生きている! ジェネレーティブ デザインが自然とテクノロジーを融合させて物体に生命を

by Jeff Kowalski
- 2015年2月2日
ジェネレーティブ デザイン イメージ
Micke Tong

これまでに想像、デザイン、クリエイトされてきたビルや橋、車や機会、製品やデバイスなど、素晴らしい物の全てに共通すること。それは、どれもが死んでいるということだ。

こうしたものは、みな不活性なプロセスの結果であり、生命の特徴に欠けている。その周りで何が起こっているのかを感じたり、外部からの刺激に反応したり、何かを実現するために他とコラボレートしたりはできない。だが、それが変わろうとしている。

人類の最初のイノベーションである石製の手斧は、260 万年前にアフリカで生み出された。ブレークスルーとなったこのイノベーション以来、人々は自然から末広がりのパスを生み出し続けている。テクノロジーと呼ばれるイノベーションにより、並行する現実を作ってきたのだ。

テクノロジーは素晴らしいものであり、人類を生き残らせ繁栄させて、現在のモダンな世界を生み出させた。しかしテクノロジーにより人類はその起源に逆らって働いてきており、テクノロジーのゴールや方法、効果は人間の本質としばしば直交している。

現在、人類はデザインに対してテクノロジー中心の強引なアプローチを採っているが、デザインを生態系のように考える方法が急速に存在感を増している。

自然界では問題に対して実存する最高のソリューションが採用され、それを反復することでデザインが行われる。こうしたアプローチでは従来の道筋を辿り、より優れた成果を斬増的に生み出すことはできるが、我々が本当に求めているのは画期的な成果だ。

自然界のデザインである貝殻

ネクストレベルのコンピューター インテリジェンス
自然と同様、前に進むだけの進化を体験したデザイナーは、関連を持つかもしれない既存のアイデアやデザインの膨大なコーパス (構造化し大規模に集積されたもの) について考える必要がある。

例えば自然と同じように、デザインにおけるチャレンジを解決するのに役立つデザインや回路図、資産やアイデアの全てにアクセスできたとしたら、どうだろう。今やコンピューターの機械学習アルゴリズムは、膨大な数の 3D モデルから固有のパターンを検出でき、人間による方向付けや介入無しに分類を行える。

コンピューターは全ての要素と部品を学習し、それを分類して、互いにどう関係するのかを認識できる。例えば 1 つの歯車が他の歯車や軸、ベアリングとどう相関しているのか、ということだ。そして特定のコンポーネントのサイズに応じた、異なるデザインの様々なオプションを用意し、それが次回のデザインの要素として提供される。

例えばトルクを一点から別の点へ伝送するデバイスをデザインする場合を考えてみよう。コンピューターは、歯車やリンケージ、滑車など幾つものデザイン ソリューションを提示する。現在のトルクの問題に対して歯車が最適なソリューションであれば、コンピューターは様々な歯車の設定を提出する。

コンピューターが問題の解決に対して人間のように働けば、コンピューターは知りうる限りのものを使って最高のソリューションを提供する一方で、自分は達成すべきデザインの意図に集中できる。

ジェネレーティブ デザインによる機器

ジェネレーティブ デザイン = 進化
自然は可能な限り、与えられた環境でパフォーマンスを最適化するソリューションを探求する。人間がデザインを進化させたいなら、コンピューターを単なる製図ツールだと考えるのを止め、さらなる探訪のポータルとして見なければならない。

ジェネレーティブ デザインはゴールから始め、 最高のものが見つかるまでソリューションの順列を、連続するジェネレーション全てにおいて探訪することにより、デザインに対する自然のアプローチを模倣している。

計算に時間がかかりすぎるため、ジェネレーティブ デザインは最近まで理論計算機科学の分野に留まっていた。しかしこうしたアプローチに必要なコンピューティング パワーにアクセス可能なクラウドによって、現在は並行して何百万ものオプションに進化させることが可能。それにより進化が加速し、最初の結果が得られるのと同じ時間で“最高”の結果に到達できるようになった。

重量や表面積、剛性など最適化するパラメーターを見極めることにより、コンピューターは最良のジオメトリをリターンする。デザイナーはそのオプションの中から、例えば美学的な見地から最高のものを選択でき、コンピューターは停止を命じられるまで、そのデザイン作業を継続する。最終的には高度に最適化された結果が得られ、それは伝統的な方法でデザインされた以前のものより美しいだけでなく、より軽量かつ効率的だ。

ジェネレーティブ デザイン 彫刻的ジョイント
アラップの彫刻的ジョイント [提供: ARUP]

今年の夏、技術コンサルタント会社のアラップが WithinLab のジェネレーティブ デザイン ツールを活用して、張力構造の彫刻的ジョイント (sculptural joints for tensile structures) を生み出した。各ジョイント内の力はそれぞれがユニークであり、計算されたデザインそれぞれも最適化されているため、相応してユニークなものになっている。

また NASA エイムズ研究センターMoonExpress はロケット推進装置を月着陸船に取り付ける軽量なブラケットを開発中で、与えられたジオメトリーから素材を除去することで重量を減らすのでなく、計算によって構造を“成長”させる方法を探っている。

モノのコミュニティ
変わりゆく世界に対する現在の反応は計画された退行であり、世界が変わるのに製品が変わらない場合は、古いものを捨てて新しいものを採用する。ではデザインが創造のポイントを超えて生きるとすれば? それなら我々が将来デザインし、作り上げるものは感知、反応、コラボレートの3つのことを行うはずだ。

生きたデザインの最も初歩的な形は、周囲を感知し、データを集める物体だ。スマート メーターやパーソナル フィットネス システム、機器の工業部品は、非常に低価格でどこにでも存在するセンサーの激増により実現した。

しかし、ビッグデータを集めるだけでは不十分であり、センサーからの入力に応じてある種のアクションを行う、“反応”するための物体や環境が必要だ。その一例がレースカーの後ろに付けられたカーボンファイバー (炭素繊維) スポイラーで、湿度を感じるとダウンフォースを増やし、滑りやすいトラック上でのトラクションを改善する。

プログラマブル カーボンファイバー スポイラー
プログラマブル カーボンファイバー スポイラー

モノのインターネットと呼ばれているが、これはモノに関するものではないし、インターネットすら関係ない。経験と価値に関して、テクノロジーが可能とすることに関連したものだ。我々がデザインした最も啓発的なものは、お互いにコラボレートすることで我々に新たな体験を創造するということだ。

都市全体が感知し、反応し、お互いにコラボレートするとき、それは生命を持つ。そうした都市は自然に交通を理解し、その領域内でパターンを活用し、変化を予報して、それ自体がインフラの再デザインを決定する。

モノのインターネットという用語は新興体験への誤った希望を連想させるが、本当に必要なのはモノのコミュニティであり、それは活動的に、かつ目的を持って一緒に働くようデザインされた個々の実在物の集合体だ。

今後、テクノロジーと自然のツイン エンジンは、相互にメリットを与える動力の中に、より絡み合うようになる。

これまで放射性物質の問題にどう対応してきたかを考えてみると、災害のあった場所をクリーンアップする際には、コンクリート内へ遮断するか、別の場所へ埋設するか、あるいはエリア全体を隔離して 1 万年かけて放射能を徐々に減らすかだった。

自然は、即座に異なるアプローチを採る。その好例として、チェルノブイリには放射線の多い環境下で繁殖できるよう進化した菌類が存在する。オートデスクのある研究者は、放射性粒子を捕獲、変換して安全にクリーンアップできるよう放射線養分化菌を再エンジニアリングすることで、自然を加速している。

Lawrence Livermore labs diagram
Lawrence Livermore National Laboratory materials diagram.

また Lawrence Livermore National Laboratory の研究者達は、全く新たな素材を作り上げている。布の歴史では、自然が提供するものと組み替え可能なもののグラフの、対角線上にある素材に制限されてきた。今やその軸を外れて、引っ張ると伸張し、熱を与えると収縮するという、驚くべき属性を持ったものを作り上げることができる。

これは始まりに過ぎない。これから先には、自然の強みをテクノロジーの力で拡張できる、あらゆるテリトリーが存在している。それにより、両方のリミットを超越するものを作り出し、デザインに真の生命を与えることができる。

関連記事

Success!

ご登録ありがとうございました

「創造の未来」のストーリーを紹介中!

日本版ニュースレターの配信登録