CAD は設計を支援しない: ジェネレーティブ デザインによる救済

by Jeff Kowalski
- 2016年4月20日
この軽量なロードベアリング・ブロックの創造にAutodesk Withinジェネレーティブデザイン・ソフトウェアが使用された

数十年繰り返すことで、それが真実とはならない。それは簡単に証明できる。これまで 52 年間、CAD はコンピューター支援設計 (computer-aided design) の頭文字だと考えられてきた。

だが、その真実とは。実際のところはコンピューター支援文書 (computer-aided documentation) なのだ。

コンピューターは設計を支援しない。設計は頭の中にあって、コンピューターを使い、それを文書にしているだけだ。では、本当のコンピューター支援設計を邪魔してきたのは何だろう。それを視覚化してみる。

DOS text onscreen

クラシックな C:\> プロンプトを考えてみよう。

お分かりだろうか? 何かを想像しても、それは、ただそこにあるだけだ。白いテキストと、黒いバックグランド。でも、何も起こらない。コンピューターは、常にこのように使われる。実行するための受動的なツールとして使われ、どうするかを人に言われるのを待っている。

では、コンピューターをそれ以上のことに使うには? 探求のパートナーにするには、どうしたらいいだろうか? 新たに発見された、コンピューターがより創造的で学習するものとなる能力によって、それが現実になろうとしている。

ジェネレーティブ デザインの核心は、コンピューターがそれ自身で創造的にアイデアを生み出すことにある。ジェネレーティブ デザインにおいては、コンピューターと目標を共有し、達成したいことを制約とともに伝えると、コンピューターはソリューションの空間を探求して、ユーザーは自分では考えたこともないようなアイデアを創造できる。

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NASAが1960年代にデザインしたアンテナ

その例を紹介しよう。上の写真は 1960 年代に NASA がデザインした、スペースミッションに使われたアンテナだ。あるエンジニアがデザインしたこのアンテナは、ハイパフォーマンスでエレガントなデザインとされていた。

その約 10 年後、エンジニア達は何千というアンテナ デザインの創造と分析を行い、パフォーマンスをシミュレートして、それを徐々に進歩させることでさらにハイ パフォーマンスなソリューションを達成するアルゴリズムを開発。そのプロセスの結果が下のデザインであり、見た目は少し奇妙だがパフォーマンスは当初の 2 倍になった。

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コンピューター アルゴリズムがデザインした、より効率的なアンテナ

生物学者のダーシー・ウェントワース・トムソン氏は1915年に「ものの形は力の図式だ」と述べた。

それは美しい表現だと思うし、オートデスクはまさにそのコンセプトを 100 年後に Dreamcatcher で採用している。このリサーチ プロジェクトは、デザイナーが物体へ働く力を表現すると、コンピューターがそこから始めて物体を作り上げるというものだ。この力は構造的な負荷や、製造方法の場合もある。

例として、F1 レースカー用のロールフープをデザインする場合を考えてみよう。これはドライバーの頭の真後ろにあるパーツだ。従来の方法では、まず頭の中にアイデアを浮かべ、それをコンピューター内でデザインしたら、それがどう機能するかを解析ソフトで確認する。

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ドライバーの頭の真後ろにある F1 レースカーのロールフープ

Dreamcatcher では、コンピューターと目標を共有することから始めて、それをどうしたいかでなく、何を達成しようとしているかを伝える。明確に定義された問題を表現して、それからコンピューターはジェネレーティブな方法を用いて見込みのあるソリューションを大量に創造し、クラウド コンピューティングにより自動的に合成を行う。

ここで重要なのは、1 種類のデザインを行う時間で、Dreamcatcher は全てを行うということだ。デザインの提案が探求ツールの形で戻され、そこから様々なデザインへ舵を切ったり、それぞれのソリューションにおける長所・短所の関係を理解したりすることができる。このプロセスで興味深いものを発見することもあり、ループを反復することが問題の再定義に役立つが、最終的にはコンピューターのどのデザインを製作するかを選択することになる。

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コンピューターが全てをデザインしたロールフープ

このロールフープの例では、コンピューターは Google から F1 カーのスペックシートをダウンロードし、自然言語処理を利用して仕様そのものを読み取る。そのスペックを翻訳して、デザイン全てのジェネレートを開始。この段階でデザイン エクスプローラーへ戻り、それぞれのデザインにおけるパーツとコストのトレードオフを確認したり、素材を変えたりする。この画像は、コンピューターが要求事項文書から、全く人の手を借りずにデザインしたロールフープだ。

コンピューターがクリエイティブになり、人間が発展させられるようなアイデアを生み出すことが可能になった。コンピューターの学習能力は、創造性以上に目覚ましい変化を遂げている。

以下の写真に付けられたラベルは、コンピューターが自動的に生成したものだ。トレーニング セットとして厖大な数の画像を見せられた結果、これまで見たことの無いものにも、どうラベルを付けるべきかを理解している。とても込み入った画像だが、コンピューターはそれが「フリスビーで遊んでいる若者たちのグループ」であることが分かる。この白い物体は、フリスビーではあるものの、短い線に過ぎない。それなのに、どうして分かるのだろう?

machine_learning

オートデスクは、同様のアイデアをデザイン ソフトウェアや分析に適用している。

自分が行った多数の分析を振り返ってみると、おかしなことに、私はそれが終わるや否や捨ててしまうし、コンピューターは起こったことの記憶を喪失してしまう。良い結果も教訓を含んだ悪い結果も全て蒸発しまい、コンピューターは次の質問を、これまでに見たことも無いものとして扱う。だがループ内に機械学習システムがあり、空気力学に関連する何かを分析するたびに、コンピューターが原因と結果の関連性に関する印象を感じられたらどうだろう? それが何度も起こったら、結果はどうなるだろう?

見解へ達するための深い分析は、やがて不要になる。私に予感を伝えてくれる深層学習システムを手にできるようになるからだ。実証済みの分析コードをもとに、より深い調査が必要かどうかが常に尋ねられる。セカンドオピニオンがあれば望ましいが、私は大抵の場合に素早く得られる、空気力学が意味する要旨で満足だ。こうなると、コンピューターへこれまで見たことも無い真新しいものを見せれば、それが航空力学的なものであるかどうかの回答を与えてくれるだろう。

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Autodesk Dreamcatcher のワークフロー

コンピューターが意見を持つようになるのは、驚くべきことだと思う。だが、本当に面白いのはここからだ。コンピューターが、それを空き時間に行うことを考えてみよう。もしそれ自身の新しい形を生成し、それを分析して、原因と結果の関連性を理解するとしたら? そうした連携を理解するシステムで、会社が取り組むことに対しての予感を得られるようになる。

新たなデザイン ツールを学ぶことについては、これまで繰り返し語られてきた。そろそろ「あなた」のことを学ぶデザイン ツールについて、語る時期ではないだろうか!

イマジネーションとイノベーションに、かつてないほど頼る世界になっている。それが無限の表現性の世界におけるツインエンジンであり、嬉しいことに、誰もがそれに力を与えられる。イマジネーションとイノベーションにより、デザイナーがデザインやものの創造へ熱意を抱き、私はイマジネーションの時代、つまり CAD が「computer as designer」の頭文字である時代に向けたツールへ取り組むことに、とても興奮している。

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