Keyboard ALT + g to toggle grid overlay

2018 年 11 月 13 日

オートデスク、NASA ジェット推進研究所と共同で惑星探査機の新しい設計手法に挑戦

Banner image credits

2012 年、探査ローバー・キュリオシティが火星の地表にパラシュートで落下し、サンプル収集を開始する様子に世界中の人々が注目しました。 それ以降、キュリオシティが送信したデータと画像は、人類が火星に関するさらなる知識を得、生物が存在する可能性を探る助けとなり、現在も稼働中です。このミッションは NASA のジェット推進研究所の設計者とエンジニアにとって、重要な成功のひとつとなりました。しかし今のところ、これまで火星に生物が存在したという証拠もほとんど見つかっていません。

現在、この太陽系で生物の痕跡が見つかる可能性が最も高いのは土星と木星の衛星上であると天文学者は考えています。しかしこれらの巨大ガス惑星は火星の遥か彼方に位置しています。火星への 3500 万マイルの旅は土星への 3 億 6500 万マイルの旅に比べれば短いものでした。木星は土星からさらに 3 億 8100 万マイル遠方にあります。探査船をこうした遠隔の地に送り込むには、火星の場合とは比較にならないほどの設計上、ならびにエンジニアリング上の困難に直面します。これらの困難を克服するべく、オートデスクのジェネレーティブ デザイン技術をカスタマイズして適用し、ジェット推進研究所が宇宙探査関連の設計・製造において新たなアプローチを検討できるよう、ジェット推進研究所とオートデスクは複数年度に渡る共同研究プロジェクト契約を結びました。

オートデスクのインダストリーリサーチ担当上級取締役を務めるマーク・デービス(Mark Davis)は、共同研究にあたりジェット推進研究所へ最初にコンタクトしたチームのメンバーでした。「ジェット推進研究所が漸進的な改善に関心がないことは明らかでした。10% しか性能を向上できないのでは、基本的に興味を持ってはいただけません。30% 以上の性能向上をもたらすソフトウェアツールを提供できて初めて、ジェット推進研究所の関心を引くことができました。このプロジェクトでは、オートデスクの技術でこのレベルの大幅な改善が実現可能であることを実証します。」

おそらく、ジェネレーティブデザインを用いたものとして史上最も複雑な構造物であるこの探査船のコンセプトモデルは、2018 年 11 月 13 日、ラスベガスの Autodesk University でお披露目されました。

探査船の生命線

こうしたミッションを実現するには、零度を大きく下回る温度の中で複雑な操作機能を実行し、また地球上に比べて数千倍に達する放射線レベルに耐える惑星間着陸船が必要です。しかし、まずは目的地に到達できるだけの燃料を搭載できなきなければ話になりません。

宇宙探査では、打ち上げ時の重量が考慮すべき点として最も重要になります。構造的ペイロードから 1 キログラムの重量を削る度に、地球外生命探索用のセンサーや計器類など重要な科学的ペイロードを増加させることが可能になるのです。

確実性と可能性のバランス

業界によっては、「早いうちに失敗すること」、つまり「使いものになる最低限の条件を満たす製品」をできるだけ早く開発してから改良を加えてゆくことが良いと考えられています。しかし宇宙探査において、失敗は高い代償を伴います。ひとつのミッションに対し有効な代替計画がほとんどなく、通常チャンスは一度きりです。ジェット推進研究所のチームが新しいプロセスを検討する際に神経質になるのももっともな話です。宇宙空間の過酷な環境に耐えるチタンやアルミニウムといった実証済みの素材や、CNC マシニングに代表されるミッションで実績のある製造プロセスのような、確実なものにこだわるのです。

その一方で、どのような新技術が活用できるのか、あるいは他社により陳腐化されるリスクに関しても検証しなくてはなりません。常に確実性と可能性とのバランスを取る必要があります。

ジェット推進研究所では、アトリエ(Atelier)部門が、新たなアプローチと新プロセスを試行し、有望なものを特定ミッションに従事している各チームに推薦する責任を担っています。

本プロジェクトで技術主任を務めるオートデスクのカール・ウィリス(Karl Willis)は、次のように述べています。「このチームの仕事は、新技術をプロセスの中に注意深く取り入れていくことにあります。リスクを最小限に留めながら、物事を進める新たなアプローチを検証しなければならないことを、彼らはよく分かっています。」

サンフランシスコのオートデスク・テクノロジー・センターで探査船の部品を慎重に組み立てるプロジェクトチームのメンバー

デザインがもたらすイノベーション

ジェネレーティブ デザインは、機械学習とクラウドコンピューティングを利用して、エンジニアが設定した具体的な制限条件を満たす広範な設計ソリューションを高速で生成する、比較的新しい設計手法です。この手法により、設計チームは依然として、チーム自ら、または環境が課す設計要件や性能要件に拘束されながらも、より広範な設計空間を探求できるようになります。

オートデスクの CTO オフィスに所属するデービスのチームは、ジェット推進研究所などの実験的目的における利用に向けて、ジェネレーティブ デザインのより高度な概念実証版の開発を継続しています。デービスは次のように語っています。「私たちは、高度なモータースポーツを行うあるお客様向けに、複数の制限条件を同時に解決する手助けとなるよう、このソフトウェアのカスタムバージョンをすでに開発していました。それを今度はジェット推進研究所が検討しなければならない問題に応用したのです。当社のお客様がF1レーシングカーにおけるシステムレベルのサスペンションの問題を解決するために開発したシステムを採用し、宇宙探査の成否を決する構造上の制約に対して新しい要件を適用しました。これにより我々は、このソフトウェアの能力をさらに向上させ、またお客様がより大きな、かつより高度な問題を解決する能力を高める機会を得たのです。」

3つの異なる製造方法(3D プリンティング、CNC フライス、そして鍛造)を探査船の異なる部品の加工に使用。

多くの場合ジェネレーティブデザインは、ユーザーの仕様に基づきソフトウェアが生産する複雑で有機的な外観の形状と相性が良く、積層造形として知られる 3D プリンティングと関連しています。しかし、このソフトウェアはユーザーが自社のその他の製造プロセスの制限制約条件を設定する機能も提供します。「我々は、3D プリンティングに CNC 加工と鋳造のオプションを加えることで、お客様が複数の製造上の制限制約条件を同時に解決するサポートができるようになりました。」とデービスは語っています。そして、他のソフトウェアプログラムでは、剛性と重量の最適化を単一パーツに対してだけしか適用できないのに対して、オートデスクのジェネレーティブデザインであれば、お客様は代替の設計戦略を考慮することができ、単一の最適化ソリューションだけでなく、実現可能なソリューションをすべて提示できる能力を提供する、唯一のソフトウェアなのです。

ジェット推進研究所のチームは、着陸船のプロジェクトにおいて、科学的計測機器を支える内部構造物と着陸船の脚部をペイロードボックス本体に接続する外部構造物など、複数の構造物のコンポーネント向けに実験的なジェネレーティブデザインの使用を検証しました。その結果、当初の基本設計と比べて、外部構造物の質量を 35% 削減することに成功しています。

学習と改善と反復

ジェネレーティブデザインの主なメリットは、ジェット推進研究所のチームが設計を素早く反復利用することできたことに表れています。ウィリスは次のように述べています。「設計が成熟してきて新たに性能や環境のデータを入手する際、ジェネレーティブデザインならお客様が素早く新たな設計を作成することを可能にします。多くの場合、設計の変更に通常 2 か月から 4 か月をかけます。ジェネレーティブデザインでの作業であれば、プロセスは 2 週間から 4 週間に短縮できます。ゼロから作り上げることなく既存の問題を解決できるその柔軟性やスピードが、お客様が製造上の制約条件を指定できる能力と融合すれば、この種の構造物の設計者にとってはまさに大きな進歩となります。」

遥かな距離を越えて宇宙空間の厳しい条件に耐え得る着陸船を作り上げることは大きなチャレンジであり、ジェット推進研究所の設計者たちは利用できるすべての新技術を調べ上げて利用しています。今のところジェネレーティブデザインの応用は、正式にはジェット推進研究所内での開発段階の研究プロジェクトという位置づけになっています。しかしながら一見不可能なことに取り組みそれを可能にするのがジェット推進研究所の得意分野です。1960 年代にメインフレームコンピューターの計算能力が宇宙計画を新しいレベルに押し上げる一助になったように、ジェネレーティブデザインを初めとする技術によって、宇宙探査における新しい可能性が創造され、人類がさらに進歩して宇宙における私たちの立ち位置をさらに解明することが可能になりつつあります。

以上

 

Autodesk は、米国および/またはその他の国々における、Autodesk, Inc.、その子会社、関連会社の登録商標または商標です。その他のすべてのブランド名、製品名、または商標は、それぞれの所有者に帰属します。該当製品およびサービスの提供、機能および価格は、予告なく変更される可能性がありますので予めご了承ください。また、本書には誤植または図表の誤りを含む可能性がありますが、これに対して当社では責任を負いませんので予めご了承ください。

© 2018 Autodesk, Inc. All rights reserved.

Autodesk is a registered trademark or trademark of Autodesk, Inc., and/or its subsidiaries and/or affiliates in the USA and/or other countries. All other brand names, product names or trademarks belong to their respective holders. Autodesk reserves the right to alter product and services offerings, and specifications and pricing at any time without notice, and is not responsible for typographical or graphical errors that may appear in this document.

© 2018 Autodesk, Inc. All rights reserved.

如有疑问请垂询:

Lorem ipsum dolor sit amet, consectetur adipisicing elit, sed tempor incididunt ut labore et dolore magna aliqua.