3D プリントが使えないものである 5 つの問題点とその解決法

by Jeff Kowalski
- 2015年3月12日
Micke Tong

3D プリントの問題は、正直なところ現時点ではちょっと使えない部分があること。

誤解しないように。3D プリントにはクールなことも多い。あらゆるレベルの複雑さを扱うことができるし、ピンポイントの精度も担保され、想像しうる限りのものを作ることができる。さらにマスカスタマイゼーション (コンピューターを利用した柔軟なシステムによる特注品の製造) も約束されている。

だが、まだまだだ。このテクノロジーはマニュファクチャリングに革命を起こすものとされていた。だれもがクリエイティビティを手にできる! 従来の製造モデルは崩壊! 全ての家庭にプリンターを!

しかし現時点では、まだほとんどの人がハイプ曲線の左側だ。過剰な期待が寄せられる流行期にいて、関心が失われる幻滅期へと向かっている。

ただし私は諦めてはいない。その約束は今も気に入っているが、3D プリントがうまくいくには、その約束の先の段階へと推進する必要がある。

問題を明確にするため、3D プリントの現状に対する、私の嘆きのトップ 5 を以下に記述する。

3D プリンターを見つめる子供

1. 出力/クオリティ
最も基本的なことだが、現在の 3D プリントにはクオリティに関して様々な問題がある:

  • 脆くて剥離する FDM (熱溶解積層法) パーツ
  • 低解像度な出力
  • 素材

現在、素材は押出しや噴出、溶解が可能なものと定義されているが、これはその適用性や最終用途をもとにしてはいない。マルチ資材の例も存在するが通常は同時に 2 種類だけであり、これは強要されてもいる。

だが、私はイマジネーションを強要したくない。プリンターの外には存在しない素材を創造できるプリンターが欲しい。その中で合成金属を作れるものが。

問題を具体化できるか、あるいは筆者がどれほど年寄りなのかと考えさせてしまうかは分からないが、ひとつ例を挙げてみよう。シュリンキー・ディンクスをご存知だろうか? 絵を描いたプラスティックの板をオーブンで加熱すると縮む米国のおもちゃ (訳注:日本のプラバンの元祖のような存在) だが、その作品は保存しておくほどのものではない。

重要なのは、3D プリントで強調されるべきは「何かが作れた」ことでなく、「自分が作ったものを見てくれ」ということだ。常にクオリティが高く、素晴らしい素材を使用でき、それでのみ作れるものを。

2. プリント過程の信頼性が低い
作業過程そのものの複雑さがやる気を無くさせ、フォーマットやパラメーター、機構の調整が細かすぎる。

こんなジョークをご存知だろうか:

「3D プリンターはどうして透明なの?」

「造形が失敗するところを見るためだよ」

透明なのは過程を見られるようにするためだが、大抵は過程に問題があった場合の対応のためになっている。

プリンターを監視するためカメラを付けるところまで来ている。2D プリンターの前に立って、正しく動作しているか確認することなどあるだろうか? もちろん無い。

3D プリンターや3D プリントに関する脅迫観念でなく、3D プリントされた物自体へフォーカスを移すべきときだ。私が素晴らしい3D プリンターを所有していること、3D プリントを楽しんでいることなど、誰が気にするだろうか。必要なのは出力された物だ。

3D プリント機器

3D プリンターが透明でなく、そのデザインから製作へのパスが明確なものとなる日を楽しみにしている。プロセス全体の信頼性が非常に高く、クオリティも高くなれば、成功を収めた他のテクノロジー同様に 3D プリントがユビキタスで、かつ見えない存在になる。つまり退屈なブラックボックスだ。

全般的なゴールは“ワンクリック・プリント”の信頼性だ。そこに到達するには、信頼性の高いデスクトップ出版の触媒となった PostScript や LaserWriter に相当するものが必要だ。それこそが、この革命への本当の牽引力を実現するものになるだろう。

3. ワークフロー
ワークフローは古くて時代遅れなものだが、まだクラシックなリニア アプローチをベースとしている。つまり:

  • 人間がデザイン
  • コンピューターが文書化と分析

3D プリントのワークフローは、通常はジェネレーティブ デザインやその他の昨今のブレークスルーによるメリットを享受していない。現行のワークフローの問題は、最初にデザイナーがドローイングを行い、それからロボットが 3D プリンターで再度ドローイングを行うことにある。

つまり人間が旧来と同様のパーツをデザインする一方で、どうにかしてユニークなものが 3D プリントされるだろうと期待している。人間のドローイング能力が同じである限り、3D プリントのパワーを浪費しているのだ。

実際には、デザインそのものをコンピューターへ、より多く任せた方が良い。デザイナーがその考え方を完全に採用したら、ソフトウェアが自分達以上に精巧なデザインを生み出すことを許可するだろう。

デザイナーが全ての作業を行うべきだという古い考え方では、その成果は常に時間と予算、忍耐力の制約に左右されたものになる。大抵は 1 つか 2 つの選択肢に制限され、最高のデザインでなく、どちらかましな方をプリントすることになる。

考え方を切り替えることが重要だ。デザイナーは、コンピューターを単なる製図ツールだと考えるのを止める必要がある。単に実行するためのものではない。探求を拡張するべきなのだ。

4. ターゲットの誤り
4 番目の嘆きは、人々が 3D プリントで間違ったターゲットを狙っていることだ。

プロトタイプや交換パーツ、その他細々としたものが喜んで作られているが、本当にフォーカスすべきなのは最終パーツ、そしてより高いレベルの問題に対する斬新なソリューションだ。

この新しいターゲットに到達するには、アディティブ マニュファクチャリングの 4 つの面であるパーツとシステム、素材とプロセスを通して、3D プリントを全体論的に見ることが重要だ。

他の製造過程では、これら 4 つのアイデアを分割し、それぞれを独立して最適化できる。しかし 3D プリントはそれぞれがお互いに影響を与えるため、全てを一緒に考える必要がある。組み立て機能を達成するには、素材を通じて行うのが最良の方法だ。スプリングやレバー、ヒンジ、ダンパーは、個々のパーツだけでなく、巧妙な中間生成物を通じて実現する。相互作用する要素間の関係を理解することが重要だ。

3D プリントされた格子

例えばレースカーのエンジンを考えてみる。あるエンジニアが巧妙にデザインされた軽量な格子を使ったバルブヘッドを3Dプリントすることを提案した。一般的な機械工作のパーツより高価なので当初は良いアイデアとは思えなかったが、 バルブヘッドが軽量ならリターンスプリングを小さくでき、バルブステムが短くなりタイミングカムの磨耗も減る。より低価格な素材を使うことができ、エンジン全体は小さくなるのだから、コンパートメント全体が小さくなる。結果としてより低価格でハイパフォーマンスなエンジンとなった。

3D プリントによる部分的な改良を求めていたら、このエンジニアはチャンスを失っていただろう。つまりターゲットが誤っているという意味は、デザイナーの目指しているものが低すぎるということで、より高く、幅広く狙うべきなのだ。

5: マーケット: 成熟には早すぎる
3Dプリントに関する最後の嘆きは、3D プリンターのメーカーが早まって基準を凝固させ、イノベーションを行き詰まらせているように見えることだ。現時点では、3D プリント市場はまだ成熟には早すぎる。

メーカーは初期の小さなキャズムを、残念ながらこの先のより大きなキャズムと誤解している。顧客はマニアであり、マジョリティではない。しかしメーカーは、まるでプリンターが全ての家庭にあるかのように、より後ろのフェイズを最適化するビジネスモデルを採用している。

それはクレイジーだ。まだ第一段階で、オープンなイノベーションを優先させるべきなのだから。しかしメーカーは素材カートリッジに ID チップを埋め込み、そのリフィルや別のものの使用ができないようにしている。

素材の販売は魅力的だが、サポート材のオーバープリントなど馬鹿げたことが始まってしまう。顧客の本当のニーズに対応すべきで、本当はサポート材など使いたくないのだ。

こうしてビジネスを優先するあまり、行き詰まってしまう。重要なのは、この業界はまだイノベーションの途中だということだ。

以上の5つの嘆きと、その潜在的な解決策をまとめると、以下のようになる:デザイナーが問題を解決するには、新たなソリューション、より少ない努力、より多くの成果、より優れた表現、安定度と信頼の向上、優れたクオリティが必要だ。

イノベーションで前進して、3D プリントの次の段階へ!

関連記事

Success!

ご登録ありがとうございました

「創造の未来」のストーリーを紹介中!

日本版ニュースレターの配信登録