未来のコネクテッドカーが 1 日に 160 万 kmの走行データを記録中

by TJ McCue
- 2015年10月22日
提供: Automatic Labs

Google やテスラ、さらにはトヨタまでもが自動運転車の発売を予定している。これはつまり車が今後、目的地との行き来を安全に保つためのクラウドや特定のネットワークへ、それも自動的につながることを示唆している。

だが、こうした自動運転車が一般的なものになっても、現在公道を走っている多数の乗り物全てを置き換えることにはならないだろう。テジョ・コーテが Automatic Labs を立ち上げ、未来のコネクテッドカーの開発に取りかかったとき、彼の頭の中にはそういう車があった。コーテが思い描いたのは、メーカーや型式、年式を問わず、路上のあらゆる車がインターネットや各種サービスのホストに接続できるようにするデバイスだ。このつながりは路上で生成され、ほぼエンドレスに送られてくるデータを活用して、例えばガソリン代を節約したり、駐車場を探したり、エンジンの不具合を解決したりする支援の提供に利用される。

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Automatic アダプターは iOS および Android アプリに対応している [提供: Automatic Labs]

このビジョンを製品化したその名も Automatic アダプターは、コンパクトな取付型デバイス (自動車業界の専門用語で OBD/自動診断機能と呼ばれる) で、過去 20 年間に製造されたあらゆる車両の OBD-II ポートに装着できる。デバイスはこのポートから、その車が生成する全てのデータを刻々と収集する。走行距離やエンジンの回転数、燃料圧などが、そのデータの一例だ。OBD ポートが追加されたことで自動車メーカーは、車両のコンピューター内のデータを解放するアプリケーション・プログラミング・インターフェース (API) を作成できるようになった。

「車は所有物のなかでも最も高額なコンピューターです。それに気付いてない人が多いのですがね」。Automatic Labs のサプライ チェーンおよびロジスティックス部門ディレクターのマイケル・デジーザス氏はこう話す。車は人々が所有するものの中でも最も厳重にロックされた、未使用のコンピューターかもしれない。少なくともこれまでは。

Automatic は他の競合他社と共に新興市場の一端を担っているが、(アプリにより)さらにつながり、より利用しやすいサービスを提供している点では他と一線を画している。2014年半ばから Target や Best Buy、Amazon といった小売店での販売を開始しているため、すでにデバイスをご覧になったことがある方もいるだろう。Automatic は、保険会社数社との契約も勝ち取っている。1 日あたり 160 万 km以上もの距離を毎日分析することで、Automatic は車関連の他の用途またはデバイス向けに広く認められたプラットフォームとなりつつある。

このプラットフォームに含まれるのは Automatic アダプターと Automatic App で、アプリが走行中にBluetooth経由でアダプターにペアリングし、走行データをクラウドに保存する。アプリまたは Automatic Web Dashboard から実際にデータを引き出すかどうかはさておき、エンジンの不具合を事前に警告したり、運転技術を評価して向上させたり、さらにガソリンを節約したりできるのも、重要なゴールのひとつだ。「このアプリを使用することで、燃料効率を 30% 向上させることが可能です」とデジーザス氏は説明する。

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The Automatic Webのダッシュボード [提供: Automatic Labs]

本当の意味でのつながりの価値は、同社のウェブサイトのキャッチフレーズによく現れている。「Automatic によってつながる車とデジタル・ライフ」。これは決して単なる美辞麗句ではなく、Automatic プラットフォームでは日常的に使用する多数のアプリが、実際に車へつながることができる。車とスマートフォンの接続について思いを巡らる方のために、Automatic App Gallery で入手可能なアプリ一覧を紹介しよう:

  • Nest 自宅に戻る前にあらかじめ部屋を暖めておいてくれるアプリ。
  • Concur 運転にかかる費用の報告書を自動作成してくれ、ExpensifyやFreshBooksといったサービスに連動させることも可能。Microsoft Excel にダウンロードすることもできる。
  • SpotAngels 駐車違反切符を切られないよう、リマインダーを設定できる。Pebble ウォッチにアプリをリンクさせて、メーターに駐車料金を追加すべき時間を通知させることも可能。
  • License+ 10 代の子供に安全な運転方法をコーチ。
  • IFTTT IFTTT (If This, Then That/これをこうしたらあれがこうなる、の略) サービスを使用して独自のつながりを記述できる。

こうした機能は Automatic をかなり複雑なものに感じさせるが、デバイスの構成自体はかなり単純だ。可動部品もバッテリーもなく、電源は車両からから供給する。Automatic Labs のスマートなソリューションのおかげで、ドライバーはデバイスを充電する必要がない。

デバイスを解体して内部を確認すれば、複雑でないことが分かるだろう (メーカーの説明通りだ)。そのパワーの大部分は、他の多くのハードウェア製品同様、ファームウェアにある。とはいえ、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせには、製造上の独自の複雑性が付随する。保険業界におけるパートナー開拓が成功裏に進んでいることに加え、各社ごとに異なるパッケージとファームウェア要件、BOM (部品表) と SKU (最小管理単位) の拡大は、ロジスティックスの悪夢を生み出した。Microsoft Excel に依存したものの場合は、特にその困難が大きい。

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[提供: Automatic Labs]

こういった詳細を Excel から製品ライフサイクル管理(PLM)ツールへと移す必要性に迫られたとき、デジーザス氏は Autodesk PLM 360 の BOM 管理ソリューションが幅広いリビジョン管理機能を提供していることを知った。例えばエンジニアが、チームが全く新しいリビジョンに移行したことを知らずに間違ったパーツをオーダーしてしまった場合、それによりプロセス全体のスケジュールが遅れてしまう。「Excel から PLM 360 に移行することで製造プロセスを安定化させることができると確信していました」とデジーザス氏は言う。「ただ、SKU の拡大も扱いやすくなったのはうれしい驚きでした」。

信頼性の高い製造プロセスを持つことは規模拡大時に重要となる。まさにこれこそ、Automatic が先日リリースした次世代デバイスで実施しようとしていることだ。第 1 世代の Automatic アダプターはスマートフォンに依存しており、それは第 2 世代でも変わっていないが、新バージョンには GPS が内蔵され、携帯電話がなくても長距離にわたる走行記録を保存できる。GPS チップは GPS/QZSS 用 GNSS エンジン上で動作するため、デジーザス氏によれば、Automatic は 2016 年半ばまでに国際市場に参入できるようになる予定だ。

今後の展望について言えば、後続の Automatic アダプターは走行データを保存してスマートフォン・アプリに事後同期するようになるだろう。これにより、車内に携帯電話を持ち込む必要がなくなり、Automatic にとっての他の潜在市場と可能性が広がる。

多くの専門家が声高に主張する通り、自動運転車は近い将来現実のものとなるだろう。しかしコネクテッドカーは、運転が自動化されるかどうかに関係なく、提供する情報量の豊富さにより、さらに重要な存在となる。日常生活へのビッグデータの浸透が進むにつれ、ドライバーは、データがすぐに使用できる状態で取り出すことのできる有益な情報へと変換されるようになることをますます望むようになる。自動運転車メーカーおよび開発側の取り組みが望まれるところだが、まずそれにはプラットフォームが必要となる。Automatic Labs はすでにその道を進んでいるのだ。

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