危険緩和: 明日の災害に今すぐ備える

by Ken Micallef
- 2016年4月23日
2015年6月10日、ネパール・カトマンズ盆地バクタブルで4月25日に発生したM7.8の地震後瓦礫の山となった通りを歩く女性

地震。津波。洪水。気候変動から自然に起こる地球の地殻変動まで、自然災害はいつでも、どんな場所でも起こりうる。だが開発途上国においては、危険緩和の手段がなければ、その影響はさらに壊滅的となる。

NGO のGeoHazards International (GHI) の目的は「世界で最も不安定な地域の地震や津波、地滑り、気候変動などの災害への取り組みを支援します。我々のソリューションは、その準備や緩和、リスク管理を行うための地域能力の育成を重視しています。GHI は 1991 年以来、政治や営利、研究の圧力からの独立性を保ちながら、この重要な使命を追求しています」とされている。

GHI 最高執行責任者/プロジェクト・マネージャーのジャニース・E・ロジャーズ氏は、これまでネパール、ブータン、パキスタンで活動し、日々地球の変化と闘っている地域へリスクを低減する方法についての知識を提供している。

「最初に尋ねるのは、現在講じている予防措置についてです」と、ロジャーズ氏は話す。「そのプロセスと方針を尋ねることで、どう事を進めていくべきかが分かります。災害とは何であり、何が危険にさらされているのかを、まず知る必要があるのです」。

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大雨により誘発されたインド北東のアイザウルで、地滑りにより危険にさらされた斜面に建つ家屋。この山岳都市は頻繁に生じる雨による地滑りと大地震の脅威に直面している。GHI は地域の専門家と連動し、地滑り時の行動計画と地震によるリスクを低減するために優先すべき取り組みを打ち出した。 [提供: ジャニース・E・ロジャーズ]

ロジャーズ氏とそのチームは、危険にさらされている地域が地震や地滑り、台風、津波の影響を最小限に抑えられる手段を提供している。氏が説明するのは、以下のような方法だ。

問題を理解する
「地域によっては、複数の災害に対処しなければなりません」とロジャーズ氏。「それぞれの災害が引き起こす脅威を理解するため、情報の収集が必要です。例えば、ヒマラヤなど地震活動が活発な山岳部では、地震以上に地滑りが頻繁な脅威となり、人々に影響が及んでいるか、その結果がどうなるかを確認するための地理空間情報が必要となります」。

「津波が引き起こす問題は、それとも異なるものが含まれます。人々を氾濫エリアから避難させる必要があり、それをどう実行するかが重要です」と、彼女は続ける。「海面上昇は、津波や高潮など、その他の沿岸災害への脆弱性を高めます。例えば小規模な津波や高潮が、より広範なエリアを浸水させるようになります。しかし、どのような災害でも、人々がどのようにリスクに取り組んでいるか、何が危険にさらされているのかなど、内在する事柄を理解するための質問を行うようにしています」。

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インド・アイザウルで降雨により引き起こされた地滑りの影響 [提供: Lalrinpuii Tlau]

行動計画を作成する
「1990 年代後半、カトマンズ (2015 年 4 月に M 7.8 の地震が発生) で地震学や地質学、計画、技術政策、緊急対応など、幅広い領域から地震の危険性を理解する当局や技術専門家を招集しました」と、ロジャーズ氏は話す。「(カトマンズに甚大な被害をもたらした) 1934 年のビハール・ネパール大地震のようなことが再び起きたらどうするのか? 何をする必要があるのか? 次の地震まで 20 年あるとして、この期間にリスクを低減するために何をすべきなのだろうか?」

「彼らは学校や建築技術、一般認識の向上への取り組みを優先事項に定めました」と、ロジャーズ氏は続ける。「行動計画は、人々に方向性を与えます。リスクがどうしようもなく巨大なものに思えるとき、人々を団結させ、最初にすべきことについての意思統一を行うことは、非常に有益です」。

新たな建物を適切に建てる
「新しい建築構造は、従来よりそれほど高価なわけではなく、耐震性のためのコストは全体の 5 ~ 10% ほどです」と、ロジャーズ氏。「耐震構造の建造に、追加コストがかからない場合もあります。施工業者が建物の適切な箇所にスチールやコンクリートを使用するだけでいいのです。安全性を高めるには厚い床板が必要だと考える人もいますが、床板よりも柱にコストをかけるほうがずっと耐震性に優れた建物になり、また実際にかかるコストも低減できます」。

「ネパール国内の調査によると、人々は子供達が通う学校の地震時の安全にかなりの額を投じていますが、自宅にはそれほどお金をかけていません」と、氏は続ける。「経済的に妥協するしかないからです。しかし最初から適切な方法で建造すれば、後に改修が必要となる心配もありません」。

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アンデス山脈にある村の学校を補強し耐震にするペルー・チョコスの石工たち。こうして、他の建物でも使用できるよう技術を学んでいる。GHI のトレーニングを通じて、より強固な日干しレンガの作成、地震時に壁の崩落を防ぐ膜状金網の追加、壁と天井の適切な連結といった知識を学んだ [提供: デヴィッド・エルモーサ]

必要に応じて補強する
危険度の高い古い建物は、修復や補強を施して耐震性を高めることができる。「扉の上に渡されたまぐさ石の位置に、金網で出来た「耐震ベルト」を建物の周りを取り囲むように取り付けることで、インドの石工養成学校を補強しました」と、ロジャーズ氏は話す。「こうすることで、建物を結束させることができます。この手法は、無補強のレンガ造りの建物に対する改修におけるインドの規格として成文化されています。私たちはこの手法を開発した人物をチームに招きました」。

「同じプロジェクトで、私たちのチームは強化コンクリートせん断壁を使用して緊急通報センターを補強しました」と、氏は続ける。「この建物はインドの多くの建物同様、コンクリート骨組にレンガを埋め込んだ構造になっています。このコンクリート骨組は最低限のレベルの地震設計となっています。延性がないため、コンクリート骨組は突如としてその機能を果たさなくなります。そこで建物の外周に沿ってせん断壁を「ブックエンド」のように配置し、骨組に連結させます。これによって建物の極端な動きを抑制して柱の機能停止を防ぐ、強力で堅牢な構成要素が生まれます」。

コンプライアンスを得る
「我々が活動する場所のほとんどに、人々の安全を守るための規制が用意されています」と、ロジャーズ氏。「難しいのは、コンプライアンスを得ることです。米国内では、コンプライアンスの取得の仕組みは規制機関により執行されます。しかし我々が活動する場所では、その仕組みがないこともしばしばです。インド国内の多くの地域では建築基準は強制ではないため、必ずしも従う必要はありません。これは建築規則が地域により異なり、国が定めた基準を義務とするか勧告とするかを各地方自治体が選択できるためです。つまるところ自治体が、この基準を人々の安全を守るものとして見るのかどうかにかかっています」。

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