゼーション

およそ 190 の部分モデルをさまざまな分野間でやり取りし、IFC および BCF 標準を採用した 5 つのコーディネーション モデルで調整を行いながら、多分野のコラボレーションを実現している

プロジェクト固有の課題

このプロジェクトの特徴的な点はプロジェクトの対象範囲が複雑なことで、トンネルや高速道路、複数の一般道、3 つの橋梁、擁壁構造物、トンネル入口の建物、関連施設、土砂廃棄エリアが含まれます。また、複雑な組織体系(顧客企業 2 社、監理企業 1 社、設計企業 10 社が現在 BIM/CIM 設計プロセスに携わっている)に加えて、さまざまな BIM/CIM ソフトウェア(5 つの異なる設計ツール)がプロジェクトで使用されている中、チームは OpenBIM を用いたアプローチの限界に挑戦することに意欲を燃やしています。 

アプローチ

各分野の作業においては、設計プロセスの効率を最大限高めるためにクローズド BIM/CIM の手法を用いています。BIM/CIM の成果物の相互運用性を高め、品質を確保するために、既存の IFC 標準に基づいたトンネル データ構造を構築しています。これにより、BIM/CIM での高度な応用(4D/5D モデリングや CAFM など)が可能になります。

トンネルのような長くて複雑な構造物のモデリング特有のニーズに応えるため、RevitDynamo のスクリプト機能や専用アドオンと連携させながら活用しています。これにより、長手方向の長いセグメントのモデリングと詳細設計を効率化することができます。

異なるソフトウェア ソリューション間(設計チーム、監理会社、施工会社)で 4D および 5D モデルをやり取りするうえで生じるもう一つの課題には、相互運用性に対するカスタム ソリューションで対処していきます。

計画と予備設計

チームは顧客の特殊なニーズ(運用段階におけるプロジェクト情報の活用、投資の透明性、プロジェクト管理の向上など)をより良く理解し、プロジェクト全体の開発プロセスを改善しました。要件の分析によりプロジェクト全体の開発計画を改善し、包括的な BIM/CIM 実行計画書をまとめました。

設計初期段階で BIM/CIM を用いることで、設計をビジュアル化し、プロジェクト関係者全員に伝えることができました。(オーストリア、スロベニア各国の座標系と地域の座標系の計 3 種類の異なるプロジェクト座標系に散在していた)施設、地質、インフラすべての計画を単一モデルに統合した、初の試みとなりました。この段階で初期の数量拾いと予算の見積もり(4D および 5D モデル)が作成されたため、プロジェクトを深く理解することができました。

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BIM/CIM プロジェクト モデル

統合モデル

トンネルの構造モデル

詳細設計

チームは常に品質管理チェック(部分モデル間の不一致の特定、設計変更の評価、設計変更の伝達と反映)を実施し、プロジェクト ドキュメントの統一にも努めました。また、補強部の詳細設計に構造モデルを使用することで、複数の設計者が補強部のモデリングを同じモデルで同時に行えるようになったため、時間の節約にもつながりました。

  • モデルベースのコミュニケーションに BCF 標準を採用し、コラボレーション過程での設計変更や設計開発の他分野のモデル(そして結果的に、モデルから生成される図面)への反映を効率化。
  • アプリケーションから 5D モデルを生成。160 の部分モデルを用いて、他の設計分野から提供された数量をダブルチェックし、より正確な予算見積もりを作成。
  • 各種レポートやスプレッドシート、シミュレーションを用いて予算見積もりを顧客に提示。
  • 正確な 3D モデルをプロジェクト開始時から使用することで、保守サービス会社が設計ソリューションに関する意見を提出し、利用可能な設備に合わせて設計を最適化。

統合解析とシミュレーション

3 種類の異なる座標系で作成された部分モデルを Autodesk Navisworks Manage ですべて統合し、各要素を Microsoft Project で作成したスケジュールにリンクさせることで、アクティビティの時系列を解析、最適化するのに役立つ包括的な 4D モデルを作成することに成功しました。そのメリットは、プロジェクト チームがスケジュールを可視化し、改善案のためのコミュニケーションを図ることが可能になった点です。

同時スケジュールと部分モデルを使って RIB iTWO で 5D モデルを作成し、予算見積もりの解析を行いました。3D 地質モデルと Revit で作成したトンネルのモデルを組み合わせることで、トンネル掘削と支柱の設置に必要な 3D 数値解析の基礎データにできます。さらに、社内のプログラム コードを開発することで、地質モデルと数値モデルの直接的なやり取りが可能になりました。

BIM/CIM プロジェクト モデル

コミュニケーションとコラボレーション

社内のコラボレーション(クローズな BIM):Revit を設計ツールとして使用している社内の部門間では、Revit Server を用いています。コミュニケーションとモデル共有が統合されたおかげで、複数のモデル作成者が同じモデル上で同時に作業できるようになり、社内の調整と設計開発が効率的になります。

異分野間のコラボレーション(OpenBIM):IFC および BCF 標準を使用して、分野間でモデル共有を行っています。その理由として、現在 10 社の設計会社が設計開発に携わっており、さまざまな設計ツール(RevitCivil 3D、Allplan、ArchiCAD、Urbano)が使用されていることが背景にあります。分野間でファイルのやり取りや、IFC 参照モデルや BCF を設計ツールやコーディネーション モデル、4D/5D モデルにリンク(同期)させる作業には、共通データ環境(ownCloud や BIM Collab)を使用しています。その他のあらゆるドキュメント(図面やレポートなど)も同じプラットフォーム上で交換、保存しています。

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トンネルの既存部分のスキャンに LiDAR を使用することで、今後の掘削、削正、埋め戻しの要件を解析できました。LiDAR の生データは他にも、正確なサーフェス モデルの作成に使用されました。さらに、AR(拡張現実)技術をトンネル内に導入して、周囲の地形の理解に役立てました。

VR モデルを活用することで、複数の主要な関係者と効率的なコミュニケーションを図ることができました。安定したクラウドベースのソリューションのおかげで、どこにいても直ちに設計ソリューションを使用でき、データ転送速度も十分です。施工段階の掘削作業中も常にモデルを更新していき、将来的なニーズに備えてあらゆる現場情報を 1 つのモデルに集約します。


成果物

従来のプロジェクト成果物(図面、技術レポートなど)の他にも、以下の BIM/CIM 成果物が納品パッケージとして含まれます。

設計段階

  • BIM/CIM 実行計画書(BEP)
  • IFC 標準フォーマットで作成された部分(分野別)3D モデル
  • コーディネーション モデルと品質管理チェックレポート
  • 各種スプレッドシート、レポート、シミュレーションを用いた 4D/5D モデル

施工段階

  • IFC 標準フォーマットで作成された現況モデル、および施設管理に必要な関連現況ドキュメント(現況データの中央保管場所)
  • コーディネーション モデルと品質管理チェックレポート
  • 施工会社と監理会社が進捗報告と管理に使用する 5D モデル

モデリング プロセスと成果物において、BEP に沿って課される主な要件の 1 つに、詳細レベル(LoD)と情報レベル(LoI)の一貫した定義が挙げられます。顧客(監理および設備管理部門)の協力のもと、トンネルの要素の分類と属性表を作成し、プロジェクト固有の特殊な IFC プロパティ セットのモデルに実装しました。属性表は、プロジェクトの発展に伴ってさらに進化させ、モデルに組み込んでいきます。

結果

  • 設計ドキュメント(モデル、図面、数量明細書、予算見積もり、スケジュール、進捗レポートなど)の一貫性と正確性
  • プロジェクト関係者間のコミュニケーションの改善(共通データ環境、モデルベースの改訂、ビジュアライゼーション、モデルベースのコミュニケーション)
  • 予算見積もりと管理の改善、施工テクノロジー(手順説明)の最大活用、施工の進捗と現場における変更の管理、施設管理プロセスの最適化

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イノベーションで創造の未来へ

Architecture, Engineering & Construction Collection(AEC コレクション)があれば、建築設計、土木インフラ、建設・施工向けの統合ツールセットとパワフルなワークフローを利用できるようになるため、さらなる生産性の向上が期待できます。

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