GM がドライブする、より軽量かつ効率的なカーパーツ設計の未来

by Matt Alderton
- 2018年9月11日
GM アディティブ マニュファクチャリング シート ブラケット
GM は 8 つのパーツで構成されていたシート ブラケットを、ジェネレーティブ デザインとアディティブ マニュファクチャリングを活用して一体化した単一のパーツにした [提供: General Motors]

ドラムセットやエレキギター、ベース、キーボードなどの 3D プリント製の楽器、宇宙飛行士や軍向けの食事を始めとする 3D プリント フードから、3D プリントによる衣服や義肢、移植用臓器、さらには 3D プリント製のコンクリート 2 階建て住宅まで。アディティブ マニュファクチャリングは、既にさまざまな分野で役立っている。では、次は何だろう? 3D プリント製の自動車だろうか?

実は、そうなのだ。例えば Local Motors が 2015 年に発表した 2 人乗りオープンカー Strati は、わずか 44 時間で製造される、パーツの 75% が 3D プリント製という 2 シータ―の電気自動車だった。2016 年、Divergent 3D が Blade でそれに続いたが、こちらは 3D プリント製のボディとシャーシを使用した 700 馬力の「スーパーカー」だ。さらに今年中にイタリアのスタートアップ XEV が製造開始予定の小型電気自動車 LSEV は、世界初の大量生産可能な 3D プリント製lの車になっている。

こうした 3D プリントによるカー デザインへの取り組みは、スタートアップや実験的な目的によるものだけではない。従来の自動車メーカーは、注目を集めるための概念実証でなく、各社とも漸次的な改良や具体的な改善に注力している。ゼネラルモーターズ (GM) は、そうしたアプローチを具体化して、性能向上やカスタマイゼーション、パーソナライゼーションを提供する 3D プリント製のコンポーネントをデザインしている。

ジェネレーティブ デザイン 新しいデザイン
エンジニアとコンピューターはジェネレーティブ デザインのテクノロジーにより、従来は不可能だった新しいデザインを生み出す、新たな手法でコラボレーションを行えるようになった [提供: General Motors]

GM でアディティブ デザイン、マニュファクチャリング部門のディレクターを務めるケヴィン・クイン氏は「1 台の自動車に、平均して 30,000 点のパーツが使われています」と話す。「30,000 点全てをプリントするつもりはなく、非常に現実的なアプローチを採っており、GM とカスタマーにビジネス価値を提供できる製造機会に注力しています。私たちにとって重要なのは、何が“できる”のかではなく、何を“すべき”かなのです」。

ディスラプティブなデザイン

アディティブ マニュファクチャリングが自動車業界の未来への扉とすると、その扉を開くカギはジェネレーティブ デザインだ。「私たちにとってジェネレーティブ デザインは、クラウドや AI を活用してエンジニアとコンピューターを組み合わせ、自動車のパーツやコンポーネントのさまざまなデザイン ソリューションを模索する手法のひとつです」と、クイン氏。「コンピューターやエンジニアが単独で取り組むのでは生成不可能なパーツ デザインのソリューションが、コラボレーションによって得られます」。

こうしたモデルを使うことで、エンジニアはコンポーネントのデザイン目標や材料と製造手法、予算などの制約要因を含めた制約を見定めた上で、その情報をジェネレーティブ デザイン ソフトウェアに入力できる。ソフトウェアはアルゴリズムを使い、想像し得る全デザインの組み合わせを分析、評価して、計算に基づいて最適なソリューションを推奨する。

カーパーツ アディティブ マニュファクチャリング
こうしたカーパーツのデザインは、現在はアディティブ マニュファクチャリング以外では不可能だ [提供: General Motors]

「ジェネレーティブ デザインとアディティブ マニュファクチャリングの組み合わせは、業界にディスラプティブな (創造性を伴う破壊的な) 変化をもたらすかもしれません」と話すクイン氏は、自動車業界は圧延機や射出成形金型など従来からある製造ツールの制約によって、伝統的にハンデを負っていると付け加える。例えば、そうしたツールでは極めてシンプルな形状しか製造できない。

また従来のツールは高価である上に融通が効かず、アイデアの有効性を調べる試行に法外なコストがかかる。ジェネレーティブ デザインとアディティブ マニュファクチャリングは、最小限の設備投資で無限のデザイン ソリューションを提供可能だ。単体のソフトウェアを単体の 3D プリンターと組み合わせることで、アディティブ マニュファクチャリングを使用しなければ実行不可能な有機的形状や内部格子を含めた、無数の部品と無限の形状を生成できる。

より優れたブラケット?

ジェネレーティブ デザインのビジネスケース (最終投資決定に必要な情報や分析) を理解するため、電気自動車 (EV) がもたらす課題を検討してみよう。自動車メーカーは極めて楽観的で、GM だけでも 2023 年までに、少なくとも 20 種の電気自動車または燃料電池自動車を市場投入することを計画している。だが、こうした車両は生産にコストがかかる。より軽量、より短いサプライ チェーンを促進するジェネレーティブ デザインが、この種の課題を GM が解決するのに役立つかもしれない。

「自動車業界に、電動化と自動運転車が大きな変革をもたらすでしょう」と、クイン氏。「この極めて専門的なエリアでリーダーとなることは、事業を進める上で非常に重要です。私たちはアディティブ マニュファクチャリングとジェネレーティブ デザインが、先行者利益の獲得に役立つと考えています」。

GM のエンジニアたちは先日、Fusion 360 のジェネレーティブ テクノロジーを活用したオートデスクとのコラボレーションを行い、機能的に最適化された新しいシート ブラケットをデザインした。これは、シートベルトのバックルをシートや床にしっかりと固定するための標準的なカーパーツだ。一般的なブラケットは 8 点で構成される四角いパーツだが、ソフトウェアが提示したのは、宇宙からやって来た金属性物体のようにも見える、150 種以上ものデザインの選択肢だった。GM が選択したデザインは、8 点で構成されるのでなく単体のステンレス鋼製のもので、従来のブラケットに比べると重量は 40% 軽いが、その強度は 20% 高くなっている。

「8 点からなる部品を単体に統合しようと考えたのには 2 つの理由があります」と、クイン氏。「ひとつは、質量を最適化できるためです。また副次的なメリットに、多数の異なるサプライヤーが製造する多数の異なる部品 (と、その後の組み立て) に関連するサプライチェーンのコストを削減できる点もありました」。

これを数百、数千ものパーツに応用することで、自動車をどれほど低価格で軽量かつ低燃費なものにできるのかは、容易に理解できる。

「私たちにとっての現在の課題は、ジェネレーティブ デザインやアディティブ マニュファクチャリングを、その以外のどういう用途に応用できるのかを見出すことです」とクイン氏は話す。GM は既に自社車両の、その他多数の部品の最適化に取り組んでいる。

「ジェネレーティブ デザインやアディティブ マニュファクチャリングを活用して燃費や電気自動車の走行距離を伸ばせれば、ゼネラルモーターズの競争力の大きな強みとなります」と、クイン氏。

流行よりもメリット

性能の向上は、最初の段階に過ぎない。GM は今後アディティブ マニュファクチャリングを活用し、ディーラーの各店舗で、より低価格かつ効率的な保守部品の製造や車両のカスタマイズを行うことを計画している。

「今は、車両のカスタマイズを行うには GM 側に莫大な設備投資が必要です。カスタムで何かを作成するたびに新しいツールが必要だからです」と、クイン氏。「投資に見合わないため、この業界では、そうしたことには手を付けないという決断を下すことも多いのです」。

クイン氏はアディティブ マニュファクチャリングにより、顧客がカスタムの外装仕上げを発注したり、所有者の名前やお気に入りのスポーツチームのロゴなどで車両をパーソナライズしたりできるようになるとも話す。「競合他社が提供していないサービスを提供できれば、他社との差別化が可能です」。

クイン氏は、それこそがテクノロジーに要求することだと話す。重要なのはバズることではなく、メリットを提供することにある。「ジェネレーティブ デザインとアディティブ マニュファクチャリングは、私の心を躍らせます。それによって顧客へ、他のいかなる方法でも実現し得ない性能を提供できるのです」。

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