世界を変える力を持った 5 つのスーパーマテリアル

by ArchDaily
- 2017年7月25日
Courtesy of the Built Environment Trust. Image by Chris Tubbs.

スパイダーマンやX-メンを生み出したマーベルと、スーパーマンやバットマンなどで知られる DC コミックス。二大アメコミ出版社の作品からスピンオフしたテレビ番組や映画から、Netflix で放映されるエキセントリックなシリーズ (ウォシャウスキー姉妹の「センス8」や少女失踪の謎と多次元トラベルを軸とする「The OA」など) まで、スーパーヒーローものの人気は高い。

批評家は、こうした典型的なスーパーヒーローは (バットマンとジョーカーの関係のように) 大混乱の際に秩序を取り戻したい願望を表現していると解釈する。最近のスーパーヒーローには、変わる力、ある種の「超共感」力を通じて世界を建て直す力を語るものも登場している。こうしたスーパーヒーローのパワーは、新種の理力やエネルギーで新たな能力を習得した、エキセントリックな人々の集団として描かれている。例えば、グループで新しい物体や超能力を創造、デザインする「The OA」のダンスのような動きや、「センス 8」の異文化間/時代間の「超共感」がそれだ。

ロンドンの The Building Centre で開催された「SuperMaterial 展」では、新たなスーパーヒーローが持つ空想上の能力のようなものに、実際に触れることができた。この材料や建築環境を扱う展示では、スーパーマテリアルが材料共感という強大な能力を通じて人間と世界との関係をどれほど根本的に変化させるのか、環境への適応や変化、または生産とアップサイクルの高い効率性が資源の採取における環境破壊の必要性を縮小することを示している。

「SuperMaterial 展」のキュレーターを務めたルイス・ブラックウェル氏は「建造物が機能する仕組みが急速に変化する時代へと突入しつつあります。これらの新材料やプロセスは、生きた外壁を持ち、環境を浄化して、さらには建造物自体や人間のための食物やエネルギーを生成するような建造物を実現します」と述べている。これらの新材料は、生命の流れを増強し、破壊するのでなく創造し、限定的かつ短期的な解決策ではなく幅広く環境に配慮した合理的な視野のもとで展開する。

SuperMaterial exhibit at the Building Centre in London
ロンドンの Building Centre で行われた「SuperMaterial」展 [Courtesy of Built Environment Trust. Image by Chris Tubbs.]

社会にはアントロポセン (人新世) の影響がますます顕著に現れつつある。「アントロポセン」という名称は、地球の地質や生態系に人間が影響を与えた地質世代区分に対して与えられたものだ (これについては私の、レスター大学純古生物学部教授のジャン・ザラシーウィックツ氏、マーク・ウィリアムズとのインタビュー (英語) をご参照いただきたい) 。人間にはスーパーヒーローだけでなく、地球をあらゆる生命体にとってサステナブルな場所とするのに貢献する、スーパーマテリアルが必要だ。

従来の材料が間の能力を超えるような手法で再構成されつつあることを示す、幾つかの目を見張るような材料の例がある。例えばミヒャエル・ハンスマイヤー氏とベンジャミン・ディレンブルガー氏による洞窟は「デジタル・グロテスク」と名付けられ、その 3D プリント製の砂岩による極めて華美なフォルムは、粗い岩の塊が驚くほど優美な作品として鑑賞できるものになる一例だ。

また、Webb Yates Engineers と Interrobang (そして Stonemasonry Company and Artisteel Ltd. の協力) により作成された石のテーブルは、宙に浮いているように見える。高度なエンジニアリングにより、石板はクリップを使用してシンプルにつなぎあわせられており、鉄筋コンクリートと比較すると、この薄い構造の内包エネルギーは半分以下、炭素排出量は 1/4 以下となっている。

Building Centre の充実した展示物の中でもスター級の、5 つのスーパーマテリアルを紹介しよう。

Image of bioreceptive concrete.
生体受容性を持つコンクリート [Courtesy of the Built Environment Trust. Image by Chris Tubbs.]

1. 生体受容性を持つコンクリート

自分たちの住む都市が汚染されていることは把握していても、どれほど酷いのかまで理解している人は、どの程度いるだろうか? 2017 年、ロンドンは年間空気汚染の限度を、たった 5 日で超過した。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン建築環境学部バートレット大学院の BiotA Lab が生み出した生体受容性のあるコンクリートは、微生物が生息可能であり、バイオコロニー化を助長する。

スーパーパワー: コンクリート内で成長する有機体が酸素を生成し、二酸化炭素や汚染を吸収する。

Coconut husk boar
ココナッツ外殻繊維板 [Courtesy of the Built Environment Trust. Image by Chris Tubbs.]

2. ココナッツ外殻繊維板

「SuperMaterial 展」は、スーパーパワーが、兎に勝った亀のように、その姿を思いがけず現わすことがある点を示しているのが素晴らしい。食品業界で年間 600 億個が廃棄処分されており、環境負荷の高いゴミとなっている、ありふれたココナッツの殻が、まさにそれだ。だが、もうこれはゴミではない。

スーパーパワー: 外殻に多く含まれるリグニンのおかげで、環境に悪影響を与える接着剤を使用することなく、非常に強度の高いハードボード (GoodHout が製作) へと成型できる。接着剤不使用のため完全リサイクルが可能であり、それが木材の節約、森林破壊の防止につながる。

Cellulose nanofibers
セルロース ナノファイバー [Courtesy of the Built Environment Trust. Image by Chris Tubbs.]

3. セルロース ナノファイバー 

スマホに搭載されている歩数計を利用している人は多いだろう。近い将来、その歩数により家の周辺で生成されたエネルギーをカウントできるようになるかもしれない。

スーパーパワー: ウィスコンシン大学マディソン校のワン・シュドン氏とヤオ・チュンハ氏が開発したセルロース積層材料製の床板は、歩行運動から電力を生成できる。

Aluminum foam
アルミ フォーム [Courtesy of the Built Environment Trust. Image by Chris Tubbs.]

4. アルミ フォーム

「あれはスポンジ? 発泡体? いや、熔解された金属に空気を注入することで生まれたアルミニウムだ!」。その製造プロセスにより、この材料の重量対強度比は高く、ミラノのプラダ財団ミュージアム/ギャラリーなどの重要プロジェクトで、外壁や内部金属被覆材として使用されている。

スーパーパワー: Cymat Technologies が製造するこの金属は完全リサイクル可能で、それ自体にもリサイクル済み材料が 50 % 使用されている。

Microalgae.
微細藻類 [Courtesy of the Built Environment Trust. Image by Chris Tubbs.]

5. 微細藻類

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン建築環境学部バートレット大学院の都市形成形態研究所 (Urban Morphogenesis Lab) により、運河や水路に存在するすべての微細藻類が役立つ機会がやってきた。採取、生育された藻類から抽出した微生物セルロースは、有機性廃棄物や大気汚染物質を積層構造へと変化させる発酵処理により、繊維へと加工される。採取された藻類はまた、バイオプラスチックの作成に使用することもできる。

スーパーパワー: 石油由来のプラスチックが生分解される間、環境への影響を憂慮し、ひたすら 200 年も待つ必要がなくなるとしたら? このバイオプラスチックは、ものの 6 ヵ月で分解されてしまう。

記事執筆: ジョン・オライリー (「BE: Journal of the Built Environment Trust」の主席エディター), 追加資料提供: ハリエット・ジェニングス

本記事の別バージョンは ArchDaily に掲載されています。

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