世界はますます複雑になっている。産業革命時代から行われてきた、数学や言語、科学などに細分化された科目ごとに学習を行うという、高等教育のアプローチにも変革が必要だ。

評価の高い大学が共有する特徴のひとつが、教育と伝統の機関としての長い歴史だ。だが、ものづくりの手法 (とその教育方法) のディスラプション (崩壊) は、至るところで生じている。そのため、大学が変化の波に乗ることができなければ、学習の未来において大学 (と学生たち) が、産業と仕事の革命、さらには複雑でグローバルな社会の需要に付いて行くこともできない。

高等教育は、21 世紀の学習と文化、未来のリーダー育成に適応する必要がある。そして、それは現在の大学での体験とは全く異なるものになるはずだ。

まずは、その背景を説明しよう。現在の大学制度の基礎は 19 世紀末から 20 世紀初頭に築かれた。それ以前には学位のようなものは存在せず、推奨コースのリストや単位もなかった。そこから評点方式が発展し、選択問題と画一化された試験が始まることになる。知識の細分化が始まり、科目が学科や学部へと分類されるようになった。

その進展のタイミングも重要だ。全ては産業革命の最中に始まり、教育への「産業的」アプローチが生まれた。それも当然だ。文化と時機に合致していたのだから。だがその時代が終わりを迎えたにもかかわらず、教育へのアプローチは、さまざまな意味でいまだに変わっていない。

学習の未来

今や世界はグローバル化し、学際的で、大規模にネットワーク化された多元的なものとなった。多くの産業や職業個々の役割が深刻な苦境に直面している。建築業界を例に取ってみよう。建築家の役割は、プラン作成を行う設計者から、例えば持続可能性に関する複雑な問題や、ビルの「スマート」な使用方法や管理方法を考える立場へと、この数年で劇的に変化している。こうしたこと全てを、従来の建築学の学位ひとつで教えることができるだろうか? それが問題なのだ。

では、教育の未来と、今日のニーズに応える新しいシステムの作成は、どうなるのだろう?その 4 つの変化と、変わりゆく時代に対応するため大学が適応していくであろう手法を紹介しよう。

1. 講義は不要
1 時間の講義を受けるために朝 8 時に講堂へ集合する、という日々は徐々に失われていくだろう。従来型の教授法は崩壊の時を迎えており、それは反転授業という新たな概念に端を発している。

教授が教室の前に立って講義を行うのでなく、学生が助言や指導、他の学生との協働を求めて教室に出向く。講義の「情報ダウンロード」は、ビデオや仮想ネットワーク経由で提供される。学生は、その情報を元に予習を行った上で教室にやって来て、その知識を教師や他の学生と直に触れ合うことで深める。同時に、反転授業以上のものが必要とされる。コミュニティの構築と体験の増大という目的のため、大学全体が転換するべきだ。

反転授業への流れ同様、「作ること」をベースとする教授法へのニーズも高まっている。ものづくりを通じて学生たちに学ぶことを教える、このアプローチの早急な適応は重要だ。大学から図書館まで、3D プリンター、CNC マシンなどを備えたメイカー・スペースを設置する傾向が全米で高まっている。学生が知識を素早く吸収するには、自分の手で実際にものづくりを行うのが優れた方法だからだ。

future of learning microcredentialing

2. 学位だけではない: マイクロクレデンシャル
キャリアにおいて、「単一」の役割を担うという制約は崩れつつある。分野を超えたスキルと知識が、より顕著に必要とされるようになってきているのだ。

ものがデザインされ、生み出される手法は、さまざまな業界をまたいで収束しつつある。建設業界の各社は、住宅ユニットや外壁、配管などの部品をプレファブリケーション方式により製造、組み立てることで、製造業界の企業のように業務を行っている。また家具やボート、自動車を設計する建築家もいる。

学位という枠の拘束を解くことが、学際的教育を実践にするアプローチとして牽引力を得始めている。文学士や理学士、経営学修士など単一の学位の取得でなく、何かを習得するごとに、細分化された学位の「マイクロクレデンシャル」(細分化された資格や技能を個々に認めること) が行われ、デジタルバッジが得られるようになっている。最終的に、これらのマイクロクレデンシャルとデジタルバッジは文学士に相当するものになるかもしれないが、さまざまな分野における実践的な問題解決能力、クリティカル シンキング、ソフトウェア使用能力など、達成された全項目は成績証明書へ明記されるようになる。

3. 重要なのは学生経験
現在、キャンパス外での活動は、学生の体験として、かつてないほど重要なものとなった。それはもはや留学プログラムだけに留まらない。大学は、地元の経済界や大企業、NGO、その他の団体など、学習の機会をキャンパス外に広げるという考え方にに適応する必要がある。

夏季のインターンシップ先を見つける責任は、長く学生に委ねられていた。だが、インターンシップは年間を通じて大学での学習と同時に進められるべきだ。また、インターンは新規採用の源となることも多いため、夏が終わっても能力の高い学生との関係を継続させることで、企業は学生の検討を続けて、トレーニングを継続することができる。インターンは様々な部署を回って自身の幅を広げ、最適な分野を見つけることが可能だ。

4. 成績評価はいらない
評価方式は 150 年前に始まった。これには進化、むしろ革命が必要だ。企業でインターンを行っているビジネス学専攻の学生に、反転授業の教材を実社会で応用する一環として、どんなテストを出すべきだろう? 学生が突き当たる様々なルートの全てを考慮し、どう成績評価へまとめればいいのだろう? 今のところ、それは不可能だ。

学習は教室や学外での経験、オンラインなど至るところで行われているから、キーになるのは教育の統合だ。知識を得る経路でなく、それらのつながりが重要だ。だからこそ大学には、学生が必要とする、こうした統合が必須なのだ。

学習のコラボレーションの未来

現在、大学が統合に取り組んでいる方法のひとつに、e ポートフォリオと呼ばれる、比較的新しい手法がある。学生は入学から卒業まで、e ポートフォリオを継続して作成していく。これによって全ての学習結果がセントラル データベースに集積され、学部メンバーのグループごとに毎年評価される。

これは、もはや成績評価に留まらない。重要なのは学習コミュニティなのだ。また学生にとっては、仕事に必要となるツールを学内で習得することも重要になっている。

今後 10 年間、大学の在り方は劇的に変わっていくだろう。これは必要な変化であり、避けようのないことだ。学生それぞれが、学習に関しては大きく異なった解釈を携えて入学し、インターネットとソーシャル ネットワークを駆使して成長していく。学生たちは、時と場所に関係なく、バーチャルに、またコラボレーティブに学んでいくだろう。今や大学は教育のリーダーシップという立場で、21 世紀のリーダーを教育し、輩出するための新たな道を切り開く必要があるのだ。

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