インフラの将来を担う 5 つの要因: 安全なだけでなく「正しい」橋

by Terry D. Bennett
- 2015年9月9日
Micke Tong

トンネルや高速道路などのインフラは、もはや「正しく」整備するだけでは十分ではない。

もちろん、誰もが安全で頑丈な橋を望んでいるが、ますますコネクションの深まるこの世界では、新たな確認事項がある。そもそも、そのインフラは、適切なものなのだろうか?

莫大なコストのかかる橋の改築より、街の役に立つのは広帯域スピードと Wi-Fi ではないだろうか? ケネス・グロンバック氏は著書「The Age Curve」で、その影響力と購買力が薄れつつあるジェネレーション X とベビーブーム世代の両方を、ジェネレーション Y (ミレニアルとも呼ばれる) の人口が上回っている事実に言及している。グロンバックによると、米国内のジェネレーション Y 人口の半分は運転免許すら取得しておらず、実際に渡ることのできる「橋」よりワイヤレスの「橋」を選ぶかもしれない。

future_of_infrastructure_gen_y_millenialsインフラの根本的なデザインの変化が、その構造と提供の両方で、しかも急速かつ劇的に訪れている。ジェネレーション Y のアイデアは、かつてベビーブーム世代がそうだったように、未来を形作ることになる。ただしそれは社会問題や経済、環境における新たな優先順位が設けられた、彼らの祖父母世代のそれとは大きく異なるものとなるだろう。ベビーブーム世代とジェネレーション X の主な関心は、インフラを適切に、つまり間違いの無いように構築することだった。ジェネレーション Y の関心は、その域を超えている。彼らが気を揉むのは、自らに適切なインフラが構築されるかどうかだ。

それだけではない。今後 30 年を考えると、都市化は 2050 年までに 66% まで進むと予想されており、景気拡張がインフラの需要をかつてないレベルにまで押し上げるだろう。コストの単位は、もはや何万ドル、何億ドルではない。グローバルなインフラ課題は 57 兆ドルに到達しており、この要求を満たせるのはテクノロジーしかない。

こうした人口と需要のグローバルな課題と同調したテクノロジーの崩壊が、インフラへのアプローチ手段で大きな役割を果たすことになるだろう。ここで、インフラの将来のために発達、適応、準備するための 5 つの要因を紹介したい。

1. つながるインフラのブーム
コンピューティングがあらゆる場所とデバイス内に顕在化するようになった現在、つながるデバイスの数は約 500 億から 750 億台にまで急増している。この新たなコミュニケーションの様式は、IoT 周辺のテクノロジーと共に発展している。インフラはつながっていなければならないし、それは自動運転用の車車間通信(V2V)対応から橋の危険までを警告、予測したり漏水を防止したりするセンサーに至るまで、すでに始まっている。

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メルセデス・ベンツの Future Truck 2025 は、未来の物流を明示している。路上を自動走行するこの車は、10 年以内に市場投入の準備が整う予定だ。

例を挙げると、米国運輸省はつながる V2B 機能を検討中だ。米国経済における交通渋滞によるコストは、価格にして 872 億ドル、時間にして 42 億時間、ガソリンにして 28 億ガロンと推定されている。路車間通信(V2I)と V2V の機能を利用した「つながる車」はリアルタイムの交通や運送、駐車データを劇的に向上でき、効率性の最大化と渋滞の最小化を実現する交通システムの管理を容易にする。メルセデス・ベンツやアウディ、ボルボなどの企業が、すでに既存モデルをベースとした自動運転車をテスト中だ。

2. リアリティ コンピューティング
想像してみて欲しい。現実をテクノロジーに持ちこみ、それを再び現実に持ち込むことを。レーザー スキャニング、写真 (iPhone でも可能)、ドローンなどを使用して、誰でもオブジェクトをデジタルでキャプチャできる。画像やデータは、Autodesk ReCap などのソフトウェアへとアップロードされる。その後、この元のオブジェクトはデジタル エクスペリエンス、3D プリント、建築により物理的に再現されたり、業務における安全性モデルとして使用されたりする。

このリアリティ コンピューティングは、インフラにとって何を意味するのだろうか? モハーヴェ砂漠にあるリオ・ティント社のホウ砂鉱山を例に考えてみよう。この複雑な採鉱工程は、露天掘りの採掘現場、支援施設、出入通路から構成されている。すべては過酷な気候の影響に曝されており、特に路上はそうである。

鉱山は、所有する巨大な無人トラック群を稼働させており、トラックは GPS の指示に反応して路上を行き交う。トラックは無人のため、正確な情報と良好な道路状況が頼りだ。これらの情報を得るため、エンジニアは非常に危険な場所に立ち入って、頻繁に道路を検査している。巨大なトラックや、大規模な浸食や洪水により地滑りの危険のある傾斜地に立つことを避けるため、エンジニアたちはドローンを組み込んだリアリティ コンピューティングに着手することを決めた。

future_of_infrastructure_dronesSkycatch を使用して、ドローンで膨大な量の情報を短時間にキャプチャする。この情報はリアリティ キャプチャ ツールにアップロードされ、測定や分析の実行後、3D データがAutodesk ReCapAutodesk MementoAutodesk InfraWorks 360 に取り込まれ、日常業務に使用される。これらすべてにより、現場での一般的な作業状況がほぼリアルタイムでマネージャーたちに提供され、チームへ安全面で大きな利点をもたらしている。

3. 持続可能なインフラ
リアルタイムな情報を受信し、特定のデザイン・アプローチが社会や経済、環境に与える短期的、長期的の両方の影響を理解する必要性が極めて重要になりつつある。持続可能なインフラ評価システム (ENVISON™) や回復性計画、自然災害や人為的災害の対処などが、エンジニアリングの観点から新たなインフラを構築するだけではもはや十分でないことを示している。

コネクションの時代の訪れにより、デザイナーと施工業者はプロジェクト開始前に入手したデータに基づいて、より正確に理解と予見ができるようになった。掘り始める前にエネルギー性能を査定して、それを業務に上手く取り込むことが可能だ。たとえば、マンハッタンの操車場の上を 180 万平米にわたる多目的用地として活用する米国史上最大規模の民間不動産開発プロジェクト、ハドソン・ヤーズでは、エネルギー活用や、物流、廃棄物リサイクル、大気質、居住者の健康状態を測定やモニター、モデリング、予測するセンサーによる総合的なネットワークを配した、完全に定量化されつながった初のコミュニティとなる。その意欲的な目標が、居住者と建造物、輸送手段のかつてない融合をもたらす都市体験だ。

4. クラウド
クラウドは今や至るところに存在しており、将来のインフラ デザインにも幅広く影響を与えることになるだろう。SaaS からクラウドベースの無限コンピューティングまで、クラウドはつながるエコシステムの基幹となっている。

future_of_infrastructure_cloudクラウド コンピューティングのパワーは、ひとつのプロジェクトを現場レベルで描写するインフラ モデル作成を支援するだけでなく、近隣やさらには街全体など、より大きなエリアにまで拡張することができ、その場合もディテールや精度、リッチな 3D 空間情報の変更が失われることは一切ない。

また、インフラ資産の耐用年数のリスクと不確実性を把握することも可能だ。これはビッグデータを活用し、クラウド分析を使用してさまざまなデザインの選択肢のトリプル ボトムラインをリアルタイムに算出して、住みよい街が戦略的投資によって確実に提供にされるようにすることで実現する。そのいずれもが、かつては不可能だった。

5. デジタルからダイレクトにフィジカルへ
テクノロジーが、手作業の多くに取って代わる。それは今、GPS 機械制御からプレファブリケーション、さらにコンピューター制御された建築技術まで飛躍的な速度で成長している。最適化されたデジタル デザインが複雑な物的資産へとダイレクト変換される、コンピューター数値制御によるプレファブリケーション建築やロボットによる製造、新しい 3D/4D プリント技術への転換はさらに進むだろう。不可能なことは排除して、可能なことが残される。

こうしたテクノロジー崩壊の衝撃は、知的および物的生産の手段から需要、その結果としてもたらされる製品の特性までに及ぶ。カスタマーや住民は、彼らの金がどのように費やされるのか、また素材や構成など、街やインフラがどのように構築されるのかについて、より発言権を持つようになるだろう。インフラの将来のデザインは、あなたの手の中にある。

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