みまもりサービスを IoT と AI で革新: Bsize の新たな挑戦

by Yasuo Matsunaka
- 2018年9月4日
Bsize GPS BoT AI IoT
現在発売中の「GPS BoT」と、スマートフォンで移動履歴等が確認できるアプリ画面 [提供:Bsize]

Bsize (ビーサイズ) の創業者、八木啓太氏は高校時代に初代 iMac のデザインと、そこから開かれたインターネットの世界に衝撃を受けたという。その後、ものづくりの世界に進んだ八木氏は現在、IoT と AI を活用して、自らが目指してきた「人生観を変えるようなプロダクト」を世界へ発信しようとしている。

2011 年に発表された LED デスクライト STROKE は、Bsize を起業したばかりの八木氏が、企画・設計から試作、試験から量産設計までを、たったひとりで行った製品だ。シンプルさを極めたデザインと、世界で一番自然光に近い性能を実現した STROKE は 2011 年にグッドデザイン賞を受賞。さらに、2012 年のドイツ Red Dot Design Award、2016 年のドイツ iF Design Award を受賞するなど、Bsize は「ひとりメーカー」として大きな注目を集めることになった。

他にも、杉の間伐材を使用したワイヤレス充電器 REST など、「デザインとテクノロジーで世の中を変えたい」という八木氏が開発するプロダクトは、デザイン家電として高い評価を受けてきた。その八木氏が「世の中を革新するとしたら、どういうものを作るべきか。そこに真っ向勝負しようと腹を据えて作った」という BoT シリーズには、社会へいかに貢献するかという思いが込められている。

Bsize が目指したのは、従来から存在する「みまもり」サービスに足りなかった部分をテクノロジーで補う、洗練されたソリューション。その対象は、小学生に絞り込まれている。「こどもの保護者も忙しいし、コミュニティだけではケアしきれない時代になっています。小さな AI ロボットがこどもに付き添い、保護者やコミュニティの代わりに見守って、何かあれば教えてくれる “AI みまもりサービス”を低価格で提供しようと考えました」。

「働き方改革が叫ばれていますが、働き盛りの人と支える必要のある人の間の社会の非対称性も、これからますます拡大していくでしょう」と、八木氏は続ける。「自分の家庭にも 3 年前に子供が生まれたり、両親も高齢になってきたりして、より身近に感じる問題でもある。大きな社会課題であり、世の中を改革しようと取り組むに値する対象と思いました」。

BoT シリーズ初の製品である GPS BoT のデザイン思想は、みまもりに必要な機能を研ぎ澄ませながら低価格で、扱いやすく提供することが徹底されている。現在の小学生の親世代であれば、スマートフォンにアプリをインストールしたり、地図アプリを使ったりすることにも慣れているため、簡単に操作できるだろう。

その導入も簡単。みまもり機能を提供する無料の BoT アプリ (iOS/Android 対応) をスマートフォンにインストール後、アプリ内で GPS BoT の購入を行うと、ハードウェアが配送される。出荷時にペアリングされているため、新規・追加購入時にユーザーが面倒な機器の登録や設定を行う必要もない。

測位には一般的な GPS に加え、携帯基地局や Wi-Fi アクセスポイントの位置情報も利用して、クラウド上で位置を特定する高精度なシステムを採用。屋内や地下での位置特定もできるなど、シームレスにサービスが提供される。端末上にあるのは、充電用の MicroUSB 端子のみというシンプルさ。消費電力を抑えた設計により、約3分毎に現在地更新を行うバッテリー優先モードであれば、週末に充電を行うだけで 1 週間、見守り続けることが可能だ。

端末の位置は Google Map 上で確認でき、また AI 機能が行動パターンを自動学習するため、自宅や学校、その他の地点などを特定して、登校や帰宅を通知してくれる。日々通る通学路を大きく外れたり、いつもより早いスピードで移動したりという場合には、それを知らせる機能を秋ごろにリリース予定。「アプリを見続けなくても、誰かが付き添っているかのように何かあれば、お知らせしてくれるサービスになっています」と、八木氏。

さらに、クラウド上のログはビッグデータとして活用可能。「生徒たちが登校時によく通っているルートを統合したり、他社との協業で提供される、交通ビックデータや地域情報などのデータとマージすることで、危険度の高いエリアを特定したりもできます」と、八木氏。「それを通学路計画に生かしたり、標識を立てた方がいい場所を認識したりするなど、有益な情報を地域に還元できるようになります」。

端末購入後は月額 480 円(税別) で使用でき、契約事務手数料や契約年数の縛り、保護者のスマホキャリアの制限がないうえ、契約解除料も不要。その課金も、機器に充電して最初の通信が発生するまでは行われない。ユーザーが低価格で、かつ自然に使えるよう工夫された、この仕組み自体も Bsize が作ったもの。「IoT 時代になり、これからどうやって物を売り、どのようなサービスを提供するかという、前例のない仕組み自体を作っていく必要があります」と、八木氏。

発売から 1 年を経たこのシステムは、ターゲットとする小学生のみまもりに最適なソリューションとして、その機能と体験が非常に高い評価を獲得している。「そうした評価が得られているのが、本当に嬉しいですね」と、八木氏も手応えを語る。「ホームページ上では小学生向けとしか謳っていませんが、高齢者とか認知症の方、発達障害の方などのみまもりツールとしても数多く使っていただいています。営業車や配達車などにつけて管理したりなど、業務的に使われる方もいらっしゃいますね。業務の生産性向上や、知的労働自動化ツールとして提供することも考えています」。

Bsize Keita Yagi
ビーサイズ株式会社の代表/デザインエンジニア、八木啓太氏

GPS BoT では BoT がセンシングするのは位置情報だが、センシング対象を変えることで別のサービスを実現できる。「GPS BoT で屋外のみまもりができるようになったので、屋内向けのサービスとして、人感センサーとか温度・湿度のセンサー、コミュニケーション機能などを搭載して高齢者を見守るようなソリューションも開発しています」と、八木氏。現在、Web サイト上にも開発中の 3 製品がリストされており、その幾つかは 2018 年に発売予定だ。

自社でサービスを拡充する一方、他社との協業を通じて社会実装を進めて行く点も強く意識されている。例えば東京ガス株式会社、西日本旅客鉄道株式会社 (JR西日本)、中部電力株式会社といった地域のインフラ事業者と提携し、地域に「GPS BoT」を提供するなど、地域社会のみまもりソリューションとしても貢献している。

グローバルなセルラーのネットワークが価格的にも現実的になってきているので、どこに持っていっても使える BoT サービスとして、海外への進出も考えています」と、八木氏。「韓国で実証実験を行っていたり、中国などからの引き合いも増えてきました。セルラー技術や AWS などグローバルに使える技術を採用しているので、グローバルにも展開していけると思っています」。

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