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MQDC

サステイナブルなイノベーションによって「とびきり居心地よい場所」を構築するバンコクの開発者たち

ものづくりの未来

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画像提供: Magnolia Quality Development Corporation

サステイナビリティ(持続可能性)とコミュニティによって居住者のつながりを生み出す都市住宅の革新的な概念

不動産開発会社 MQDC は、バンコク都心部の WHIZDOM 101 複合施設によって、サステイナブルなスマート シティというコンセプトをタイにもたらしました。この複合施設の開発では、居住者がより健康的な充実した生活を送ることができるよう、職場、住居、社会的な「サードプレイス(第 3 の場所)」の調和を目指しました。持続可能性と居住性という野心的な目標を達成するためにビルディング インフォメーション モデリング(BIM)技術を使用し、賞も獲得したこのプロジェクトは、地元タイの設計者、エンジニア、:建築施工会社、サプライヤーが最新の手法を取り入れ、デジタル建築プロセスを導入する機会をもたらしました。

コミュニティが持つ重要性

タイのバンコクは、魅力的な食べ物と文化、観光客に優しい市場や宮殿、楽しいショッピング、活気あふれるナイトライフなど、世界有数の観光地の 1 つです。しかし、居住者は、社会的孤立、緑地の少なさなど、他の大都市にもよく見られるさまざまな都会特有の問題にも直面しています。

Magnolia Quality Development Corporation (MQDC)社は、タイを拠点とする不動産開発会社です。同社は、潜在的な住宅購入者が望んでいるのは単なる集合住宅ではないと考え、WHIZDOM 101 と呼ばれる 17 エーカーの広さを持つ統合型キャンパスを作りました。同社は、社会学者のレイ・オルデンバーグが 1989 年に出版した著書にちなんで、この場所を「The Great Good Place (とびきり居心地よい場所)」と呼んでいます。この開発は、快適な生活を送るには、住居、職場、さらに人々が交流する「サードプレイス(第 3 の場所)」のバランスをとってコミュニティを構築することが重要であるという考えに基づいています。WHIZDOM 101 は、大都市圏にあるサステイナブルなスマート シティであり、イノベーションとテクノロジーによって、そこに暮らす居住者の効率性と健康の向上、より充実した生活を実現しています。

MQDC の WHIZDOM 101 複合施設にある公園の景観。緑地部分は、快適な微気候を実現し、人々がより自然を感じられるような設計になっています。画像提供: Magnolia Quality Development Corporation

アメリカとアジアにおける 26 年以上の不動産プロジェクト経験を持つ土木エンジニアである、MQDC の社長 Khun Suttha Ruengchaipaiboon 氏は、次のように述べています。「プロジェクトを開始する前に、通常、1~2 年をかけて、プロジェクトに関係する人々がどのようなメリットを得られるのかについて調査を行います。「新世代」と呼ばれる人たちに聞き取り調査をし、余暇の楽しみ方などを調べます」

「サードプレイス(第 3 の場所)」

17 エーカーの広さを持つ WHIZDOM 101 複合施設の設計には、住居、職場、人々が交流する空間のバランスをサポートする緑地とコミュニティの快適性が考慮されています。

サステイナブルな設計で 2017 Autodesk AEC Excellence Award (英語) を受賞した WHIZDOM 101 プロジェクトは、都市に住む若い世代のプロフェッショナルを対象としており、健康、環境、社会的責任の価値に重点を置いています。2018 年半ばにオープン予定のキャンパスは企業やレストランが並ぶ通り沿いに位置し、ジョギング コース、自転車専用トラック、図書室、緑地を備えています。樹木や植物を方策的に利用することで屋外の微気候が改善され、屋内の気候も制御されています。これらは、受動型のシステムとインテリジェントな能動型システムの両方によって管理されています。スマート シティは、部屋の状態、照明の品質、二酸化炭素レベル、リアルタイムの消費電力を制御します。居住者は、住居の冷暖房の調整から、公共料金の支払い、フード デリバリーの注文まで、1つのプラットフォームのアプリを使用して行うことができます。

第 3 の場所のニーズにこたえるために、友人たちとリラックスした時間を過ごしたり、買い物をしたり、自然を楽しんだりすることができる屋外空間に重点を置いた設計になっています。MQDC の緑地は、健康的なエコシステム全体を考慮し、人間だけではなく、多くの鳥や動物も集まるような場所を目指して設計されています。

Ruengchaipaiboon 氏は次のように述べています。「『スマート シティ』には多くの意味がありますが、私たちにとってのスマート シティとは、コミュニティ、つまり人々のためのスマート シティということになります。これを私たちは「スマート コミュニティ」と呼んでいます」独自の方法でスマート テクノロジーとコミュニティを結びつける WHIZDOM 101 の例の 1 つが、キャンパスの入り口に設置された、電力とデータを集めるための床タイルです。このタイルは、人が歩くことによって生まれる運動エネルギーを低電圧の電気に変換します。電気は備蓄され、LED 照明、道順案内、モバイル機器の充電器に電力を供給するために使用できます。「プロジェクトの訪問者は、一緒になって代替エネルギーを作り出していることになります」と彼は説明します。

コア バリューとしての「Sustainovation (サスティノベーション)」

MQDC は、BIM モデルを使用し、建物の向き、設計、電力消費が WHIZDOM 101 キャンパスの微気候に与える影響を分析しました。画像提供: Magnolia Quality Development Corporation

Ruengchaipaiboon 氏によると、MQDC は革新的なテクノロジーによって、すべてのプロジェクトを持続可能なものにすることを、コア バリューの 1 つとしています。このアプローチは、サステイナブルなイノベーションと言う意味の「Sustainovation (サスティノベーション)」と呼ばれています。Ruengchaipaiboon 氏は次のように述べています。「開発会社が世界に与える影響は、プラスにもなれば、マイナスにもなります。私たちは、そのことをよく理解しています。そのため、各プロジェクトが大規模な環境、社会、人々に与える影響を最小限に抑えることができます」

同社は、環境に与える最終的な影響を軽減するために、環境に優しい建築資材と工法を採択すると同時に、使用する施工資材を減らしています。たとえば、WHIZDOM 101 コンドミニアム タワーは、自然な空気の流れと光を効果的に取り込み、日射による温度上昇を抑えるように戦略的に配置されており、エネルギー効率を高めています。Ruengchaipaiboon 氏は、「自然の光と風を引き込むようにタワーを配置すれば、エアコンなど、消費電力を抑えられるのです」と述べています。

LEED ゴールド認定基準を達成するために、MQDC は省エネルギーおよび省資源のための対策を実施しています。Ruengchaipaiboon 氏は次のように述べています。「エネルギー消費量を 30% 削減する必要があります。また、水使用量の 40% 削減を目標にしなければなりません。これを、プロジェクト内で水を集めて再利用することで実現しており、さらに年間 15,000 トンの CO2 排出量を削減することを目標としています。これは約 30% となり、従来のプロジェクトと比較して 10 分の 1 の量です」

MQDC は、環境問題と、居住者の健康と豊かな生活を促進する「人」を中心とした設計アプローチのバランスを実現しています。たとえば、コンドミニアムには ERV (全熱交換型換気)と呼ばれる換気システムが取り入れられています。ERV は就寝中に稼働し、部屋の二酸化炭素を吸い出して、外からの新鮮な空気に置き換えます。Ruengchaipaiboon 氏は次のように述べています。「就寝中に酸素を取り入れることにより、気分よく起床することができます」

BIM で環境に優しい建築をより簡単に

建設中の WHIZDOM 101。プロジェクトの目標である生活の質と持続可能性に対応するために、BTS スカイトレイン(写真の中央を通る)やその他の公共交通機関の側に位置しています。画像提供: Magnolia Quality Development Corporation

MQDC は設計と建設を近代化するテクノロジーに多額の投資を行っており、地元のデザイナー、エンジニア、コンサルタント、建築施工会社、サプライヤーと協力して従来のプロセスを再構築してきました。事例紹介: 6 年前のプロジェクト開始当初、これらの利害関係者は BIM (ビルディング インフォメーション モデリング)に対応していなかったため、このプロセスを採用すると時間とコストが増えるのではないかと懸念していました。

Ruengchaipaiboon 氏は言います。「MQDC に入社する前に、私は 20 年も BIM を使ってきました。導入 1 日目から、すべてを BIM にするつもりはないので安心するようにと伝えました。チームには、手始めに BIM を使用するいくつかのプロジェクトに参加するように指示しました。目標は、BIM のメリットを早く理解してもらうことでした。そして、この目論見はうまくいきました」

チームでは、最初に建築設計者や構造エンジニアが Revit を使用して設計の開発や調整を行うなど、BIM テクノロジーを段階的に導入していきました。この成功は、施工前準備における施工会社やサプライヤーとの共同作業にも広がり、変更管理や材料コストの削減にもつながりました。

この点について、Ruengchaipaiboon 氏は次のように述べています。「建設業界では、世界中の建設現場で約 15~30% の廃棄物が発生しています。開発に BIM プロセスを使用することによって、廃棄物を最大 15% 削減できるため、多くの電力と資材を節約できます」

建設プロセスの各ステップを写真に撮り、BIM 360(英語) モデルに実装します。これにより、すべての配管、電気、壁、あらゆるパーツのすべての位置を考慮できます。プロジェクト終了時には、BIM 施工モデルがプロパティ マネージャに渡されるため、2D 図面ではなく、3D モデルを使用してサイトを管理できます。

今後のスマート コミュニティ

将来を見据え、MQDC は複数世代に対応するプロジェクトを研究しています。MQDC の成長の方向性は生活の質を向上させるための多目的コミュニティを構築していくことだと、Ruengchaipaiboon 氏は述べています。

このようなスマート コミュニティは、自然や仲間と交流しながら、屋外でより多くの時間を過ごす機会を人々にもたらします。社会的な交流は都市の活力の鍵であり、サスティノベーションが「とびきり居心地よい場所」を広める礎となるでしょう。

MQDC エグゼクティブ バイス プレジデントの Suttha Ruengchaipaiboon 氏(左)と CEO の Visit Malaisirirat 氏。WHIZDOM 101 複合施設のモデルと共に。画像提供: Magnolia Quality Development Corporation

この記事は、Redshift に掲載されていたものです。

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