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日本設計

「五感で学ぶ日本海」

を具現化する
上越市新水族博物館

80年以上の歴史を持ち、長らく信越地方の海のシンボルとなってきた上越市立水族博物館。開館から30年以上が経過した現施設、設備の老朽化が進む中、2018年のオープンを目指して新水族博物館の建設が進められています。

この新しい上越水族館は、多様化する利用者のニーズに応えるため、日本海をテーマに子供から大人までが楽しみながら学べる施設として計画されました。「遊びながら学ぶ」という視点を持ち、「五感で学ぶ日本海」というコンセプトを実現する設計を公募型プロポーザルで選定。

その最優秀者となった株式会社日本設計 執行役員フェローの篠崎淳氏による設計は「日本海の雄大なドラマを体感する、遊び・感じ・学ぶ環境水族博物館」をコンセプトとしています。美しい山並みを背景に、雄大な日本海を臨む自然豊かな眺望を最大限生かしたデザインは、借景も取り込んだ開放的で魅力的な展示空間を目指したものです。

 
 
 
 
 

プロジェクトの概要

 

所在地

上越市五智二丁目271-3 他3 筆

 

敷地面積

9,504.84 ㎡

 

建築面積

3,303.60 ㎡

 

延床面積(全体)

8,439.61 ㎡

 

構造

鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造)

 

階数

地上 3 階

 

この新しい上越水族館は、多様化する利用者のニーズに応えるため、日本海をテーマに子供から大人までが楽しみながら学べる施設として計画されました。「遊びながら学ぶ」という視点を持ち、「五感で学ぶ日本海」というコンセプトを実現する設計を公募型プロポーザルで選定。

その最優秀者となった株式会社日本設計 執行役員フェローの篠崎淳氏による設計は「日本海の雄大なドラマを体感する、遊び・感じ・学ぶ環境水族博物館」をコンセプトとしています。美しい山並みを背景に、雄大な日本海を臨む自然豊かな眺望を最大限生かしたデザインは、借景も取り込んだ開放的で魅力的な展示空間を目指したものです。

日本海の海底地形を空間化した
「水中の世界」

2018年のオープンを目指して建設中の新水族博物館は、コストと歩きやすさを両立させ、海が見えるよう建物は3階建てになっています。管理スペースをコンパクトに収めて広い展示スペースが確保され、その空間が 2階は水中の世界、3階は陸上の世界というアプローチで表現されています。

「水中の世界」の中心には水量 1,100 t を誇る日本海大水槽が配され、その両側にある能登ホール、佐渡島ホールでは、魚たちを見上げるように眺める体験が提供されます。両ホールを結ぶ水中トンネルは、天井から足元までの全面がアクリル。間近に見られる魚たちは、屋上から取り込まれた自然光による生物本来の色や輝きを放ちながら、海盆や海底谷が織り成す複雑な地形を泳ぎ回ります。

また、のびのびと泳ぐイルカたちを観察できるパフォーマンスプールやマゼランペンギンの群れが泳ぐ姿を様々な角度から観察できるペンギンプール、砂地や藻場、岩場、深海などの生物を間近に観察できる個水槽エリアも設置され、水中の世界が多彩に表現されます。

水の流れをデザインするための
CFD解析

計 85 箇所ある φ40 の流入口から
トンネル (中央) の周辺部分への流跡線

「日本海大水槽」においては、海底地形の複雑な形状を再現するだけでなく、その水の流れまでもデザインする必要があります。海底地形の縮小モデルが使用されたこの大水槽は、澱みなく海水が循環することで生物に適切な環境を維持することに加えて、水流に向かって泳ぐ魚の習性を利用。トンネルやホールから鑑賞しやすい位置に魚が分布するよう、水流をデザインすることが重要でした。

大水槽の水流を可視化した模型 その1

大水槽の水流を可視化した模型 その2

大水槽の水流を可視化した模型 その2

大水槽の水流を可視化した模型 その1

計 85 箇所ある φ40 の流入口から
トンネル (中央) の周辺部分への流跡線

時間経過による温度分布の変化 (水深 0 m; 0 – 23時)

こうした水の流れの解析には、数値流体力学 (Computational Fluid Dynamics) に基づき、流体の流れや熱の移動をコンピューター上でシミュレーションできるツールが使われます。複雑な形状で、かつ上面が解放空間となっている大水槽の水流と水温の解析には、複雑な形状を再現可能なメッシュを利用でき、流れに加えて複雑な熱境界条件を与えて温度の計算まで行える Autodesk CFD が優れた選択となりました。

まずは水槽のモデルに大小計166箇所の流入口、2箇所の流出口を追加し、オーバーフロー槽への流出、砂利の抵抗などを考慮した解析モデルが作られました。そして海水や砂利などの材料物性、流入出口の流量や季節・時間毎の蒸発潜熱 (水が気体へ相転移する際の吸熱) などの境界条件を与えて求められた解析結果により、水流がバランスよく流れていることのほか、水槽の平均温度が安定していること、冬場には浅瀬や水齢が長い部分で温度低下が著しいことなどが確認されました。また日照の影響の評価では、水深の浅い部分でのコンクリート面の温度上昇と、それによる水温の温度上昇の影響、水流の確保により温度制御が可能であることなどの情報が得られました。

時間経過による温度分布の変化 (水深 0 m; 0 – 23時)

こうした解析により、大水槽がプラン通りに機能することが確認できたのです。オープンの際には、この水中トンネルに足を踏み入れると、まるで日本海の中を散策しているような感覚が得られるでしょう。

上越の山から沿岸までの
生態環境を体験できる
「陸上の世界」

上越の山から沿岸までの
生態環境を体験できる
「陸上の世界」

3階の「陸上の世界」は、上越地域の川・湖沼の水生生物が再現された上越の淡水コーナー、雄大な日本海への眺望が解放された大水槽の水面越しに広がる日本海エリア、イルカ・アザラシと触れ合える海獣エリアで構成されています。美しい山並みと広大な日本海を借景とした空間で、アクリル越しに生物を鑑賞するこれまでの展示手法と違い、観客が生態環境に包まれる空間で、生物と触れあい、共に遊び、多様性を発見できるような全感覚的な展示空間が実現します。

大水槽のデザイン同様、ペンギンプールに関してもペンギンがどう泳いでいくか、水流がプール内でうまく回っているかのシミュレーションが行われました。建築設計群 主任技師の寺崎雅彦氏は、CFDのような最先端技術は「それを何の検証に使うかを共有して、仮説を立て、それを検証してトライ&エラーをすることが、チームとしてのスタートポイント」だと語ります。

シミュレーションをもとにしたプランに対して現場で調整を行い、それを再度シミュレーションにフィードバックする作業を実施。「現場では、数パーセント程度は予想外で不思議なことが起こります。その原因を見ながら、もう一度デザインを変えてシミュレーションしたりすることで、自然の仕組みとの対話が始まるんです」(篠崎氏)

ビジブルだけでなく
インビジブルも含めたデザイン
ー 建築設計の未来 ー

日本設計は 3D モデリング前提のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ワークフローを見直し、基幹 BIM ソフトとなる Autodesk Revitと属性情報を自動処理できる Dynamo を中心に、建物の 3D モデルと属性情報を並行活用しながら基本設計から施工、維持管理までをトータルに行う「Integrated BIM (インテグレーテッド ビム)」のワークフローを構築しています。上越市新水族博物館の設計にも、この Integrated BIM の取り組みが生かされ、効率的な作業が行われました。

「大切にしているのは、ビジブル = 見えるものだけでなく、インビジブル = 見えないものまでをも含めてデザインする姿勢を持つこと」だと、篠崎氏は述べています。「水の流れや光の差し込み方など、図面では見えないものまでシミュレーションすることで、設計段階では見えないものが建築空間での体験を支配していることに気づくことができる。そして作り込みたいデザインによって技術が引っ張られ、その技術を拡張していくのが面白いんです」。

ただし、シミュレーションだけで全てが完結するわけではありません。建築設計群 主管の河野建介氏は、シミュレーションにも“インビジブル”なところがあり、「計算の中だけに閉じこもるのでなく、現場でのフィードバックによって出てくるデザインがある」と指摘します。「そこがクリエイティブであり、飽きないところでもあります」。

「シミュレーションに紋切り型の答えを求めているわけではなく、それは検証であると同時に、イメージを拡張するためのものでもあります。全てが計算でできているわけではないし、そこに入らない部分が見えてくるのも面白い。この繰り返しは、未来に向かって果てしなく続くと思います」。(篠崎氏)

株式会社日本設計 執行役員フェロー
篠崎淳氏

日本設計は上越市新水族博物館の設計に以下の
オートデスク製品を使用しています。

 
 

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