環境に配慮した建設テクノロジーの注目すべき 5 つのトレンド

by Construction Executive
- 2018年2月8日
建設現場 作業員 テクノロジー
今後数十年で建設量は爆発的増加へと向かう。それは乏しい資源の管理において、テクノロジーがより重要な役割を果たす必要が生まれることを示している。

世界の建設市場は、2030 年までに 85 % 拡大すると予測されている。この事実は、建設業界を厳しい立場に立たせる。世界は資源不足の拡大に直面しているにもかかわらず、業界は、この増大する需要に応えなければならない。しかも、効率の高い (さらには“ネットゼロ”の) ビルの需要は高まるばかりだ。

BIM ワークフローを採用し、環境に配慮した建設テクノロジーを最大限に活用するイノベーティブな企業にとって、この挑戦は今世紀最大の好機となる可能性がある。業界をより良い方向へと変化させ、建築環境を将来的にも有効なものとするのに役立つ、最新テクノロジーの 5 つのトレンドを紹介しよう。

1. 建設の工業化

プレファブ、オフサイト、モジュラーなどの工法の採用が増加しつつあり、このトレンドの促進に BIM も貢献している。これは関係者、環境の両方に利益をもたらす良いニュースだ。建設が現場から離れた場所へ移動することで、建材を極めて優れた効率で管理し、コストを削減して、ビルの最終的な炭素排出量を低減させることができる。材料の加工時に正確な設計、切断、組立ができ、許容誤差を小さく保つことが可能だ。許容誤差が小さければ、建物のエネルギー効率も、より優れたものになる。制御された工場のような環境での材料のプレカットや建築部材の組立を行うことで、より合理化された建設プロセスが可能となり、現場での混乱も最小限に抑えることができる。このアプローチは過剰生産によるムダや廃棄物も削減し、運用のパフォーマンスを高めることになる。

建設関係者も、制御されたオフサイト環境により作業員の安全性向上というメリットを享受するが、利点はそれだけに留まらない。施工会社も、モジュラー組立の作業と現場のスケジュールを分離することで、ばらつきを抑え、納品スケジュールをより効率的にできる。モジュラー建築は、それを現場で組み立てるより性能が優れていることが判明しており、オーナーや経営者にかかるエネルギー コストを抑え、占有期間あたりの炭素排出量を削減する。

建設現場 作業員 タブレット
BIM は建設業界の企業によるスクラップ廃棄物の回収を支援し、それがコストと環境への影響の削減につながる

2. 循環型 (サーキュラー) 建築

解体業者は、通常は建材の回収費用を見積価格に含めている。だが BIM を使うことで、ビル建築やテナント改修を、その耐用年数を通じてコスト効率に優れ、環境保護の面でも理に適ったものにできる。莫大な量の建設廃棄物や解体廃棄物が、現在も仕分け不能な廃棄物として埋め立てゴミとなっている。こうした廃棄物は、その価値そのものと、炭素排出量を削減する機会の喪失を示している。鋼などの材料を再利用することで生成される温室効果ガスの量は、使われない材料の製造と比較すればわずかなものに過ぎず、大抵はコストも低い。

BIM は、より「循環型」のモデルに対する道を開く。循環型モデルでは、材料はより長期にわたって維持され、そのままの形で再利用されたり、可能な限りリサイクルされたりすることで、資源危機の緩和に役立つ。また、一部の地域、特にヨーロッパでは、業界は建物を「材料の貯蔵所」として扱う傾向が高まっている。部品表 (BOM) を極めて正確に生成できる BIM の機能は、「材料のパスポート」の作成を後押しする。これはデベロッパーやオーナー、テナントが、建物の新築やテナント改修にどの材料が使用されたのかを正確に把握、追跡して、将来の回収をより容易なものとするのに役立つ。解体と「可逆的」な建設技術を念頭に置いたデザインは、建築物を最小限の努力で再び材料へと還元できることを保証。BIM は材料の再利用の合理化と、それに配慮した計画の策定、指針の提供と、その実行のために必要な時間とコストの削減に役立つ。Royal BAM など大規模な事務所の一部は、ビル組立のシミュレーションを行い、その解体に「バーチャル デザイン&コンストラクション (VDC) のアプローチを採用している。この VDC は、今後数年間で普及するであろうトレンドだ。

3. BIM に対応した超最適化プランニングとスケジューリング

BIM は VDC を業界へと送り出し、工法の事前計画とシミュレーション、視覚化をより簡単なものにしている。ますます普及しつつある、(3D に時間軸、コスト軸を追加した) 4D / 5Dの建築が、現場作業の能率化とスリム化に役立つようになった。こうした実践は、使用されるエネルギーと材料を最小限に抑え、生じる廃棄物を削減することで、建物の炭素排出量を効果的に低減させる。このトレンドをフル活用するプロジェクトは、環境に与える影響を小さくするよう綿密に建設作業の流れを計画することにより、コストやロジスティクス、スケジュールのかつてない削減を実現し、収益を増大させている。

その一方で、BIM テクノロジーもスマート化が進んでいる。今や機械学習は日常レベルで、現場でのタスクの優先順位の判断とリスク管理に役立っている。そのうち建設ソフトウェアが計画プロセスの初期段階で、より優れた代替案をインテリジェントに提案するようになるだろう。ゆくゆくは、環境に配慮したリーン コンストラクションの工事計画を、BIM をベースとしてエンドトゥエンドで自動生成するようになるかもしれない。

建設現場 作業員 タブレット プロジェクト情報
BIM ツールは計画と実行の重要な場面で、環境への影響に関する実用的なデータを示す

4. 環境コスト削減の数量化

環境に配慮した建物は資産価値を高めるが、実際にプロジェクトがどれほど良好に機能しているのかを把握し、比較用に適切なベンチマークを選択するのは、なかなか難しい場合がある。また気候変動に対する世界的な関心が高まるにつれ、建設などインパクトの大きな分野の環境への影響に対する説明責任が、ますます重要になるだろう。エネルギーと材料の削減を数量化することは困難な作業であり、そうした要素を削減される炭素排出量へと換算するのは、さらに難しい。だが、こうした数値は告知にもとづいた意思決定に、そして重要性が増す規制基準の法令順守のために不可欠だ。

将来的には、計画や実施の重要な場面で、アクション可能な環境への影響に関するデータを示す BIM ツールが登場してくるだろう。施工会社が入札プロセスで、より環境に配慮した建設に関する合理的な判断を行い、環境と財務上の決定論理を明確に伝えるのにテクノロジーが役立つ。そのうち機械学習と AI が最適な選択肢を自動的に提示し、そのコストや材料、炭素排出量、さらには水に至るまでの、資源削減の提案を提供してくれるようになるだろう。

5. 建物の仕様を左右するエネルギー分析

今や建築設計者はエネルギー分析ツールにより、建築エネルギー性能をコスト効率に優れた方法で最大化できるようになった。だがエネルギー効率に関する懸念は、建築家や MEP エンジニアに限ったテーマではない。施工会社も、まずは建物のエネルギー消費の原因における最も影響の大きい要素と影響の少ない要素を識別することで、バリュー エンジニアリング時にエネルギー分析を活用できる。プロジェクトによってはグレージング (窓やドアのガラス) の種類が大きな影響を及ぼす選択肢であり、その建物が設計通りの性能を発揮するために「不可侵」なものとして扱うべき場合もある。外壁の仕様がそれに該当することもある。このアプローチを用いることで施工会社は、建築性能に最小の影響しか与えない場合に限り、必要に応じた設計仕様の変更を行ってコストを削減可能だ。これにより設計通りのエネルギー性能への「妥協点」を数値化し、最小限に抑えることができる。

これはトレードオフの管理にも役立ち、当初のコストに含まれていた、より高価な項目についての説明を提供する。例えば、より高価なグレージングを採用することで、冷房負荷を低減し、より小型で低価格な冷却装置が使用可能となる。この例では実際にコスト ニュートラル以上を実現できる。建物の占有期間にわたって配当が支払われ、運用エネルギー コストと炭素排出量を削減できるためだ。

本記事はオートデスクのマイケル・フロイドが執筆したものです。「Construction Executive」に、この記事の別バージョンが掲載されています。

関連記事