Apple、コカ・コーラ、Google: 中規模の建築事務所がトップレベルのクリエイティブな仕事を獲得する 6 つの秘訣

by Jeff Link
- 2016年3月15日
コカ・コーラ・フランス [提供: STUDIOS]

中堅の事務所として、STUDIOS Architecture は他がうらやむようなポートフォリオを手にしてきた。そのクライアントにはコカ・コーラやニッケルオデオン、ジョージタウン大学、エスティ ローダー、Apple、Mashable、Google、Pandora、アレキサンダー・マックイーン、シリウス・ラジオらが名を連ねている。

ヒップなテックオフィスや環境面でサステイナブルな内装、会社の基本プランや大学と住居のデザインのいずれにおいても、その幅広くクリエイティブな作品の創意工夫と新鮮さは建築コミュニティの内外で認知が高まっている。例えば STUDIOS によるシャッターストックのニューヨーク・オフィスは、イタリアの雑誌「Grazia」による世界でも最もクールなオフィスのリストに入っているし、また同事務所は「Architect」で2015年の“Architect 50”にも選出されている。

パリだけでも約 70 名、全社ではほぼ 300 名の従業員がこれほど興味深い作品を生み出し、高い需要を維持できる理由を、シャンゼリゼ通りにあるパリ・オフィスのエリック・グラタキャプ副所長が明かしてくれた。

上海国際ダンスセンター
上海国際ダンスセンター [提供: STUDIOS]

1. クライアントが必要とするものを提供する
これは単純に思えるかもしれないが、小中規模の事務所が評判を確立するには、クライアントの希望を尊重することが重要だ。STUDIOS は先日、上海国際ダンススタジオの 85,000 平米のキャンパスに関する国際デザインコンペを勝ち抜いた。ここには劇場やリサイタルホール、上海バレエや上海ダンス団の本部とリハーサルスタジオが含まれている。

揚子江河口の騒々しい中国の主要都市に位置する、優美でスカーフにも似たそのフォルムは、ダンスの精神を仄かに反映している。そのデザインは歴史ある建物を合体しながらも、中庭や湾曲した小径、噴水やアーチのような並木などによるオープンスペースを存分に維持している。

「けばけばしくなく、時代を超えたエレガントなデザインであり、それがクライアントにも共感を得ましたし、この場所を見事に活用しています」と、グラタキャプ氏は語ってくれた。

2. (最高の) 何でも屋であれ
規模変更や現場の考察、類型論に熟達していることも役に立つ。1923 年に建造された、活発なヘイワード断層の上にあるカリフォルニア大学バークレー校の歴史あるカリフォルニア記念スタジアムは、その卓越性を復元し、万一の地震の際にも持ちこたえられるよう、大規模なオーバーホールを必要としていた。

こうした様々な検討事項に対応するため、STUDIOS は HNTB Architecture と協力し、フットボールとオリンピックスポーツ向けに取り囲む形の新たなトレーニング施設をデザイン。このシンプソン・トレーニングセンターは、屋根の上に 2,500 坪の公共広場を用意している。こうして地形を拡張することでオリジナルのスタジアム内の空間が解放され、コンコースやアメニティ空間の余裕が生まれた。

「こうすることでオリジナルのスタジアムが尊重されるようにしました」とグラタキャプ氏。「歴史的な建造物なので、それを減らしたくなかったんです」。

カリフォルニア大学バークレー校のカリフォルニア記念スタジアム
カリフォルニア大学バークレー校のカリフォルニア記念スタジアム [提供: STUDIOS]

3. その“地域”における国際的なプレゼンスを確立する
STUDIOS は国際的に活動を行う事務所であり、サンフランシスコとニューヨーク、ワシントンD.C.、ロサンゼルス、インドのムンバイ、パリスにオフィスを構えている。パリ・オフィスは1992年に、その当時ヨーロッパのプロジェクトを展開しようとしていた 3Com や Apple、SGI など米国を本拠とするクライアントに対応すべく設置された。だが各国のオフィスは世界的なクライアントのニーズに応えるだけでなく、リソースを共有することで新たなビジネスを生み出している。

「パリのクライアントが西海岸で何かを建造する場合は、サンフランシスコ・オフィスと連絡させるようにします」と、グラタキャプ氏。「テック・カンパニーがヨーロッパにキャンパスを作る場合には、パリ・オフィスがプロジェクトを引き継ぎます」。

グラタキャプ氏が新たなプロジェクトを、2013 年にサンフランシスコ・オフィスの地位から昇進して移住したパリの代理社内で手がける場合には、フランスの建築法に幾ばくかの知識を持っていることが役立ってきた。最近デザインを手がけたガール・ド・リヨン駅の前に立つタワーの再構築では、パリにおける彼の他の作品の大半と同様、フランスの厳密な建築習慣とパリの歴史に対して細心の注意を払うことが必要となった。ホテルへ改造された建物は自照式レールで外観が整えられ、伝統ある駅の歴史を尊重しつつ現代的に翻訳したものとなった。

「米国では市場が急騰しています」と、グラタキャプ氏。「ここパリでは異なっており、それほどでもありません。我々のオフィスは逆張りしています。国際的な事務所であり、それがとても助けになっています。歴史的な建造物や場所の場合は、デザインが影響を受けます」。

「大抵、何の制約も受けずに仕事をできるということはありません」と、彼は続ける。「ここパリでは、エレガントにまとめて、建築物を特定の方法でデザインした理由を説明し、建築物の物語を作り上げた上で、市やそれを統括する本部に承認を受ける必要があります」。こうした卓越性には、その地域に関する知識と、文脈に沿ったデザインが要求される。

シャッターストックの受付 STUDIOS
ニューヨークのエンパイア・ステート・ビルディング 21 階にあるシャッターストックの受付エリア [提供: STUDIOS]

4. 人間らしい体験を生み出す
カリフォルニア州マウンテンビューにある10万平米もの広々とした Google のキャンパス、Googleplex は最も広く知られた STUDIOS のプロジェクトのひとつだ。当初は SGI (シリコングラフィックス) の本社としてデザインされたもので、中庭と誰もがアクセスできる小道、フィットネスとダイニング施設がエリート研究大学にも似た没入環境に統合されており、従前の退屈な企業キャンパスとは大きく異なっている。

「ハイテク・プロジェクトを1985年に始め、Google や SGI、Apple氏向けのキャンパスの作業と建築が、すべての基礎になりました」と、グラタキャプ氏。「そうしたプロジェクトで、建物の内装をできるだけ重視しました。それが日常の人間らしい体験の中核ですからね」。

5. 3Dを採用
STUDIOS にとってテクノロジーが、そうした人間らしい体験の中心となっている。パリへ行く前、グラタキャプ氏は米国で STUDIOS の 2D 文書化プロセスから、Autodesk Revit 文書によるモデルベースの BIM デザインプロセスへの移行を指揮した。彼は STUDIOS が競合を凌ぐパフォーマンスを挙げ、クライアントへプロジェクトを販売し、より少ない人数でデザインを早く仕上げるのに、このソフトが役立つと信用している。

「同じモデル上で同時にマッピング方法の作成や道のドローイング、空間レイアウトの作成などの作業をできることで、コンセプトを短時間で作ることができます」とグラタキャプ氏。「これは何ものにも変えがたいことです」。

6. サステナビリティの追求
コカ・コーラ・フランスは2015年1月にセーヌ川岸のイシー=レ=ムリノーにある 22,100 平米のオフィススイート、Noda へと引っ越した。STUDIOS はクリスティン・グラタキャプ氏のもと内装デザインを手がけ、初めて BREEAM 認証の Outstanding を取得。その共有ワークスペースには、コカ・コーラの著名なエンブレムやボトル (実に13,000本) をフィーチャーした波打つ LED ライトが吊るされている。

「ブランドや素材の素晴らしい導入となっています」と、グラタキャプ氏。「それ自体が語りかけます」。そしてクライアントに話しかけることこそ、STUDIOS の存在意義であり、よりクリエイティブな作品を生み出す方法だと言える。

関連記事

Success!

ご登録ありがとうございました

「創造の未来」のストーリーを紹介中!

日本版ニュースレターの配信登録