3Discovered: デザインと製造業者をつなぐオンライン プラットフォーム

by The Future of Making
- 2017年10月5日

シカゴ市内にある従業員 7 名の小さな会社、3Discovered のオフィスは低コストの 3D プリンターに占領されている。だが、ここは 3D プリントのサービスビューローではないし、デザイン ショップや部品製造業者でもない。

この 3Discovered は、オンライン プラットフォームを通じてデザイン オーナーと製造業者をつなぎ合わせる仲介役だ。例えば Hotels.com はホテルを経営していないが、見込み客をホテルの客室へリンクする。それと同様、3Discovered の本当の強みは情報だと、同社設立者兼プレジデントである、ノルウェー人のピア・ムンク氏は話す。

2012 年、ムンク氏は 3D プリントが新たな機会をもたらし、このテクノロジーがインターネットのように革命的な存在となる可能性があると考えた。「それは商品の在庫や取引、仲買のシステムを一変させ、デザイン コミュニティへ巨大な影響を与える、ものづくりの全く新たな方法です」と、ムンク氏。「デザイナーはもはや、自らの手でものを作り出さなくてもいいのです」。

3Discovered Maker Bot

ムンク氏は 3Discovered が数年のうちに、工業界における 3D プリント製部品の eBay となることを願っている。「オープンなシステムを生み出すには、非常に多くのデザインが追加される必要がありますし、私たちも、このシステムが広く一般に受け入れられる、交換部品用プラットフォームになることを望んでいます」。

3D プリンターがより高速かつ低価格になると、さらに多くの製造業者がパーツを求めて 3Discovered を利用するようになる、とムンク氏は予測している。とりわけ需要があると考えられるのが、少量の修正や小ロットの注文だ。「スピードと簡便性が重要です。特に少量生産の場合、部品の機械製造は、とても高価になりますからね」と、ムンク氏。

このプラットフォームの仕組みを簡単に説明すると、カスタマーはファイルをリモート サーバーへアップロードし、インターネット経由でプリント出力業者と連携を行う。そのファイルは、ソフトウェアと、3Discovered チームのソフトウェア エンジニアが、プリント業者が必要なフォーマットと仕様に変換を行う。ムンク氏はこれを「Word 文書の PDF 変換」が複雑になったものと説明する。価格や著作権、使用プリンターの種類、ソフトウェアのカーネル、解像度、材料などの仕様は、取引を通じて処理される。

このシステムは、うまく機能している。ムンク氏が例に挙げた最近のプロジェクトを紹介すると、イリノイ州ピオリアを拠点とする Advanced Technology Services (ATS) が、従来はコスト 1 万 2,000 ドル、製作日数 7 週間とされた、製造が終了していた古いロボットアーム用のドライブエンド カバーを、コスト約 60 ドル、製作日数 3 日で再作成した。別のケースでは、あるカスタマーが機械用車軸駆動部のリバース エンジニアリングを行った。この部品は一定期間使用すると摩耗や破損が起こるのだが、粉末固着方式 3D プリントで厚みを付けて強化されている。取り替えコストはオリジナルの製造業者から調達した場合と同等だったが、納期短縮 (35 日から 4 日) により、作業中断期間に発生する 46,500 ドル (500 万円以上) のコストを節約できた。

キャタピラーやシーメンスといった企業のプラント管理を行う ATS のエンジニアリング スペシャリスト、タイラー・バッド氏は、新たな応用例が続々と登場する現在、3Discovered のようなサードパーティを使う重要な理由は、その利便性と技術的専門知識にあると述べている。「サードパーティは最新のテクノロジーに追従しており、その時点で最適な 3D プリントを提供してくれます」と、バッド氏。「それが、私たちの負担を取り除いてくれるのです」。

また、3D プリントにより最小限の先行投資で短期間の注文を受けることが可能となるため、優れたアイデアを持っていても製造の経験は乏しい、クリエイティブなプロダクト デザイナーにも門戸を開くことになる。「先日、ニュージャージー州のある母娘から連絡がありました」と、ムンク氏。「2 人は10 年前に、使用後はフォト フレームとして使用できるブライダルブーケ用のホルダーをデザインして、特許を取得していました。エンジニアでも製造業者でもありませんが、この商品をひとつずつ製造したいと考えていました。私たちと話し合って、2 人はそれが実行可能だと理解できたようです」。

ムンク氏は予想によると、このブーケホルダーのプロトタイプのコスト総額は、1 ユニット当たり 200 – 300 ドル。従来の製造工程のコストは約 3,000 ドルになるため、オーダーメイドによる製造は不可能だった。「彼女たちはパーツを開発し、美しく加工して製品にしました」と、ムンク氏。「私たちが、彼女たちの工場です」。

3Discovered は、受注と発送をオンライン取引でリアルタイムに処理している。「このプラットフォームは、この種の投資には最適です」と、ムンク氏。「利用者はデザインとエンジニアに対して費用を支払います。製品 5 点の売買をする場合は、その分の料金だけ支払えばいいのです」。

ブライダル ブーケ用 ホルダー
ブライダル ブーケ用ホルダー [提供: www.bridalbouquetholders.com]

3Discovered はこれまで、UPS Store やノルウェーの複合企業 3D Scanning、大手鉄道会社など 79 社の製造パートナーとサービス契約を結んだと発表している。これらの企業はクラウドベースの取引により、200 社以上のプリント業者から最良の価格で製品を購入している。必要な分だけを必要なときにプリントするこの製造サービス モデルは、過剰在庫を減らすことができ、またどこでも製造が可能だ。

プリント業者にとっても価値がある。ホテル オーナーが限定した販売経路にのみ直前割引を提供することで稼働率を最大化するのと同様、3D プリント業者もプリンターの稼働率を最大限に高めることを目指している。「私たちが人気を得ているのは、それが理由です」と、ムンク氏。「仕事を取り、空きを埋める方法になっています」。

工業生産のパターンを変えるというのは大胆な提案に感じられるかもしれないが、ムンク氏は楽観的だ。彼は今後 5 年間で、3Discovered が「数百万ドルの収益」を挙げると考えている。ムンク氏が言及する 2013 年のマッキンゼー・アンド・カンパニーの報告書によると、3D プリント製部品と製品の市場は 2025 年までに 5,500 億ドル (約 62.2 兆円) 以上にまで成長すると予測されている。氏の願望通りに進めば、その部品のうちかなりの数が 3Discovered を通じて生成されることになるだろう。

本記事は、エディター/著者のトム・ウージェック氏、執筆協力者のジェフ・リンク氏、オートデスクによる書籍「The Future of Making」(ものづくりの未来) のアウトテイクです。この書籍は、新興のテクノロジーとデザインの新たな手法が、ものづくりをいかに変化させるかを考察しています。

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