Blackbird Guitars が Ekoa ウッドで統合するサウンドと製造のビジョン

by Lara Caldwell
- 2016年10月25日
blackbird guirars ヘッダ El Capitan
Ekoa の上に置かれた Blackbird Guitars の El Capitan [提供: Blackbird Guitars]

インスピレーションはさまざまな形で訪れる。目に入った古い写真や、肌を照らす日の光の場合もあれば、コンクリートの壁にぶつけたデジタル腕時計のこともあるだろう。インダストリアル デザイナーのジョセフ・ルットワク氏が幼少時代に得たインスピレーションは、まさにそれだった。腕時計は壊れてしまったが、そこで芽吹いた耐久性を持つモノ作りへの関心は、その後も消えることはなかった。

サンフランシスコ在住のルットワク氏は、Blackbird Guitars と、バイオ複合材料メーカー Lingrove の創業者であり、軽量で優れたサウンドを生む楽器を作っている。

blackbird guitars ワークショップ
サンフランシスコにある Blackbird Guitars の工房内部の様子 [提供: Lara Caldwell]

「耐久性の優れた「道具」を作ることにおいて、素材とデザインに対する私の執念は大人になるまで続きました。ある時点で、それを仕事にできるかもしれないと考えたのです」と、ルットワク氏。「人生を豊かにし、本当に長持ちする製品を作ることが、私の究極の取り組みとなりました。製品寿命は、優れたデザインと環境への配慮の核となる要素です。Blackbird 初のギターは、このアプローチから生まれました」。

最初のギターの成功と新たな挑戦
滑らかで光沢を持った Blackbird Rider ギターは、アウトドア好きのルットワク氏がトラベル ギターとしてデザインしたもの。「私自身がハイキングや旅行に持ち出して作曲するためのギターが欲しかったので、最高のトラベル ギターを作りたいと考えました」と、ルットワク氏。「サウンドや構造、演奏性や携帯性といった問題解決への挑戦に、夢中になりました。その推進力となったのは、二束三文の新製品でなく、ずっと愛用され続けるツールを作りたいという想いでした」。

このRider は成功を収め、サンフランシスコにある Blackbird の工房で 1,000 本以上が製造された。だがサンフランシスコ市は、炭素繊維 (カーボンファイバー) 特有の製造上の問題から、Blackbird の製造プロセスの再考を要求した。

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El Capitan の接写 [提供: Blackbird Guitars]

Rider シリーズのアセンブリに、運営と環境に関するサンフランシスコ市の厳格な規則によって異議が申し立てられたのだ。炭素繊維は肌や肺を刺激する可能性があり、粉塵を避けるため、市は製造中に全身の防御衣の着用を義務付けている。こうした安全性への配慮は、職人の採用をより困難なものとし、操業コストを増大させるものだ。だが規制という障壁はルットワク氏に、新たなギター製品ラインである El Capitan の製造プロセスを進化させる、クリエイティブな機会を提供することとなった。

Ekoa の誕生と新たな楽器の製造
氏には、環境へ配慮した製造に伴う困難を軽減しながらも、素晴らしいサウンドで軽量かつフルボディの楽器製造を可能とするソリューションが必要だった。そこで地元の材料メーカーである Entropy Resins と提携し、天然繊維によるオプションを考案。その成果である Ekoa は、産業廃棄物からアップサイクルされた亜麻糸と植物性樹脂による独自の複合材料だ。

弦楽器用の木材として代表的なのは常緑針葉樹のスプルース材だが、より軽量な Ekoa は共鳴性にも優れており、氏は「欠点が非常に少ない」と話す。「Ekoa の繊維成分である亜麻糸は、最古の高性能材料であり、木材同様に高周波を吸収します」。Ekoa は本物の木材のような外観と音響特性を備えており、音楽業界での活用が増える可能性がある。
ハイエンドの楽器は、ますます希少になりつつある熱帯雨林産の木材から作られており、楽器メーカーにサプライチェーンの問題を生じさせている。

Ekoa の製造手法が定まったことで、ルットワク氏はこの新素材を使い、「家宝クラスの高品質」な楽器の製造を目指している。ウクレレから始められたプロトタイプの作成には、3 年が必要だった。このウクレレのプロトタイプは、やがて Blackbird Guitars が Ekoa を使用した初めての楽器、Clara となる。「ギターのような大型の楽器より、ウクレレのように小型のものからスタートする方が簡単です」と、ルットワク氏。

blackbird guitars raw ekoa
未加工の Ekoa [提供: Lara Caldwell]

次のステップは、コストを抑えつつも Ekoa のニュアンスをギター デザインに取り入れた、独自の製造マップを作成することだった。これが氏と彼のチームのイノベーションをさらに進化させる動機となった。炭素繊維により標準的な製造プロセスが決定付けられ、Ekoa が「都市型製造」特有のプロセスを生み出すことで、Blackbird は製造手法を向上させることができた。

それには工房の空間や人件費、クリアコート塗料の使用削減を含む安全規則の全てが関係している。クリアコート塗料を完全に排除するには、異なる種類のモールドを使用し、パーツのアセンブリ方法を見直す必要があった。この種の問題の解決には、デザインによるソリューションが必要となる。

スムーズな製造を実現する手法
Blackbird はEkoa を製造チェーンに組み込んだ後、高品位のツーリング モールドを製造。熟練の技術者は、これで滑らかなクラス A サーフェスのパーツを作成できる。こうした製造要素を組み合わせることで、Blackbird は、複合材料の生産、アセンブリ、仕上げを能率化できた。

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El Capitan 用モールド [提供: Lara Caldwell]

El Capitan の製造サイクルは、高品質の亜麻糸を独自のエコ樹脂と組み合わせて Ekoa を生産することから始まる。Ekoa は航空宇宙機器で製造され、精密性を期して厳格な繊維対重量比が用いられる。これによって、後のモールドでの手順が決める。より小さなギター パーツは Blackbird のマスター CAD アセンブリで機械加工され、完璧に適合するよう研磨される。最後に全てのパーツが組み立てられ、ルシアーによって、楽器のサウンドとプレイアビリティが 1 本ずつ検証される。

「製造がスムーズになるよう、プロセスと材料、アセンブリには数年かけて開発した独自の手法があります」と、ルットワク氏。「それでも日々変則的なことが生じ、新たなチャレンジがもたらされます。製造の最適化について真摯に受け止めることは、より良い製品作りにつながります。問題が解決されるスピードも、それに相当します。もちろん速いほどいいのですが、物理的な製品では解決に何ヵ月もかかることもあります。問題が生じた場合は、私が直接クライアントへ連絡し、解決するようにしています」。

問題解決へのルットワク氏の熱心な取り組みが Ekoa へとつながり、その誕生が製造のジレンマを解決しただけでなく、2 つ目の会社となる Lingrove を実現した。木材の代替材料に特化した Lingrove は、モビリティとテクノロジー、音楽とサウンド、備品と建物環境、アウトドアとレジャーという 4 つの市場カテゴリー向けに Ekoa を製造している。El Capitan の他にも、Ekoa はカヌーのパドルや自転車部品、またコンセプトモデルとして製作されたひじ掛け椅子を含む家具などの製品に使用されている。

ルットワク氏は Blackbird Guitars と Lingrove で、彼独自の形式と機能、デザイン思考を組み合わせ、サンフランシスコならではの感性と格調を持ったユニークな楽器や製品を提供している。

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