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リスペクト: 名前より発明を残したエンジニア、ジョージ・ウェスティングハウス
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リスペクト: 名前より発明を残したエンジニア、ジョージ・ウェスティングハウス

by Gary McCormick
リスペクト - 2017年12月18日
ジョージ・ウェスティングハウス 発明
Image composite: Earl Otsuka

ウェスティングハウスは、19 世紀後半からブランドとして広く知られる存在になった。だが、そのブランドを生み出した人物であるジョージ・ウェスティングハウスは、あまり知られていない。

彼は多数の会社を立ち上げ、自身の達成した技術的偉業により世界を変貌させた。だが、現在も膨大な数の人々の生活に影響を与え続けている 2 つの重要な発明の貢献者、ジョージ・ウェスティングハウスの名を知る者は、エンジニアリングと技術の歴史に詳しい者以外にはほとんどいない。ウェスティングハウスは南北戦争の直後、自動空気ブレーキ システムを発明する。これは鉄道の安全に飛躍的な進歩をもたらした。その 30 年後には交流電流 (AC) で「電流戦争」に勝利を収め、電力を家庭、産業で使用できるものとしている。

ウェスティングハウスは、1846 年、ニューヨークのセントラル・ブリッジで生まれた。父親が所有する機械工場 Westinghouse Machinery Co. で見習いとして働き、機械設計と製図を学んでいる。南北戦争中は下級技術士官としてアメリカ海軍に従軍し、エンジニアリングに関する技能、鍛錬とサービスの精神を磨いた。これらの資質が、その後の人生とキャリアを特徴付けることとなる。

George Westinghouse at work in 1910.
ジョージ・ウェスティングハウス (1910 年) [提供: Detre Library & Archives, Heinz History Center]

鉄道革命

ウェスティングハウスが自動空気ブレーキ システムを発明するまで、旅客列車や貨物列車には制動手と呼ばれるブレーキ係が乗務し、各列車の屋根の上に取り付けられたハンドルを手で回してブレーキを作動させていた。これは危険な仕事であり、効率も悪かった。ブレーキを作動させてから列車が停車するまでに 3 km 以上もかかるのだ。ウェスティングハウスのシステムでは、各車両が圧縮空気でブレーキを同時に作動させられる管でつながれていた。この新しいブレーキ システムにより停車距離が数千 m から数百 m にまで短縮されることで毎年多数の事故が防がれ、何百もの人命が救われた。

ウェスティングハウスのコレクションを多数収蔵するジョン・ハインツ上院議員歴史センター (Senator John Heinz History Center) のキュレーター、エミリー・ルビー氏は、「これが、鉄道の安全と移動に大きな変革をもたらしました」と述べている。

Westinghouse Air Brake Company (1869 年に設立され、現在も事業を継続) の成功により、ウェスティングハウスは他分野の研究も行えるようになった。1885 年、イギリスの専門誌「Engineering」に掲載された記事が、彼の交流システムへの興味に火を付ける。これが後に、世紀の大発明家である「あの人物」とウェスティングハウスを接触させ、対立させることさせることになる。そう、トーマス・エジソンだ。

ウェスティングハウス エア・ブレーキ・カンパニー 作業員
Westinghouse Air Brake Company の作業員 (1895 年) [提供: Historic Pittsburgh/Detre Library & Archives, Heinz History Center]

「電流戦争」の始まり

1880 年代、電気事業は黎明期にあった。当時、多くの装置は直流 (DC) 電流で駆動されており、軽工業や事務用機器には電池が使われることが多かった。エジソンが発明した白熱電球をベースとする電灯照明が浸透しつつあり、高電圧の交流が使われる機会は限定的だが印象に残るものだった。例えば青白色の街灯によって、ニューヨークのブロードウェイは「不夜城 (The Great White Way)」というニックネームを得ている。

一方、低電圧の直流が電力を供給できるのは、発電所から数千 m の範囲に留まった。直流の中央発電所で町全体を十分にカバーできる小さな町ではうまく行ったものの、都市部には対応できない。

エジソンがストック ティッカー マシン (株式相場データを細長い紙テープに印字する機械) や電信受信機、白熱電球に電力を供給する直流方式の普及に全力を注ぐ一方で、ウェスティングハウスは、より扱いの難しい交流に大きな可能性を見出した。突破口となったのは、交流電力と、圧縮空気や天然ガスの伝送システムとの類似点に気付いたことだった。

電気を流動体のように扱う

照明や暖房に使用される天然ガスは高圧で生産され、長距離の伝送が可能だ。使用される地点で減圧弁を使用することで、その圧力を安全なレベルまで下げられる。電流の場合、電圧は圧力に類似しており、高電圧の交流電力は長距離を伝送できる。使用する場所では変圧器が減圧弁の役割を果たし、家庭や産業での用途に安全な程度まで電圧を下げるのだ。

「天然ガスが優れたエネルギー源であることはよく知られていましたが、それが産業となったのは、備蓄や供給、変換、計測を行うシステムをウェスティングハウスが開発してからです」と、ルビー氏。「これはウェスティングハウスに、目的地に到達してから電流を「変換」するという、交流の実用化のアイデアも授けることになりました。彼の業績は全てつながっており、それが他の産業における新たなアイデアの創出を促進したのは、とても興味深いことです」。

ニコラ・テスラ 肖像画
セルビア人の発明家ニコラ・テスラ [提供: Historic Pittsburgh/Detre Library & Archives, Heinz History Center]

1885 年、ウェスティングハウスはフランス人とイギリス人のデュオ、ゴーラールとギブスが特許を持っていた変圧器の米国における権利を購入し、すぐさまその改良にとりかかった。聡明なセルビア人発明家ニコラ・テスラと連携するようになったウェスティングハウスは、テスラのデザインをもとに、初の実用交流発電供給システムを生み出す。また、エジソンの白熱電球に競合する電球も発明した。

だが、AC 電力における最大の功績は、テスラが初の実用交流電動モーターを開発した際に生まれた。危険な火花を生じさせることなく、またDC モーターでは避けられない物理的摩耗の起こる構成要素を少なくできる交流電動モーターは、交流電力が産業へ応用される際の重要な要素となった。

「魔術師」とのいざこざ

「メンロパークの魔術師」との異名を持っていたエジソンは、電気を自身の専門領域であると考えていた。この論争にウェスティングハウスが参加したことに激怒したエジソンは、「奴に空気ブレーキへ専念しろと伝えろ」と叫んだと伝えられている。

ウェスティングハウスはエジソンの直流方式のコピーではなく独自の方式をデザインしたのだが、にもかかわらずエジソンは、ウェスティングハウス側を相手に広告戦争を繰り広げ、高電圧の交流電力を、危険で破滅的なものだと公然と非難した。エジソンは死刑執行に電気椅子の使用を働き掛け、交流電流による処刑に「ウェスティングハウスする」という中傷的な表現を使用するという提案すら行っている。

1893 シカゴ万国展覧会
1893 年のシカゴ万国展覧会の Electricity Building 内部の様子
[提供: Historic Pittsburgh/Detre Library & Archives, Heinz History Center] 

この戦いに、最終的にはウェスティングハウスとテスラによる交流方式が勝利を収めた。特に、 Westinghouse Electric Company は 1893 年のシカゴ万国博覧会のイルミネーションの契約も勝ち取り、2,000 馬力の Allis-Chalmers 製蒸気エンジン 1 基と 1,000 馬力のエンジン 12 基により駆動する交流中央発電所の設計と製造、設置を行った。この発電設備は博覧会場内のパビリオンや広場、歩道に設置された、ウェスティングハウスの設計によるランプ 16 万個に電力を供給。全てのランプは中央のスイッチング システムから、オペレーター 1 名だけで制御されている。

1896 年 11 月 16 日、Niagara Falls Power Company により直流の終焉が告げられた。この野心的なプロジェクトは、ナイアガラ川の水流を巨大な地下トンネルへと誘導し、ウェスティングハウス製タービンと発電機を回転させて、ニューヨーク州バッファローの工業地帯に電力を供給するというものだった。

その名は生き続ける

JP モルガン (初期におけるエジソンの資金提供者だった) により引き起こされた 1907 年恐慌による経営危機で、Westinghouse Electric Manufacturing Company の経営権は、創業者のウェスティングハウスから奪われてしまう。自動空気ブレーキと他の幾つかの会社はウェスティングハウスの手元に残ったものの、回復できないほど大きな一撃を受け、健康を害した彼は 1914 年 3 月 12 日、67 歳でこの世を去った。

Westinghouse lightbulbs from 1968
1968 年の電球パッケージには、著名なグラフィック デザイナーであるポール・ランドが 1959 年にデザインした、ウェスティングハウスの「W」をかたどったロゴが印字されている [提供: Historic Pittsburgh/Detre Library & Archives, Heinz History Center]

容赦ない自己宣伝家だったエジソンとは対照的に、ウェスティングハウスは内気な性格で、自分個人よりもその功績にスポットライトが当たることを好んだ。歴史家で作家のジル・ジョーンズ氏 (「Empires of Light: Edison, Tesla, Westinghouse, and the Race to Electrify the World」の著者)は「ジョージ・ウェスティングハウスが有名でなく、そして今後も有名になることはないであろう理由は、その材料となるもの自体がないからです」と述べている。「ウェスティングハウスは、私文書を一切残していません。今後、恐らく 30 - 40 歳台以下の人がウェスティングハウスの名を耳にすることはなく、その姿は徐々に消えていくでしょう」。

ウェスティングハウス ブランドは、家電やラジオ、工業電気装置として 20 世紀に成功を収めたが、Westinghouse Electric Corporation は 1990 年代半ばに解体された。工業、技術部門は売却され、放送部門 (アメリカのラジオ局、その後テレビ局ネットワークのビッグ・スリーのひとつ) のみとなっている。

ウェスティングハウス自身は無名であることを望んだが、それでも彼は産業技術の初期における重要人物であり続ける。エジソンの写真や映画、白熱電球ほど一般の目に触れてはいないとはいえ、彼は交通や電力の基幹技術を支え、現在の世界を形作られるのに貢献した人物なのだ。

#機械工学 - #資源エネルギー

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