ジェネレーティブ デザインは過大評価? その革新性を再認識できる実例を紹介

by Scott Reese
- 2018年11月20日
ジェネレーティブ デザインの例: Lightning Motorcycles が再設計したオートバイのリア サスペンションのスウィングアーム
Lightning Motorcycles はジェネレーティブ デザインを活用して、オートバイのリア サスペンションの重要なパーツであるスウィングアーム (青色部分) を再設計

この 20 年間の製造業界で、最もエキサイティングな進化。私は、それがジェネレーティブ デザインだと考えている。過大評価だと思われるだろうか? そうした認識を改めるような実例を紹介しよう。

本題に入る前に、ジェネレーティブ デザインとは何であるかを整理しておこう。ジェネレーティブ デザインと混同されがちなテクノロジーに、トポロジー最適化がある。このトポロジー最適化も重要なものではあるが、ジェネレーティブ デザインで実現できることの、ほんの一部に過ぎない。それを混同してしまうと、ジェネレーティブ デザインの革新的な可能性を見失ってしまうことになる。

では、両者の違いはどこにあるのだろう?

一般的にトポロジー最適化とは、従来の方法で開発された既存の設計に対して、アルゴリズムによる後処理で最適化を行うことを意味している。不要な材料を除去した後にシミュレーションで有効性を確認する作業を繰り返して、性能特性を維持しつつも最も軽量な設計案を得るために使われることが多い。既存の設計を軽量化するには有効なプロセスだが、問題解決のための別のソリューションを探す方法ではない。トポロジー最適化はジェネレーティブ デザインではないのだ。

「従来の方法で開発された設計とは、エンジニアが推測で生み出した問題の解決方法だ」

トポロジー最適化で考慮されていないのは、従来の方法で開発された設計とは、エンジニアが推測で生み出した問題の解決方法だということだ。ジオメトリが事前に定義されているため、その問題に対する最良で最適な解を最適化アルゴリズムが見つけるには、既に拘束され過ぎている。この時点でアルゴリズムが実現できるのは、設計者の推測をもとに、それをわずかに優れたものとすることだ。優秀なエンジニアによって、その結果が素晴らしい推測になる可能性はあるが、最高の結果とは限らない。その場合、あらゆるトポロジー最適化は、次善の推測の向上になってしまう。

その一方でジェネレーティブ デザインは、プロセスのジオメトリ生成の部分から推測を排除する。ジェネレーティブ デザインでは、コンピューターへ「問題の解き方は分からないが、起こりうる問題を明確にする方法は理解している」と伝えることになる。このプロセスでは、まず制約 (負荷、締め具取り付け位置など) をキャプチャーし、環境 (重量、安全率、製造技術など) の設定を行う。

そしてジェネレーティブ デザインは、クラウドのパワーとスピードを活用してジオメトリのあらゆるオプションを探訪し、材料や製造技術、要求性能などに応じた何百、何千ものオプションを返す。そして設計上の問題を解決する膨大な方法の中で、そのプロジェクトに最も適した方法がどれかを決めることができる。

人間のエンジニアは設計に際して、意識的に、あるいは無意識のうちに、製造上の制約を常に考慮してきた。そうした歴史的なバイアスがコンピューターには無いため、人間の脳が想像もしなかったような多様な解を生成できる。これこそがジェネレーティブ デザインが、人間が設計したアイディア (とその全てのバイアス) だけで作られ、それを少し向上させたトポロジー最適化とは全く異なる理由だ。

真のジェネレーティブ デザインが約束するものを、理解いただけだろうか? 真実味が無いと思われる方のため、実例を紹介しておこう。ゼネラルモーターズ (GM) や Claudius Peters、エアバスなどの会社はすでにこのテクノロジーを、設計調査から部品一体化にまで活用している。

GM のエンジニアは 8 つのパーツで組み立てられていたシートベルト ブラケットを、ジェネレーティブ デザインを活用して 40% の軽量化、20% の強化を実現した単一のパーツに再設計した。このブラケットは目に触れないため、重視されたのは形状や美しさでなく、重量や安全性、パーツ数の削減、サステナビリティ、製造性だった。製造、管理、組立を行うパーツ数を減らすことで生まれたメリットは、大幅な節約とプロセスの簡易化にも役立った。

Claudius Peters Projects GmbH もジェネレーティブ デザインによる向上を実現した会社のひとつ。この会社は石膏やセメント、石炭、アルミナなどの材料処理システムの製造を行なっている。Claudius Peters のチームは、最大規模の機材の設計、製造にジェネレーティブ デザインを活用。ジェネレーティブ デザインの産物からインスピレーションを得て、それをリバースエンジニアリングして従来の製造方法で製作できるような新たなデザインを生み出した。向上した設計により機材の重量は 25% 削減でき、過去に問題となった弱いエリアも削除できる見込みだ。

ヨーロッパの航空宇宙会社エアバスは、航空機のキャビンを分割するパーティションの、何千ものバリエーションの探訪にジェネレーティブ デザインを活用している。その成果であるデザインは以前の重量の半分になっており、全ての安全要件を満たしつつ何億円にも相当する燃料コストを削減可能。新しく軽量なデザインは、これまで何十年も使われてきた従来のものより強靭で優れた性能だということも確認されている。

下記のビデオでは Lightning Motorcycles が、オートバイのリアサスペンションの主要パーツであるスイングアームの再設計にジェネレーティブ デザインを使った方法が紹介されている。

これらの例は、いずれもトポロジー最適化では実現不可能だ。有効なオプション全てを探訪して、そこから最高の成果を得ている。ここで紹介した各社は、ジオメトリから始めてはいない。問題点と望む結果からスタートして、その計算はコンピューターに任せている。

エンジニアリングの究極のゴールは、与えられた設計課題に対して、性能のコストの最良のバランスに到達することにある。だが、エンジニアが設計課題に割り当てられる時間とエネルギーには制限がある。コンピューターにはそうした制限はないので、有効なオプション全ての探訪が可能。しかもアディティブ マニュファクチャリングやその他の先進的な製造テクニックによって、いまやそうしたオプションの全てが製造可能となった。製造の能力が、初めて設計の能力を大幅に凌駕したのだ。

現在はエンジニアたちの能力が、革新的な新製品につながらないような、つまらない作業に浪費され過ぎている。ジェネレーティブ デザインはコンピューターの活用により、エンジニアをそうした「思考」から解放し、その能力を未解決問題の解を見つけるイノベーションに適用可能とする。

ジェネレーティブ デザインを活用するには考え方を変える必要があるが、世界中のデザイナーやエンジニアが、単なるツールでなくパートナーであるコンピューターとともに解決できる問題を考えてみよう。アイデアは広がり、メーカーは、より短時間に低コストで、かつより高度にイノベーティブな、より多くの製品を提供できるようになる。

だが未来を想像しなくても、ジェネレーティブ デザインは既に存在している。いまやデザイナーやエンジニアひとりひとりが、7年前に地球上に存在していた以上のコンピューティング パワーにアクセスできる。自問すべきは、それをどう使うのかということだ。

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