Aceleron のカールトン・カミンズ氏が追求する再生可能かつ貯蔵可能なエネルギー

by Rich Thomas
- 2018年5月29日
aceleron カールトン・カミンズ
Aceleron 共同設立者兼 CTO のカールトン・カミンズ氏

カールトン・カミンズ氏の志は、実に 29 万トン以上にも値する。これは 2015 年に英国で販売された電気自動車 (EV) に搭載されているリチウムイオン バッテリーの再利用で削減可能な二酸化炭素排出量だ。29 歳のカミンズ氏が、リチウムイオン バッテリーの再利用と、そのリサイクル可能版の生産を行うテクノロジーを開発する英国のスタートアップ企業、Aceleron を共同設立した理由も、そこにある。

エネルギー貯蔵を向上におけるカミンズ氏の歩みは、カリブ地方の太陽光システム企業、Innogen Technologies でスタートした。高価な化石燃料からクリーンな太陽光発電への移行を 100 世帯以上も支援した彼に、さらに壮大なアイデアが閃く。「次なる開拓分野は、エネルギーの取り込みと貯蔵でした」と、カミンズ氏。

aceleron バッテリー テスト機材
Aceleron は使用済みリチウムイオン バッテリーをテストして再利用に適したセルを識別する [提供: Aceleron]

ロンドンのブルネル大学でサステナビリティ、アントレプレナーシップ、デザインの修士課程を修了した彼は、機械工学の知識とサステナビリティへの情熱を融合させた。「その過程で EV の製品寿命に関する調査を行い、通常はその全てが廃棄物として処理されることを知りました。ただしバッテリーは異なります」と、カミンズ氏。「年間 3,000 t を超えるリチウムイオン バッテリーが英国から輸出され、高額なリサイクルが行われています。リチウムイオン バッテリー向けの施設が国内に無いためです。これは英国内の 55,000 世帯へエネルギー供給を行うのに十分な量であり、バッテリーを動力に使用した輸送が採用されることで、その量は上昇傾向にあります。EV バッテリーひとつを再生可能エネルギーの貯蔵手段として再利用すれば、ロンドン市内を走るコンパクトカー約 3 台分の、3 年間の二酸化炭素排出量と同等の量を削減できます」。

こうした意欲と衝動により、カミンズ氏は「フォーブス」誌が選ぶ 2017 年度のヨーロッパ版「30 アンダー 30 (30 歳未満の注目の 30 人)」リスト (科学 & ヘルスケア分野) に掲載され、また 2017 年度シェル・ライブ・ワイヤー (Shell LiveWIRE) のトップ 10 イノベーターにも選出されている。彼は現在も、同僚が帰宅した後もひとり研究所に残る生活を続けている。イージーリスニングの音楽を流しながらバッテリーをひとつひとつ整備することで、地球を救っているのだ。

そのカミンズ氏に、バッテリーにまつわる紆余曲折と、それに伴う彼の人生の道程を聞いた。

リチウムイオン バッテリーは、壊れて機能しなくなるのではなく、徐々に劣化していくものなのですか?
その通りです。時間経過とともに劣化していくので、その製品の経年劣化の状態とのクロスマッチが重要です。Aceleron が最初に取り組んだのもそこで、再利用に向けて使用済みリチウムイオン バッテリーを収集、検証、識別するプロセスを開発しました。

aceleron 使用済み ラップトップ バッテリー
Aceleron は使用済みラップトップ用バッテリー セルをエネルギー貯蔵用バッテリーへと再整備している [提供: Aceleron]

それで分かったことは?
どう処理するのかについては、誰も考えを巡らせていなかったようでした。現在のバッテリーの製造においては「パーマネントアセンブリ技法」と呼ばれる技術が使用されています。でも鋳造部分などのハードウェアに問題がないなら、全てを廃棄する必要など、ありませんよね? Aceleron は使用済みリチウムイオン バッテリーを収集し、従来の技術と比較すると 3 倍のスピードを持つ独自の処理方法を使える、再利用に適したセルを識別しています。その後、 Autodesk Fusion 360 でデザインした独自のバッテリー アセンブリ用ハードウェアを使って、適切なセルを再生可能エネルギー貯蔵用のバッテリー パックに再梱包します。

寿命が尽きてゴミにならないよう、劣化の進行に合わせてバッテリーを点検、修理するようにしています。弊社のプロセスにより、廃棄物を削減し、当初から修理や再利用、リサイクルを考慮した、本当の意味での循環型の製品を生み出すことができます。バッテリーの発送が始まれば、その回収も受け入れる数少ない企業のひとつとなります。

一般的なラップトップ用バッテリーの場合、製品の寿命はどの程度なのでしょうか?
バッテリーの大半は複数のセルで構成されており、1 つか 2 つのセルに問題が生じると、バッテリー自体が機能しなくなります。それは廃棄物回収業者に送られて有害物質として分別され、専門のリサイクル業者へと送られて、スクラップ化されて原材料が回収されます。そこで Aceleron は、バッテリーが粉砕機に投げ込まれる前に割り込んで、「再利用したいので、リサイクルに出す前に、一部をいただくことはできませんか?」と提案することを考えたのです。

それは受け入れてもらえましたか?
快く応じてくれる業者もいました。それは 2 つの理由からでした。彼らのCSR (社会的企業責任) において好ましいことであり、また通常のリサイクルにはコストがかかるからです。弊社はバッテリーをかつての用途から解放し、それを分解して、その用途を一変させたのです。

aceleron circa バッテリー
Aceleron 製バッテリー Circa は再利用可能なリチウムイオン バッテリー セルを再生エネルギー貯蔵用に蘇らせる [提供: Aceleron]

ラップトップ用バッテリーには通常 6 つ程度のセルが入っています。複数の調達元からラップトップ用バッテリーを入手し、特性の似通ったセルを組み合わせてバッテリー パックに組み込みます。このバッテリー パックは、見た目も、匂いも、動作も 12 V のバッテリーと変わりませんが、中身はリチウムイオンのセルです。弊社のバッテリーが消耗した場合は、そのセルが新品なのか使用済みであるのかを問わず、自社で回収した後にパックを再整備して、再び発送される点が重要なのです。

このプロセスは、収穫逓減の法則がその効力を生じ始めるまで、どのくらいの期間、機能できるのでしょうか?
耐用年数は存在しており、新品よりは少し短くなりますが、用途次第です。再生可能エネルギーの貯蔵は、かなり長期のライフスパンになります。ラップトップ用バッテリーの場合は、6 つ全てのセルに、毎日かなりの負荷がかかります。弊社の再生可能エネルギー貯蔵用バッテリーは、192 のセルで構成されています。

それは、負荷を分散できるということですか?
その通りです。このバッテリーがなぜ 7 年も持つのかも分かっています。それは、特性の似通った大量のセルを同時に動作させているからです。

エネルギーの貯蔵は、どのように役立てる構想なのでしょうか?
弊社のリサイクル可能なバッテリー プラットフォーム Circa は、住宅用太陽光エネルギー貯蔵ユニットに使われています。このバッテリーは 192 のセルから構成されており、6 ~ 7 つのバッテリーを組み合わせて使用し、住宅に電力を供給します。バッテリーは屋根のソーラー パネルから充電され、その後住宅で使用可能なエネルギーへと変換されます。現在、英国の国内市場ではトレーラー ハウスや運河船などをターゲットに設定していますが、長距離バス市場への参入も検討中です。

aceleron offen solar storage unit
Aceleron の Offgen (オフグリッド発電) システムは太陽光エネルギー貯蔵のターンキー ソリューションで、インストーラーの Innogen Technologies 向けに現在カリブ地方で検証中だ [提供: Aceleron]

国外ではどうでしょう?
太陽光は、中央アメリカ市場で注目を浴びています。いま、バルバドスでテストを監督しているところですが、西アフリカでも 4 月にテストを行う予定です。重要な戦略として、既存の鉛蓄電池の性能を継承するバッテリーとなることを目標としています。バッテリーがすぐに必要な場合、ここでは Amazon もデリバリーしていませんから、修理可能な点が市場での強みとなります。これは開発途上地域における重要なセールス ポイントです。修復可能、整備可能、復元可能である点が重要なのです。

あなたにとってのモチベーションは?
私が学んだ受け入れるべき真実は、もちろん程度の問題はあるにしても、自分が混沌を楽しむ人間であるということです。ある程度の緊迫した状況下に置かれることが必要なタイプで、現実の問題を解決するのが好きなようです。私はカリブ地方の出身ですが、エネルギーの利用は、消費者に利用しやすい価格帯ではなかったため、限られていました。それは実感として感じられますよね? 私は設置のコーディネートを行っていたので、顧客とも直接会う機会があり、彼らが抱える電気料金の問題について話を聞くこともありました。これも実感です。エンジニアである以上、工具箱を探してハンマーを掴み出し、それを問題を解決するまで振り下ろし続けるのです。

私は、その過程を存分に楽しんでいます。ビジネスの成功に関しては、だれもが数値化できる測定基準を持っており、それは Aeleron の私たちも同じです。でも私個人は、その過程や学び、プロセス、人々との出会いや導き、問題の解決や成功、失敗を楽しんでいます。それが私のストーリーです。人生で人間が最終的に得られるものは過程であり、それが人生そのものです。そして、それが遺産となります。

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