事業体が自主統制とコミュニティへの利益還元の両方を行うべきだという CSR (企業の社会的責任) の概念の発端は、18 世紀にまで遡る。当時の米国では、無責任な事業活動を行う企業の認可を取り消す権利を州が持っていた。

この権利は 1819 年、企業は憲法により保護される法人であるとの判決を最高裁判所が下したことで無効化される。これにより、企業が「優良な市民」であるという概念は、自発的なレベルにまで高められた。

優良企業市民であることが自発的なものであり、かなりの費用がかかるとすると、なぜ企業はそうあることを選択するのだろう。その答えは極めてシンプル。優良なビジネスへとつながるからだ。

Google からベン&ジェリーズまで、最大級の規模で大きな利益を生んでいる企業は、そのミッション ステートメントやビジネス モデルに、優良な企業市民としての立場を推進する方策を組み込んでいることが多い。そして、それが努力に見合う効果をもたらしている。

CSR 活動における優秀企業のリスト

ご存知の通り、世界の大企業の中には、その企業文化に優良企業市民性を組み込んでいることが多い。だが、それにどのように取り組んでいるのだろう? それが企業へどのようなメリットを生み、そうした動きに従うには、どうすればいいのだろう? ここでは 3 つの 優れた CSR の例を紹介しよう。

1. Google

「善良」な取り組みを行う企業に触れる最初のきっかけが Google 関連だったという人は多い。検索エンジンのマンモス企業である Google は、優良企業市民への取り組みの第一線で積極的な活動を行っている。その個々の取り組みが努力に見合う効果をもたらしていることは、同社が世界最大規模の企業であることからも明らかだ。例えば Google Green は、資源を効率的に使用して、再生可能エネルギーを支援する企業努力だ。リサイクルや節電は、Google にコスト削減以上のメリットをもたらす。こうした取り組みへの投資は、最終的な収益にも実質的な影響を与える。Google は、自社のデータ センター全体の所要電力を平均 50% 減少させている。この節約分は、事業のその他の部門や投資者へと還元される。

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Brandon Au

企業の社会的責任を実践し、環境保全活動から利益を得るためには、 Google ほどの企業規模である必要はない。エネルギー効率に優れた照明を利用し、在宅勤務を可能にして、リサイクルを行うことは、世界を向上させるだけでなく、最終的な収益につながる、相当の経費削減をもたらすだろう。

2. ゼロックス

印刷機器の巨大企業であるゼロックスは、CSR を支援する多数のプログラムを提供している。同社の Community Involvement Program (地域社会参加プログラム) は、社員を直接参画させることによって、その活動を振興している。1974 年以来、50 万人を超えるゼロックス社員がこのプログラムに参加。2013 年だけでも、コミュニティに焦点を置いた運動に 13,000 名の社員を参加させるために 1,300 万ドル (約 15 億円) 以上を充てている。こうした活動でゼロックスが得らるのは、コミュニティからの評価だけでなく、社員が関心を持つ活動を支援することによる、社員から会社へのコミットメントもある。

ゼロックス csr
2013 年、ゼロックスの 13,000 人の社員がコミュニィをサポート。1,300 万ドル (約 15 億円) を費やした [Brandon Au]

13,000 名もの社員がいない会社でも、この手法から恩恵を受けることは可能だ。年間に一定の勤務時間をボランティア活動とすることで、コミュニティの支援に加えて、社員のやる気と生産性の向上という二重の効果が得られる。大規模なグループとしてハビタット・フォー・ヒューマニティなどのチャリティ団体に参加することは、グループの団結につながり、低コストのイベント T シャツで企業名の周知も可能だ。

3. Target

「優良な企業市民」というアイデアは、日常の現実からは完全に切り離された概念だと思えることも多い。もちろん巨大企業の場合は、世界的な問題に焦点を置いたボランティア プログラムや慈善部門を組織できるが、それではあまりに高尚すぎるようにも思える。そう考えるのであれば、Target の例を見て欲しい。大半の買い物客は大型ディスカウント チェーン店のひとつだと考えているかもしれないが、Target は単なる日用品店やスーパーではなく、CSR の素晴らしい例でもあるのだ。

Target は 1946 年以来、出店先のコミュニティへの地域援助や環境支援に最大限の取り組みと投資を行っている。持続可能な活動の実践から教育助成金まで、この数年に Target が行ってきた地域コミュニティへの取り組みは、その利益の 5% に上る。週 400 万ドル (約 4.5 億円) もの金額だ。Target は教育分野だけでも 2010 年以来、8 億 7,500 万ドル (約 1,000 億円) 以上を寄付している。

Target は 2010年から 2014 年の間に、教育分野だけでも 875 億ドル (約 1,000 億円) を寄付
Target は 2010年から 2014 年の間に、教育分野だけでも 875 億ドル (約 1,000 億円) を寄付 [Brandon Au]

こうした立派な行いに、週 400 万ドルを提供する余裕がある企業は、そうは多くない。だが、それを憂う必要はない。コミュニティの公益を支援することで、将来に実を結ぶ 2 つの重要な要因を提供可能だ。社員はその会社で働いていることを誇りに感じ、顧客は会社との関係を誇りに思う。それがもたらす金銭的な利益は、果てしなく大きい。

こうした CSR 活動を参考に

ボランティア活動への時間の割り当てやコミュニティへの寄付 (オートデスクも オートデスク基金 を通じて行っている) など、プログラムの多くは小規模の取り組みからスタートできる。

最終的な利益にかかるコストは、活発に社会活動を行う社員の生産力が高まり、支援先のコミュニティが企業に関心を寄せることによって、短期間で回収できる。この星の存続には、世界をより良い場所にするため、人々がそれぞれの役割を果たすことが極めて重要だ。その上、私たちはそこからずっと多くのものを得ることができる。

注: 本記事は 2015 年 2 月に掲載されたポストを翻訳したものであり、金額などの数字はその当時のものです

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