製造業界の変化: 製造企業が生き残るためにすべきことは

by Samir Hanna
- 2015年7月13日
Micke Tong

製品のデザイン、製作、販売を手がける企業は製造手法、カスタマーとコネクトする方法を変えるか、負けを認めるしかない。

これは玩具や医療器具、自動車、電子機器など、あらゆる製造業に当てはまる。どの企業も崩壊の危機に直面しており、状況は深刻だ。これまでのビジネスのやり方では、近い将来うまく行かなくなるだろう。皆、進化せざるを得ないのだ。

変革の 4 要因
製造業者が転換を図るには、昨今の崩壊の背景にある動向を理解する必要がある。まずは、人々が新しいテクノロジーを取り入れる方法だ。10 年ほど前まで、テクノロジー製品はまず業務に取り入れられ、その後ゆっくりと家庭へと浸透していったが、今では逆の流れになっている。iPad はその好例だ。ゼネコン業者はまずタブレットを自宅の食卓で使用し始めたが、その後仕事場へ持ち込んで、現場で建設設計図を参照するようになった。

次は、カスタマーの期待度。インターネットが利用でき、情報が手に入るようになったことで、人々は十分な情報を得た上で、より自由に独自の決定を下すようになった。意志決定は、もうトップダウンではない。情報は誰でも利用できるようになった。

construction tablet work adoption

3 つ目の動向は、業界が他部門との連携を取らない縦型の業務運営から、集中型へと移行しつつあることだ。インダストリアル デザイナーではなく、建築家が自動車のインテリアをデザインしたり、産業用ロボットが (例えば「ゼロ・グラビティ」のように) 映画製作に使用されたり、建設会社が高層ビルを組立ラインで製造するモジュール構造アプローチを使用し、レゴブロックのように各コンポーネントを組み合わせて建設したりするようになってきている。

最後のトレンドは DIY で、誰もがモノづくりを行うメイカーズ ムーブメントはますますしっかりと根を下ろしつつある。人々は、オーダーメイドのカスタム製品を求めている。着ている服、運転している車、住んでいる場所に結びつく独自のパーソナリティとデザインを欲しているのだ。

これらすべての要因にスピードが重なる。変化の速度はこれまででも最速であり、さらに加速し続けている。だからこそ、コンシューマ製品や工業製品を製造する企業は、カスタマーとのコネクト方法を変える必要があるのだ。

崩壊のハードルを飛び越える
これからの企業は、対象がビジネス上の顧客なのか消費者なにかに関係なく、カスタマーとよりダイレクトに接する必要がある。

テスラの自動車について考えてみよう。テスラが、他の電気自動車と違うのはどこだろう? それは無線によるソフトウェア アップデートだ。組み込まれたデジタル エクスペリエンスと、ハードウェアとソフトウェア間の統合がキーとなる。

ありとあらゆるブランドが、その製造手法の変更を余儀なくされている。誰もが未来を見据え、こう自問する必要がある。「遊びの未来とは? スポーツの未来とは? ドライビングの未来とは?」。物理的な製品のみを提供するアナログな企業から、アナログ デバイスに組み込まれたデジタル エクスペリエンスを提供する企業へと進化せねばならない。これにより、ユーザーは (ビジネス上の顧客であるか消費者であるかに関係なく) 独自の体験を作り上げ、それをユーザー独自の新しい製品へと変化させることができる。

マテル社バービーのデジタル顧客体験
マテル社のバービー人形

マテルを例に考えてみよう。マテルの問いはこうだ。「未来の子供たちはどうやって遊ぶのだろう? 大成功を収めた人気のおもちゃをデジタル エクスペリエンスと結び付け、子供たちが物理的にもデジタル的にも遊べるすることは可能だろうか? さらに一歩進めて、それを友達に見せびらかしたくなるような、子供たちのお気に入りのおもちゃにすることは可能だろうか?」。そこでマテルはオートデスクとパートナーシップを組み、オートデスクの 3D プリント オープン プラットフォームを使用して、子供たちがおもちゃと遊びの体験を自分たちでデザインし、さらには 3D プリントまでできるようにした。

この戦略はマテルが持つ強みを礎としており、市場の転換期を巧みに利用している。これを親の立場から見てみると、どうだろう。子供たちが楽しみながら教育的な体験を得られるのであれば、それを止めさせず、むしろ後押ししたいと考えるだろう。

ここで、全く別の業界の例を紹介しよう。人口股関節置換手術だ。患者のサイズと体型に合わせて完璧にデザインされた人工股関節をプリントすることを想像して欲しい。それをデザインするにはソフトウェアと、1 つ生産するのに適した何らかの製造形態 (恐らくは 3D プリンター) が必要だ。その一方で、昔ながらの人工股関節置換手術の技術も存在している。読者ならどちらを選ぶだろう? 画一的な汎用モデルか、あなたのために完璧にカスタマイズされたものか?

人口膝関節やステント、心臓弁、補聴器、イヤホンなどでも同じだ。カスタマイズされたイヤーチップやイヤーパッドは、もはやヒップホップ アーティストのためだけのものでなく、望めば誰でも制作できるようになったのは大きな変革だ。

競争が激化する時代に消費者の注目を集めること
新しいテクノロジーとソーシャルメディア、ユーザーの導入という組み合わせは、それまで存在しなかった新しいワークフローや新たな傾向、新しいコミュニケーション方法を明示している。

テスラのソフトウェア アップデート

代表例はパーセプチュアル コンピューティングだ。現在、大抵のカメラは平面の写真やビデオを撮影するが、インテルやその他の企業は 3D カメラの製造を開始している。レイヤーされたビデオを用い、背景から顔や身体を抜き出して別の背景に重ねることが可能。このテクノロジーはソーシャルメディアを大いに沸かせた。友達が作成した写真やビデオを見て「やってみたい!」となったわけだ。間もなく、3D カメラがあらゆるデバイスに搭載されるようになるだろう。

全ての企業がインテルやテスラのように圧倒的な切り札を持っているわけではないが、競争は常に有用だ。テスラのソフトウェア開発に触発され、他の企業も突如としてソフトウェアの組み込みやシステムのアップグレードなどに投資を始めている。

フォードも同じことを行っているが、クラウドソーシングを活用してカスタマーと直接コネクトすることも行っている。Glovebox Gadget Contest で、フォードは Instructables およびメイカー コミュニティとコラボレートし、メーカーが手で触れ、その名を冠し、公開できるプロジェクトへの参加を呼びかけている。

一部の企業は気付きを得て追いつこうとするし、一部は結局何のアクションも起こさないままとなるだろう。技術革新の猛烈なペースを考えると、真正面から立ち向かう以外、製造業企業に選択の余地はなさそうだ。従来型ビジネス モデルの崩壊を糧にして改革の準備を進めることにより、企業は変革という名のロケットにしっかりと追いつき、さらには追い越すことさえできるのだ。

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