変化を媒介: インパクト デザインで変化をもたらす 4 つのプログラム

Designmatters と ArtCenter イラストレーション学科は、国際連合広報局 (UNDPI) と提携し、世界人権宣言 60 周年記念を祝った [提供: Designmatters]

世界各地のデザイナーたちが、より良い世界を実現することへの興味をますます高めている。そして先見の明を持ったデザイン分野の学生たちへポジティブな変化をもたらすための専門知識を提供するよう、多くの教育機関がインパクト デザイン関連のプログラムの提供を始めている。

インパクト デザインは学術的方法論であり、デザインとエンジニアリングを通じて環境的、社会的、経済的に好ましい変化を促進する。現在、こうしたポジティブな影響を世界中にもたらすために必要となる特定のスキルやプロジェクト経験に重点を置いた課程を、米国内外の多くの大学が提供するようになっている。その中でも最も有望なプログラム 4 つを紹介しよう。

オーリン・カレッジ・オブ・エンジニアリングの “Affordable Design and Entrepreneurship (入手可能なデザインと起業家精神)” コース
マサチューセッツ州ニーダムで提供されているオーリンの Affordable Design and Entrepreneurship (ADE) の使命は、低所得層や資源に乏しい環境の福祉にデザインと起業家精神を活用するリーダーとなるよう、学生を教育することにある。

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Affordable Design and Entrepreneurship 学科の学生たちは、開発途上国のコミュニティと提携して社会的、経済的問題を解決する持続可能なビジネスの創出を行っている [提供: オーリン・カレッジ・オブ・エンジニアリング]

このプロジェクトは 1 – 2 学期にわたって開講され、ガーナ女性の収入を生み出す、マサチューセッツ州の食糧不足を縮小する、ミシシッピ州の若者のエンパワーメントを促進する、インドの幼児や児童、生徒の実践的教育を支援する、タンザニアで気候変動の回復を目指して努力するなど、現地訪問と価値あるプロジェクトによるインターンシップの機会が与えられる。

オーリンでデザインと機械工学を教えるベンジャミン・リンダー教授は「ここの学生たちは世界に変革をもたらすことを強く望み、貧困に苦しむ人々の生活の向上に取り組みたいという意欲を持っていますが、必ずしもそうした活動を行うスキルを有しているわけではありません」と言う。「ADE プログラムでは、貧困について理解し、ソーシャル ベンチャーを立ち上げ、製品やサービスの提供が非常に困難なだけでなく自分たちの生活体験とは全く異なる状況で活動することの意味を、身をもって認識することができます」。

カリフォルニア大学バークレー校 Blum Center for Developing Economies (開発途上経済研究ブラム センター)
Blum Center は、貧困緩和と社会的影響に狙いを定めた学際的問題解決に可能性を与え、「世界有数の公立大学は、最も緊急性が高く重要な社会の問題に取り組むための力となるべきである、という考えに立って活動する」と謳っている。2006 年の設立以来、Blum Center の使命は人材を育成し、アイデアを支援して解決策を可能にすることにある。

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Blum Center は送電線網外の診療所に緊急医療用の太陽光エネルギーを配備できる Solar Suitcase を開発する We Care Solar を支援している [提供: 開発途上経済研究ブラム・センター]

Blum Center のエグゼクティブ ディレクターであるメリーアン・マコーミック氏は「今日の最大の課題は、考える限りのあらゆる分野で専門知識とコラボレーションが必要とされる点にあります」と述べている。「成功に欠かせない条件となるのが、より革新的かつスケーラブルで予測可能なソリューションを可能にするインパクト デザインです」。

Blum Center は Autodesk Foundation (オートデスク基金) の助成を受けて Big Ideas@Berkeley 学生イノベーション コンテストの一貫となる「Hardware for Good」チャレンジをローンチ。開発工学課程の学生向けに、新たなプロジェクト学習の手段をスタートさせた。

アートセンター・カレッジ・オブ・デザインの Designmatters
Designmatters はカリフォルニア州パサデナのアートセンター・カレッジ・オブ・デザインの専攻課程であり、「ダイナミックで起業家的、実験的なアプローチをデザイン教育にもたらす」ものだ。そのプログラムは、学生と皆のためのよりよい未来を目指す公共および民間の団体との、戦略的かつ革新的なコラボレーションのハブとして機能している。

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CellScope を扱う Blum Center の学生たち。CellScope は、患者のサンプル画像を取り込み、そのデータを臨床施設にワイヤレス転送するモバイルベースのデバイス [提供: 開発途上経済研究ブラム・センター]

Designmatters は学位は授与しないが、選択コース、フェローシップ プログラム、学部向け重点研究領域などを運営する。Designmatters は社会的起業家精神、公共政策、国際保健、持続可能開発を 4 本の柱としている。

Designmatters 学部のマリアナ・アマトゥーロ副部長は、「Designmatters は、より良い変化を目指して世界を見つめる機会を私たちに与えてくれます」と語っている。「アーティストとデザイナーの役割を再定義し、社会的変革と革新のための触媒へと拡大させることを目指しています」。

スリシティ・インスティテュート・オブ・アート・デザイン & テクノロジーの Impact Edge

スリシティ (Srishti) は、登録者数ではインド最大のデザイン・スクールだ。インド・バンガロールに位置するこの学校は「学習者のコミュニティ」として組織されており、業界経験を有する教授陣が集結して、その知識を学生と共有している。

esignmatters の学生たちは、チリ・サンティアゴで小児科治療向けの革新的な対話型環境をデザインした
Designmatters の学生たちは、チリ・サンティアゴで小児科治療向けの革新的な対話型環境をデザインした [提供: Designmatters]

Impact Edge プログラムは、デザイン主導の解決策により「不快な問題」を解決するビジネス戦略やデザイン思考、テクノロジー、資金の集合に取り組んでいる。また、この学校の Creative Manufacturing プログラムの背景となるカリキュラムと方法論も構築している。

スリシティのデザイン学部長であるジェイコブ・マシュー氏は、こうしたインパクト デザインに向かう動きは、学習について考える新たな手法を反映していると言う。「大学制度が、学部生や修士生、博士生という従来の消費者としての階層ではなく、学習者の生涯価値に目を向け始めるにつれて、デザインの各分野間や、学生と仕事を持つプロフェッショナルの間の境界が消滅し、統合的な学習システムへとつながっていくでしょう」。

マシュー氏は「このビジネス知識と学際的柔軟性という組み合わせを通じて、デザイナーたちは、自分たちが起業家的な方法で自己管理組織を促進して構築するという独自のポジションにいることに気付くようになるでしょう」と続ける。「ただし、彼らは次の 4 つの点に照らしてこれらを行うよう訓練される必要があります。それは社会的公正、文化的資本、環境維持、そして経済的実行可能性です」。

インド・ハリヤナ州の地元職人と連携する Impact Edge の学生たち
インド・ハリヤナ州の地元職人と連携する Impact Edge の学生たち [提供: スリシティ・インスティテュート・オブ・アート・デザイン・アンド・テクノロジー Impact Edge]

これらの例は全て、デザインと社会的利益を効果的に結び付けることにより、パワフルな結果が得られることを示している。これこそが、Autodesk Foundation がこうしたプログラムに対して助成を行い、次世代のデザイナーに力を与え続けていきたいと考える理由なのだ。

Autodesk Foundation エグゼクティブ ディレクターのジョー・スペイシャーは「私たちが、より多くの人々がデザインの力を活用して今日の大きな課題に取り組むようになることを望むのであれば、未来のデザイナーとエンジニアに対して、それを行うためのスキル、知識、ツールを授ける必要があります」と述べている。

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