BattleBots の新シーズンにチーム Bronco が参戦

by Drew Turney
- 2016年9月1日
Inertia Labs の Bronco [提供: BattleBots Inc.]

アメリカの子供たちに、何がクールかを聞いてみよう。答えはサメやダース・ベイダーから恐竜、レゴまでさまざまだろうが「戦闘ロボット」も含まれるはずだ。だが映画で見たことがあったとしても、実際にアリーナで対決する本物のロボットは、その何倍もクールだ。「BattleBots シーズン 2」のオーディエンスが、それを証言してくれるだろう。

BattleBots チーム アレクサンダー・ローズ リーズン・ブラッドリー
Inertia Labs のアレクサンダー・ローズ氏 (左) とリーズン・ブラッドリー氏 [提供: BattleBots Inc.]

その人気に一役買っているのが Inertia Labs のブレーン、アレクサンダー・ローズ氏とリーズン・ブラッドリー氏で、彼らが手掛けた粗暴なルックスの Bronco も、このロボットバトル番組へ出場予定だ。

まるで邪悪な霊に取り憑かれた、戦車とプレス機械の交配種にも見える Bronco は、放り投げるフリップが得意技だ。空気圧式のアームは素早いジャブを繰り出し、対戦相手のボディの下に滑り込んで敵を空中に放り投げる。その落下の衝撃でダメージを与えるのだ。

ローズ、ブラッドリーの両氏が長い年月をかけて完成させた Bronco は、必ずや好成績を収めるだろう。カリフォルニア州サウサリートの古い造船所 (ローズ氏は「実際には廃品置き場」だったと言う) のそばで育った二人は、いつも何かを組み立てていた。機械工となったブラッドリー氏とインダストリアル デザインを学んだローズ氏は、90 年代半ばのロボットバトル トーナメント Robot Wars で、チームとして活躍できると考えた。

この Robot Wars での二人の成績は最低だったが、その後も根気強く開発を続け、次第に少しずつ勝利を収めるようになる。当時は内燃機関を搭載したロボットや、今では違法だがガス兵器を搭載したロボットなどが使用されていた。Inertia Labs の初勝利は、対戦相手のエンジンを窒息させる消火ガスのおかげで勝ち取ったものだ。

Robot Wars はその後、ブラッドリー氏によると「訴訟の窮地」に陥って、沈んでしまう。だが当初の参加者たちが BattleBots を立ち上げ、ローズ氏、ブラッドリー氏とチームはシーンに留まることになった。「人間が実際に傷を負うことなく、これほど高いレベルのテクノロジーと構造、破壊力が組み合わせられたバトルは数少ないのです」と、ローズ氏。

Bronco BattleBot ピット
番組撮影に備える Bronco [提供: Drew Turney]

ブラッドリー氏は、最初の BattleBots のため 10 年以上も前に設立したマシン ショップを今も経営している。現在、Inertia Labs には志を同じくする友人や仲間が加わり、ローズ氏によると、彼らがチームにさまざまなスキルをもたらしている。チームには、リード パーツ メカニストのクリス・ダニエル氏、CAD エンジニアのグレッグ・ステープルズ氏とブラッド・サイクス氏、電子技術者でビルダーのノーラン・ヴァン・ダイン氏、ロジックボード エンジニアのマテオ・ボーリ氏が在籍している。

最終形である Bronco は、厖大な情熱と資金、適切な 3D デザイン ソフトウェアによる成果だ。Autodesk Fusion 360Inventor がコンセプトとデザインを支援し、HSMWorks が機械加工によるパーツのツールを駆動。BattleBots にはプロ ボクシングのように重量別の階級が設けられているが、使用する武器など、それ以外はほぼ参加者の自由だ。Bronco のフリップアームの他にも、スマッシャーやスピナー、回転刃を使用したカッターなど、たちの悪い様々な武器がデザインされている。

ローズ氏によると、BattleBots への参加中は番組からの呼び出しに備えてロボットを万全に準備する必要があり、睡眠不足と重圧で張り詰めた期間となる。「小さな問題が積み重なり、大きな問題になることもありますね」。

Bronco フロント ビュー
[提供: Drew Turney]

最大の難関は、収録の夜まで対戦相手が参加者へ伝えられないことだろう。数時間前に通知を受けると、参加者たちはスタジオ横のピットで忙しく動き回る。ツールやパーツ、強面のシャーシがあちこちに並べられ、各チームは自分たちのロボットが対戦相手を倒せるよう願いながら調整を行う。

「このイベントには、じゃんけんのような要素があります」と、ローズ氏。「ある攻撃が絶対的な力を持っていても、次のラウンドでは、さっき負けたロボットが確実に勝てる場合もある。ロボットの構成次第なんです」。

デザイン面では 3D モデリングが極めて重要だが、参加時点では組み立てすら始めていないチームもある。BattleBots はテレビ番組であり、参加チームと対戦相手が激しい火花を散らす、最高に面白い戦いが繰り広げられることを望んでいる。そのため、コンセプトの実証が重要な意味を持つ。「チームによっては、新しいアイデアが機能することを証明するため、BattleBots 運営側にビデオやデザインを提供する場合もあります」と、ローズ氏。

Bronco は第 1 ラウンドで、対戦相手の頭へ振り下ろす大きなハンマーを搭載した、どう猛な対戦相手 Blacksmith にプラン通りの攻撃を繰り出した。Blacksmith は Bronco のチタン製の上面にハンマー攻撃を行うが、まるでダメージを与えていないようだ。Bronco は 4.5 m ものフリップアームを容赦なく空中に繰り出し、観衆からの熱狂的な反響は一晩中続いた。

勝ち負けを問わず、全ては必然的にひとつの点へ帰結する。「私たちが興味を持っているのは、愉快なこと、試してみたい新たな手法です。それがとにかく楽しいんです」と、ローズ氏。

BattleBots チーム Bronco ステージ登場
ステージに上がる前のチーム Bronco [提供: BattleBots Inc.]

だが、この楽しみには真剣な面もある。BattleBots チームが発展させてきた専門知識は、ロボット工学を通じて世界に変化をもたらすかもしれない。Inertia Labs は、海洋底測量用の自律ロボットや、警察向けの爆弾処理ツールなどを手がけてきた。対戦相手を破壊するデザインを行うチームにしては面白いことに、ローズ氏によると Inertia Labs では、兵器化された軍用ロボットに対しては非公式の禁止令があるという。

戦闘ロボット技術の開発経験から多くのことが学べるが、ローズ氏はそれほど注目を浴びていない、あるエリアに可能性を見出している。「なぜかほぼ無視されている空気力学の分野でさまざまな取り組みを行っています。この分野には復活の気配が見え始めていて、例えば Hyperloop は空圧をベースとしていますが、エンジニアリングの才が集まるような分野ではありません」。

ローズ氏にとって、ロボット工学は「デザインと材料の意志決定における容赦ないフィードバック ループ」があるため、対戦でもキャリアでも細部への十分な配慮が要求される。「私はロボット製作を、他のエンジニアのマネジメントというプロとしてのキャリアと並行して行ってきました」と、ローズ氏。「どのように失敗が生じるのかを学ぶことが、数々の問題を発生前に予測することに役立っています」。

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