新たなブームの到来: 建設におけるドローン

by Jeff Link
- 2016年12月19日
建設におけるドローン
Image composite: Brandon Au

イタリアのヴォルテッラにある、ローマ劇場の中でも最も保存状態の良い石灰石の石段。それをを見下ろすリチャード・セレンダー氏は、畏敬の念を抱きながら、3D Robotics 製ドローンの静かな滑空を眺めていた。その彼の目の前で、歴史が書き換えられようとしている。

セレンダー氏はアメリカ連邦航空局 (FAA) の認可を受けたリモートパイロットで、ピッツバーグを拠点とする Civil & Environmental Consultants (CEC) の統括責任者でもある。10 月 10 日から 22 日にかけて行われたリアリティ キャプチャの国際ワークショップで、CEC はVolterra Detroit Foundation、Case Technologies、Autodesk、3D Robotics と共同で前代未聞のミッションに取り組んだ。イタリアの古代都市と、その考古学的遺物や貴重なアートワークをドローンとカメラ、レーザー スキャナーを使ってキャプチャし、テクスチャ付き 3D メッシュ モデルと動画を作成するミッションだ。

「このプロジェクトでキャプチャされたスキャンとモデルは、今後の修復や、必要な場合には考古学的な宝の再現を支援に役立てることができます。円柱が倒れた箇所を確認し、その正確な時期を把握して、同じ規模で復元することも可能なのは、とても素晴らしいことです」と、セレンダー氏。

このリアリティ キャプチャのワークショップは貴重な歴史的意義を持つが、その手法は珍しいものではない。ますます多くの建設会社や土木工学、環境工学のコンサルタント会社がドローンを活用し、豊富な情報を含む航空写真データをキャプチャして、土木工事や建設現場の詳細で経済的価値の高い 3D モデルを生成するようになっている。

セレンダー氏によると、ドローンで実行可能なプロジェクトは、大規模な採掘会社向けの資源貯蔵量の容積マップ作成から天然ガス処理プラントの点検、保護湿地の境界の特定まで、あらゆる範囲をカバーしている。

ゼネコンの Brasfield & Gorrie でバーチャル デザイン、建設チームのメンバーを務めるハンター・コール氏は、建設におけるドローンは現場の安全管理にも非常に有用だと話す。コール氏と Brasfield & Gorrie の同僚であるジェシー・クリーチ氏は、先日ラスベガスで開催された Autodesk University カンファレンスにて、建設におけるドローンをテーマとする講演を行った。「リアリティ キャプチャにより、現場の現況を細部まで、遠隔地から確認できる新たな視点がチームへ提供されます。ワークフローを計画し、現場における交通量の多いエリアやクレーンのクリアランス、材料の搬入出エリアを確認する安全とロジスティックの計画を作ることができます」と、コール氏。

5 カ年計画
ゴールドマン・サックスによる 2016 年 3 月の報告書 (英文)によると、近い将来、商用ドローンが最も使われるのは建設業界となり、10 兆円と予想される今後 5 年間の世界的な支出のうち 11.2% を占めると考えられている。CEC の顧客リストにはウォルマート、シェブロン、MarkWest Energy Partners、Williams Companies Inc.、Waste Management のほか、さまざまな炭鉱、採掘会社が含まれている。このリストは、恐らくはその予測通りであることを示す優れた指標となっているだろう。

ドローンの使用が経済的なメリットとなることは、先日行われたフロリダ病院アポップカ支院プロジェクトの 247 平米の現場の確認でも明白だった。現場の測量にドローンを使うことで、約 75% の時間が節約されたとコール氏は推定している。

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フロリダ病院アポップカ支院プロジェクト現場上空を飛行するドローン [提供: Brasfield & Gorrie]

氏によると、Brasfield & Gorrie のバーチャル デザイン、建設部門グループは、既定のグリッドに点を入力する従来の方法で測点を収集するのでなく、DJI 製ドローンでキャプチャした空中写真データを DroneDeploy のモバイル クラウド プラットフォームで処理する方法を採った。チームはこの情報を、写真測量法 (無数のデータ点を通じて距離を測定する手法) を使って高度マップと 3D モデルに変換。これらのマップとモデルは、提案された勾配を実現するための土壌移動プロセスの進度を示すものとなっている。

「ドローンがもたらす成果として想像されるのは、比較的ベーシックながらもクールな写真やビデオでしょう。例えば YouTube に公開された、Apple の新キャンパス建設の進行状況を示すビデオのように」と、コール氏。「でも、それは簡単に得られる成果に過ぎません。データは、それを大きく超えたものをもたらします」。

新たな FAA 規制
ドローンを使用する建設会社の未来は、米国においては商業目的のドローンに関する規制を統制する連邦航空局の新規制「パート 107 」の下で、さらに明るいものとなりそうだ (日本国内の情報はこちらを参照)。2016 年 8 月に成立した規制枠組み (英文) に従って、小型無人航空機の操作に従来のパイロット免許は不要となった。筆記テストに合格すれば、ドローン飛行の許可証が交付される。

この新規制は建設会社にとって、ドローンの活用により柔軟な道が提供されることを意味すると、コール氏は話す。「これは営利団体にとって、大幅な前進です。弊社所属の認定パイロットは、ひと月前には 1 名だけでしたが、今や 7 名です」。

自身もリモートパイロットに認定されているコール氏によると、2 時間で 60 の設問に回答する筆記テストには、空域区分の解釈や航空機への負荷計算、気象観測理論とドローン操作、その他の航空機や人々、地所に対する危険を最小限に抑えるための新しいパート 107 規制の解釈が含まれている。その概要 (英文) の一部を紹介しよう:

  • 無人航空機の重量は 25 kg キロ未満でなくてはならない。
  • 無人航空機は操縦するリモートパイロット、小型無人航空機システム (UAS) の飛行管制システムを制御する者の目視範囲内に留まる必要がある。
  • 小型無人航空機は、操作に直接参加していない者の上空、覆いのある構造物の下、覆いのある静止車両内で動作させてはならない。
  • 飛行可能なのは、日中または適切な衝突防止灯を使用した常用薄明 (現地時間における日の出 30 分前から日の入り 30 分後まで) のみ。
drones in construction Aerial data captured from a DJI drone at the Florida Hospital Apopka
フロリダ病院アポップカ支院プロジェクトで DJI 製ドローンを用いてキャプチャされた空中写真データ [提供: Brasfield & Gorrie]

この規制は、無人航空機の往来を従来の航空機と区別し、領空域の安全を維持する手段として意味を持つとコール氏は話している。「最新のドローン技術は非常に発達しています。新規ユーザーにとっても、プラットフォームは驚くほど安定しており、直感的に操作できます。操縦者が操作を停止したとしても、信頼性の高い高度とGPS のデータによって、ドローンはその場に留まり続けます」。

だが、コール氏はドローン プログラムを進める予定の企業に対しては、認可パイロットの支援を得て、ミッションを戦略的に計画することを勧めている。「私たちは現場に行く前の段階で、ミッションは特定カテゴリの統制下空域内で行われるのか? 周囲に考慮すべき建物や送電線はあるのか? 天候の予報は? 現場で人が最も少なくなる時間帯はいつなのか? というような、実現可能性を判断する飛行前チェックリストを用意しています」。

イタリアの古代都市の上空に浮かぶドローンの写真が奇妙に見えたとしても、すぐに見慣れた風景になるだろう。「こう説明すると分かりやすいかもしれません。私たちはこれまで 19 の異なるプロジェクトでドローンを使用してきました」と、コール氏。「Brasfield & Gorrie の現場で、5.7 平方 km をマッピングしています。今後 5 年間で、200 を超えるほとんどの現場でドローンを使用したいと考えています。ドローンやリアリティ キャプチャは、画に描いた餅だと思われるかもしれませんが、非現実的な未来のコンセプトではなく、Brasfield & Gorrie では既に UAS を使うことの真の価値を見出しているのです」。

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