建設現場監督のリアル ライフ: Skanska のテック通、ランス・ボースト氏

by Rich Thomas
- 2018年1月15日
建設現場監督 Skanska
Images Courtesy Skanska

ランス・ボースト氏は、建設ビジネスでこの道 15 年のベテランだ。Skanska の建設現場監督として、安全を維持しつつ遅れが出ないようスケジュールを管理することを最優先しているが、テクノロジーの熱心な推進者でもある。

ボースト氏は Autodesk BIM 360 を (この製品が Vela Systems から Autodesk に移る以前の) 2008 年に使い始め、現在では Skanska の北東部地域におけるスーパーユーザーとなっている。氏は、現場では伝統的な手法でスタートした。ラップトップを手押し車に載せて建築家に付いて回り、未処理の問題をMicrosoft Excel に入力していった。最近は Apple iPad を常に持ち歩き、こうしたツールの使用法を現場で同僚に教えることにも長けている。

そのボースト氏に、先駆的なテクノロジーから現場におけるセラピストとしての役割まで、建築現場監督としての経験について話を聞いた。

建設 現場監督 Lance Borst タブレット
マサチューセッツ州ケンブリッジの Novartis の現場で、タブレットでパンチ リスト (施工改善要望書) を管理するランス・ボースト氏 (右) と彼のチーム [提供: Skanska]

この業種で働くようになったきっかけは? 家族に同業者はいますか?
父は電気技師でしたし、私はパデュー大学の目と鼻の先で育ったので、そこで学ぶのは、ごく自然なことでした。機械工学士を目指すつもりでしたが、1 年生のとき、パデュー大学カレッジ・オブ・テクノロジーのことを知り、そこにビルディング、建設マネジメント専攻がありました。この分野に進んだ際のキャリアの概要を説明する 30 分のセッションに出席したのですが、そこで、エンジニアとはオフィスでデザインや業務を行う仕事であり、紙の上で物事を考えて問題を解決するのだと理解しました。一方、建設マネジメントは現場に出て、エンジニアが考え出したパーツへ実際に触れて、それを組み合わせるのが仕事です。私は、現場で働きたいと思っていました。誰かが生み出したプランやアイデアを手に取って、それを実現する人になりたいと思ったのです。

効率性を向上するため、現場でテクノロジーを使用することは増えてきていますが、まだまだ一般的とはいえません。テクノロジーを重視するあなたは、この状況を変えたいと考えていますか?
はい。私はジェネレーション X で、これまで現場で 6 年ほど iPad を使っています。紙よりも気に入っていて、特にアプリが便利ですね。建設業界にも膨大な量のテクノロジーが入ってきていますが、それを現場に反映するのが難しいところです。マサチューセッツ州ケンブリッジの Novartis Institute for Biomedical Research の仕事を終えたばかりなのですが、これは約 5 年にわたるプロジェクトで、全面積は 73,858 平米、費用は 6 億ドル以上でした。私たちは、現場の作業主任者全員に iPad を持たせ、使い方を覚えさせました。トレーニングにより、彼らが迅速に実践レベルに達するよう支援しました。主に BIM 360 FieldBIM 360 Glue、Skanska 独自の幾つかのアプリケーションです。熟練の現場主任の多くはベビーブーム世代です。現場業務の知識は豊富で確かな腕を持っていますが、新しいテクノロジーを使いこなせるようにするのは大変でした。そのテクノロジーの価値を、各個人に実演してみせる必要があるからです。

あなた個人は、どのような問題を経験されましたか?
ケンブリッジの現場主任のひとりは、この分野で 30 年のキャリアがあり、昔ながらのスタイルで仕事をしていました。彼の雇い主は私たちの要望に応じて iPad を購入したのですが、彼はそれを箱に入ったままの状態で現場に持ってきたのです。「iPad、持ってきましたよ。言われたとおりにね」と。傑作でしたよ。そこで初日に彼と膝を突き合わせ、「今日はこれを箱から出して、Apple ID を作成しましょう」と話しました。彼はメールアドレスすら持っていなかったのです。でも、根気強く手順を踏みました。iPad に触れてもらい、スクリーンをタップしてソリティアをプレイしてもらったりしました。1 ヵ月ほどかかりましたが、それ以降、彼は毎日 iPad を使うようになりました。以前は手書きの日報をオフィスに送っていたのですが、iPad で日報を書き、オフィスにメールで送り、Air プリンターにドキュメントを送信する (彼がハードコピーを希望したためです) 方法を教えました。そのうち彼も、これがかなりの時間節約になることに気が付いたようです。私は単にテクノロジーの活用に価値があることを示したに過ぎません。ひとつの方法で全員に対応することはできません。常に単純明快とはいかないのです。

建築業界から去ることになっても、Apple Genius Bar で活躍できますね。
それが目標ですよ! (笑)

3 人のお子さんがいて、要求の厳しい仕事をこなす中で、新しいイノベーションの情報をどうやって得ているのですか?
最新かつ最良の情報を完全に把握することはほぼ不可能だと思いますが、1、2 カ月に 1 度は Skanska 社内の人脈に会い、それぞれが取りかかっていることの話を聞くようにしています。ソーシャルメディアも活用し、Twitter でフォローしている人たちから新たなテクノロジーについての情報を得ています。Skanska が優れている点のひとつは、さまざまな地域に多数の社員がいることで、分割統治が可能です。新しいテクノロジーの存在を知ったとき、皆が同時にそれを試す必要はありません。各グループでテクノロジーを試し、検証したら、社全体でそれぞれを比較できるのです。

建設現場でさまざまな人々と働く上で、最も難しい点は? 現場で良好な人間関係を保つため、セラピスト的なアプローチをとることはありますか?
まさにその通りです。同僚と、いつも自分たちはセラピストだと、からかい合っています。一人として同じ人間はいませんし、同じやり方ですべての人にアプローチすることは不可能だと、私は強く信じています。相手の立場で物事を考え、多大な敬意を払って対応しなければなりません。現場で働く大抵の人が、無意識にマネジメントを敵対関係にある相手だと考えます。「なぜ話しかけてくる? 何か間違ったことをしたか?」と考えるのです。このことで彼らを責めるのは間違いです。私は、彼らのことをよく知りたいと思っています。安全に関するオリエンテーションの後で、彼らに言います。「ネームタグに「Henry」と書かれていたら、「ヘンリーと呼ぶのでいいかな?」と聞いてみるといい。「いや、テディって呼ばれてるんだ」というかもしれないから」。こうした小さなことを気に掛けるようにしています。彼のヘルメットに「テディ」と名前が記載されるよう根回しをして、彼のことを「ヘンリー」と呼ぶ人が出ないよう配慮するのです。建設業界は狭い世界なので、評判も重要な役割を果たします。一緒に仕事をしたことがなくても、あなたのことを噂で聞いているはずです。

Redshift の「リアル ライフ」シリーズでは、建築家やエンジニア、施工業者、デザイナー、その他のクリエイター/メイカーの取り組みや成功例、現実に関する話を聞いています。

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