未来のものづくりを再創造: 自動化が貢献する、より良い暮らしと仕事

by Jon Pittman
- 2018年8月27日
イノベーティブな生産 ジェネレーティブ デザイン
新たなオートメーション モデルが、より優れたものの製造と、その効率を向上させる機会を提供

人間は常により多くのものを必要とし、より多くを望み、求める生き物だ。だが「減少」という現実にも向き合わなければならない。世界のニーズに対して、天然資源と空間、そして建設と製造の熟練労働者の数は不足している。

その一方で世界人口は増加しており (2050 年には 100 億人に迫る勢いだ)、開発途上国における貧困は減少傾向にある。1990 年には、ミドルクラスとされる収入を得ている層は、世界の人口の 1/4 以下に過ぎなかった。現在はこの層に約半数が該当し、毎日 40 万人がミドルクラスに加わっているとされる (英文資料)。

生活水準の向上は喜ぶべきことだが、その消費がデザインやエンジニアリング、建設、製造にもたらす影響を考えてみよう。携帯電話や自動車、食料、住居を必要とする人の数は毎年増加している。

調査会社 Statista によると、世界人口の増大と都市化を受け、建設業界は主要都市へ 2050 年まで 1 日平均 13,000 棟のペースでビルを建設する必要がある。これは世界が必要とする新規インフラ建設への何兆ドルという投資の、ほんの一部でしかない。しかも、時計は動いており、既存のインフラにも定期的な改修や更新が必要だ。ビルや橋、冷蔵庫は即座に埋め立てゴミになることなく、長年の使用に耐え得るよう建設、製造されなければならない。

どのように悪影響を抑えつつ、人間らしく思いやりのある生活を維持していくのだろう? これは、ものづくりとロジスティクスにおける大きな課題だ。

建設業界は世界の全廃棄物の約 1/3 を生み出しており、その量は 2025 年までに倍増すると予測されている。製造プロセスの効率は向上を続ける一方で、サプライチェーンには驚くほど無駄が多いのだ。現在製造されているスペアパーツの約 70% は、実際に使われることはない。「より多く」を求めるあまり、保管スペースや材料、コストが無駄にされている。

自動化を再創造

世界の人々が、ものづくりの方法を根本的に考え直さないと、どうなるだろう? 人口の増加とミドルクラスの拡大、そこに気候変動と天然資源の減少、熟練労働者の不足がのしかかる状況の中、どのようにしてその悪影響を抑えつつ、人間らしく思いやりのある生活を維持していくのだろう? これは、ものづくりとロジスティクスにおける大きな課題だ。だがデザインの課題に関して言えば、デザイナーやメイカーにとって、これまでにはなかった最大の機会でもある。

成長はさらなるプレッシャーをもたらすが、人間が「増加」の必然性 (人口動態の推移による副産物) と「減少」の現実 (限りある労働力、技能、天然資源) の帳尻を合わせるため、自動化の未来を新たに捉え直すことが、新たな前進の手法となる、より良い道を提供することになるかもしれない。

最適化に重点を置いた、従来の自動化モデルによる無駄と非効率性の削減では、もはや不十分だ。世界は解決すべき、さらに大きな問題を抱えており、より人間とマシンの連係とクリエイティビティに重点を置いた、新たな自動化モデルが必要になるだろう。

この新しい自動化モデルは、不平等やビジネスの中断、地球のコミュニティと環境へのダメージを減らし、より良い何かを行う機会となる。重要なのは無駄が少なく、より優れた結果をもたらすことのできる、新たな建設と製造のプロセスだ。また労働者に、より魅力的で優れた機会を提供することでもある。

A General Motors seat bracket that is a single part, thanks to generative design.
GM のエンジニアはジェネレーティブ デザインを活用し、単一のパーツで構成された、より軽量かつ強靭なシートブラケットを作成した [提供: General Motors]

これは人間とマシンが共に何かを生み出し、互いに学び合うようになれば実現可能だ。それが、さらに有意義で革新的な取り組みへとつながるだろう。製造と建築のコンバージェンス (収束) により、もはやロボットは工場のみに閉じ込められた存在ではなくなり、生産ラインから建設現場へと進出する。また 3D プリントも、プロトタイプの作成以外に応用されるようになる。既に航空宇宙や自動車業界では、アディティブ マニュファクチャリングが生産における実績を上げつつある。

最も重要なのは、人間のアイデアが束縛されないことだ。クリエイティビティを解き放つことで、より性能と耐久性に優れた製品やビル、都市を生み出すことができる。

GM とジェネレーティブ デザインとの出会い

この新しい自動化アプローチの好例となるのが、ゼネラルモーターズ (GM) の進化だ。同社は自社工場で初めての自動車製造を開始して以来、自動化のパイオニアとなってきた。現在、GM 工場の組立ラインで新車が分刻みで製造されているのは、完璧に設計された 30,000 点を超える部品が、工業の世界における複雑な交響曲を奏でている結果だ。

だが GM にとって最大の課題は、もはやより多くの自動車を製造することではない。だからこそ GM は電気自動車と、排気ガスの影響のない未来からなるロードマップを採用したのだ。これは効率性を高め、重量と機械の複雑性を低下させることで、自動車をより軽量で堅牢なものとすることを意味している。よりスマートでイノベーティブなデザインと製造プロセスが、無駄の削減と、より長寿命で優れた製品へとつながるのだ。

この構想を実現するべく、GM は オートデスクのジェネレーティブ デザイン テクノロジーを採用し、デザインと部品製造の手法を根本から一変させた。このプロセスにより GM のエンジニアたちは、部品間の接続性、部品が備えるべき最大荷重などのパラメーターを、より優れたデザインを実現するために設定でき、より良いソリューションを迅速に検証できるようになった。

ミシガン州ウォーレンにある GM の技術センターでは、エンジニアたちがごく普通の座席用ブラケットを再検討し、ジェネレーティブ デザインを活用することで従来より 40% 軽量かつ 20% 堅牢な、構成要素を 8 から 1 へ削減した部品を作成した。これは軽量化や部品サプライヤー数の削減、複雑性の解消、作業の簡素化、そして最終的には自動車の燃費向上と二酸化炭素の排出量低減につながる。

A wall section in a Van Wijnen modular house is lowered into place.
建設会社 Van Wijnen はジェネレーティブデザインとメタタグによるタグ付けにより、組み立てラインで製造でき、何千ものコンフィギュレーションで使用できるモジュラー ハウジング コンポーネントを開発できた [提供: Van Wijnen]

都市の規模でのジェネレーティブ デザイン

自動化とジェネレーティブ デザインは、建設業界にも大改革をもたらす可能性を有している。建設会社 Van Wijnen は、良心的な価格によるゼロエネルギー住宅の建設を専門とするオランダの企業だ。企業としての使命は崇高だが、2% という利益幅は、会社を存続させるのに十分とは言えなかった。だが幸いにもジェネレーティブ デザインを用いることで無駄を排除してコストを削減し、さらに自動化され効率に優れたプロセスを導入できた。

Van Wijnen は、建築部材にメタデータでタグ付けを行い、さまざまな構造で使用可能な住宅向けモジュールの概念を生み出した。Van Wijnen のデザイナーたちは、裏庭のサイズや眺望、太陽光エネルギーの利用可能性、採算性などの制約項目をベースに、ジェネレーティブ デザインが生成した 15,000 点に上るデザインの選択肢を検討して、完璧な都市区域を生み出せるようになった。

その結果、自動車組立ラインにも似たモジュラー ビルディング システムが生まれ、住宅デザインを新たな製造プロセスとして再考できるようになった。無駄を省いて、よりエネルギー効率に優れた住宅を生み出し、居住者のニーズに応えるようレイアウトを最適化して、企業の収益を増大させるのにジェネレーティブ デザインが役立ったのだ。

Volunteers for nonprofit Build Change work on retrofitting a building in Colombia.
オートデスクはコロンビアの NPO、Build Change と連携して、断層線上の建造物の査定や改修、再設計のプロセスの自動化を行った [提供: Build Change]

レジリエンスのための自動化

こうしたアプローチは、世界でも最も危険に曝されているコミュニティのために役立てることが可能だ。オートデスクは、コロンビアの NPO である Build Change と連係し、次世代の住宅の耐震化を進めるため、同国内に多数存在する断層線上の建造物の査定や改修、再設計のプロセスの自動化を行った。

数百万人ものコロンビア国民が、世界で最も活発な断層帯に隣接した、高密度の都市部に居住している。この団体は、住宅の再設計と改修のプロセスを自動化することで、建設チームの作業方法だけでなく内容も一変させた。問題の診断に費やされていた時間を、その解決に費やせるようになったのだ。例えば、Build Change は Autodesk RevitDynamo を使うことで、改修デザインの期間を約 1 週間から 3 時間未満にまで短縮している。

自動化は人々の働き方を変え、生活の仕方も変える。GM は、より軽量で気候変動に対抗する、より燃費の高い自動車を製造することに成功。Van Wijnen は、よりサステナブルで低価格な住宅建設を実現し、Build Change は、よりレジリエンスに優れた住宅を素早く建設可能だ。

自動化は、企業が競合他社の一歩先を進み続けるのにも役立つが、さらに重要なことに、人間性を前進させる優れた問題解決力を促進、支援する。より良い都市とビル、もの、仕事。自動化モデルを再考することは、「増加」の必然性と「減少」の現実のバランスを取るのに役立ち、それと同時に、より良い未来への機会を実現する。

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