宇宙エレベーターが実現? カーボンナノチューブの活用が航空宇宙科学やインフラ、医療分野の限界を超える

by Matt Ball
- 2015年3月2日
Micke Tong

より少ないエネルギーやコストで衛星や宇宙船を軌道へ送り出す発射台となる、宇宙へのエレベーターなど想像できるだろうか? だが強力で極細のカーボンナノチューブのおかげで、このエレベーターが実現するかもしれない。

宇宙エレベーター、橋やビルのセンサー、様々な病気の診断ツール。カーボンナノチューブの用途は、多様な業界に膨大な数の機会が存在している。

カーボンナノチューブとは?
1991 年に発見されたカーボンナノチューブは、炭素原子 1 個の厚みを持つ層で作られ、円筒状の構造をしている。その後の実験で、ユニークかつ将来有望な特性が明らかになった。これはフラーレンと呼ばれる純粋な炭素分子のひとつであり、製造や建築の方法に革命を起こす可能性を持っている。

カーボンナノチューブの直径はわずか数ナノメーター (人間の髪の毛の5万分の1)、長さは数ミリメーターに過ぎない。だが、そのサイズに騙されてはいけない。「Journal of Minerals and Materials Characterization and Engineering」の研究によると、鋼よりも軽く、強くて (100倍)、より柔軟 (5倍) だ。

その分子は、より大きな電気容量も持っている。銅と比較すると、導電率は 5 倍、熱伝導率は 15 倍、電流容量は 1,000 倍。こうして強さと導電率を併せ持った、様々な用途における夢の素材なのだ。

カーボンナノチューブ 用途
カーボンナノチューブのモデル

宇宙へのエレベーター
このカーボンナノチューブの現在の主要な用途は、ポリマーやセラミック、金属、セメントの混合物への追加だ。その強さと軽量さを活用して野球のバットやテニスのラケットへポリマーと共に追加され、またカーボンナノチューブ金属マトリックス複合材は胴体防護具や戦車のプロトタイプにも適用されている。

だが、将来的にはさらに素晴らしい、そして野心的なポテンシャルがある。

最高にエキサイティングな用途のひとつが、宇宙エレベーターのコンセプトだろう。これは 10 万 km の長さのケーブルを宇宙へ送り、将来的に衛星や宇宙船の発射に使用することで、軌道へ送るコストとエネルギーを大幅に節約するというものだ。その高さだと、向心力によってケーブル・システムは推力無しに空間に留まることができる。

このコンセプトには多くの支持者がおり、国際宇宙エレベーターコンソーシアム (ISEC) も存在している。カーボンナノチューブは、それを実現するためのソリューションとして、しばしば推奨されている。

センサーとしての素材
研究者達はこの素材を、モニタリングすることで優れた洞察が提供されるような、橋やその他の構造物のセンサーとして使用することも探求している。

ブリティッシュコロンビア大学の著名なネムクマ (ネミー) バンシア工学博士は、「我々はカーボンナノチューブのセンサーに取り掛かっている」と述べている。「構造物に配置できる非常に小さなセンサーであり、伝送機器に接続することで、時間経過により構造に何が起こっているかを知らせることができる」。

sensors_carbon_nanotubes_bridges橋全体をカーボンナノチューブで建設するにはコストが高すぎても、何百ものセンサーを構造全体の戦略的な位置に配置することで、橋に起こったことを、どのタイミングでも完全に把握可能となる。

「これらのセンサーとデータは地震に関して非常に価値のあるものになり、揺れの後でデータを伝送すれば、その橋が使用可能か、それとも使用禁止にすべきかを判断できます」と、バンシア博士。

健康と医療
カーボンナノチューブは健康と医療の分野でも勢いが出ている。小型で化学、光学センサーとして機能するため、ドラッグデリバリーとバイオセンサーの研究に好んで使われるようになった。

「Nature Nanotechnology」ジャーナルでレポートされた、ボストン大学の研究者達によるバイオセンサーの有望な用途のひとつが、ナノチューブの外側に蛋白質を検知するポリマーを付けるというもの。テスト段階では、蛋白質の種類と構造を解読できる感度が、様々な病気の診断ツールとして有望とされた。素晴らしい優位性として挙げられるのがリアルタイムでの計測で、読み取ったデータをラボに送って、その結果を何週間も待つ必要が無くなる。

物質・材料系科学は急速に進歩しており、それは特にマイクロやナノの単位では顕著だ。カーボンナノチューブは、プロセスや製品の強化に関して、様々な用途が見出されている。こうした分子の強烈なメリットを発見や活用、享受する業界が増えていくのは、もはや時間の問題だ。

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