BIM の推進に対する偏った考え方をシフトする 3 つの方法

by Zach Mortice
- 2018年10月9日
Naku Zama リゾート メキシコ トゥルム
メキシコのトゥルムに建設中の Naku Zama リゾートなどのプロジェクトに関わってきた建築家のエディ・スリム氏は、建築事務所に BIM の活用方法を紹介している [提供: Eddy Slim]

失敗や変化、批判を怖れる気持ちは、自己保存の原始衝動同様、人間の脳に直結している。だが柔軟性や透明性を求めて変化を受け入れることで、人類は素晴らしいことを達成可能なのだ。

エディ・スリム氏は、そうした怖れに直面する気持ちに精通している。建築家として訓練を受けた氏は、メキシコシティの印象的なソウヤマ美術館 (Museo Soumaya) など、メキシコの注目を集める文化的な建物の設計に BIM を活用してきた。このところは、自身のキャリアと自らの会社 ConstruBIM を、設計事務所や建設会社、政府機関における BIM の推進と、ディスラプションに付きまとう変化や不安への対処に捧げている。

スリム氏は、BIM の導入は技術的な熟練度だけの問題ではないと述べている。職場風土における感情的な、恐怖ともなりうる変化を管理することでもあり、専門のセラピストの仕事とそれほど変わらないと言うのだ。BIM をワークフローに不可欠なものするため、以下で紹介する 3 つの TIPS を適用してみよう。

A model of an office center in Mexico City designed by Eddie Slim.
スリム氏のモデルの一例: メキシコシティの未来のオフィス [提供: Eddy Slim]

1. 早い段階から皆を参加させ、BIM の導入は後から

BIM の採用を成功させるための最も重要な要因は、従来の部門の壁を超えてコラボレーションを行おういう、チームの熱意だ。スリム氏は早い段階で、協働に対するスタッフの熱意を確認する。組織の上層部に紹介されたら、それ以外の全員を、できるだけ会話に参加させよう (スリム氏はその会社の上層部に、3 度目のミーティングまでにスタッフ全員に会う許可を得る)。「内部からの抵抗があったら成功させられないので、話す必要があります」と、スリム氏。

経営トップ陣が、スタッフの働き方を完全に変えることに合意していたとしても、その変更を実際に行うべき人たちは、そうでない場合もある。スタッフそれぞれが、BIM の採用に際して何らかの役割を果たすように注意深く特定することは、これから起こる移行の説明責任を明確にするための、優れた方法となる。「ここで目指すのは、役割を特定し、スタッフそれぞれがどのパートを担当するのかを説明して、それが他の人にどれほど価値のあることで、どうコラボレートして一緒に作業できるのかを理解してもらうことです」と、スリム氏。

新しいプロジェクトは、遅れが発生したり、キャンセルされたりすることも多い。チームが組織され、BIM の準備ができたら、既に開始されているプロジェクトのプロセスを推進し始めるのがベストだ。中盤まで進んでいるプロジェクトであれば、設計者もある程度は慣れているため、新たなプロセスに対する不安の先にあるものを見通して、従来の方法では苦労してきた問題を BIM がどう解決するかを予測できる。BIM への移行は、従来の設計プロセスに存在していた弱点を尋ね、それを BIM がどう軽減するかを説明するところから始めてもいいだろう。

メキシコ・エカテペック 低所得者向け住宅 モデル
メキシコ・エカテペックの 1,001 戸からなるベンダーバル低所得者向け団地の公共スペースの最適化に BIM が活躍 [提供: Eddy Slim]

2. 語るな、描写せよ

BIM の採用に対する抵抗に直面した際には、プレゼンテーションや約束では解決しないこともある。その場合は、BIM の入門者たちに少し苦労してもらって、BIM のメリットをデモしてみよう。

新たなクライアントである ConstruBIM は、事務所を統合 BIM 規格でまとめようとしたが、スリム氏は「彼らはそのメリットを感じていませんでした」と言う。そこでしばらくの間、従来通りに、BIM を 3D ビジュアライゼーションだけで使用させた。マージされたモデルは、もちろん役に立たない。「情報や名前を検索したり、ファミリを構築できたりするようなパラメーターは見つかりませんでした」と、スリム氏。ほとんど無駄な努力だったのだ。

「一定の規則に基づいたモデルがあれば、数量の計算や情報の抽出や、それらをモデルへ戻すこと、そうした情報を 4D や5D のビジュアライゼーションとコーディネートしたりすることが、いかに簡単かを示しました」と、スリム氏。「そのミーティングで、皆の顔が変わりました。ひとつの基準を持つことの付加価値を理解できたからです」。

A model of one of Eddy Slim's residential structures.
ベンダバールの住宅構造のモデル [提供: Eddy Slim]

3. 聞いて、不安を解消

スリム氏は、会社への BIM の導入をマネージメントすることは「まさに駆け引き」であり、主にディスラプションに関する駆け引きだと述べている。そして、プロの縄張りを喪失することの怖れ、より効率的なテクノロジーにより職が奪われることへの怖れ、そして未知のものに対する怖れを、どう受け流すかについて取り組む。BIM を定着させるのに重要なのは、そうした心配への先を読んだ対応なのだ。

皆に理解させるべきことは、BIM は労働費でなく時間的な非効率を削減することで、最も効果的にコストを抑えられる、という部分だ。「BIM 推進の検討が、労働力削減の検討だと誤解されることもあります」と、スリム氏。「そう考えてしまうのは理解できますが、結論が間違っています。BIM による節約は現場に反映され、建設がより効率的で、うまく調整されたものになります。BIM によって、より多くのデータへアクセス可能となり、材料の無駄や時間をかけた失敗を回避できるのです」。

トレーニングに関しては、その事務所における BIM 活用の管理をリードするための、最高のスタッフを選出することが重要だ。トップレベルのマネージャーに、新たなシステム運用の役割を果たす時間や技術的な能力が無く、より下の者が BIM マネージャーに最適な場合もある。

「BIM活用は、効率やスピード、より多くの情報の活用による建設前段階での問題分析や解決などにメリットがあると理解することが重要です」と、スリム氏。「つまり、強くて大きなチームが必要なことに変わりはないが、建設において減らすことができるのは、労働力でなく材料の無駄だということなのです」。

重要なのは、BIM を巨大なビルなど、大規模プロジェクトのより高度なコントロールを提供するものとして提示することだ。このアプローチは、時間を節約する効率性をオフセットする、より多くの労働投入量が必要となり、より優れたクライアント サービスを提供することになる。より多くの変数をトラッキングし、トラッキングの方法が増えれば、モデルないにより多くの労働が投資され、そこから誰もをより多くを生み出せるようになる。

「こうした方法で行うことが、役に立つのです」と、スリム氏。「皆が BIM を推進したがるようになります」。これもまた、不安を解消する BIM の提示方法となる。設計者に対する新たなチャレンジ (や援助) ではなく、クライアントへのメリットとして。

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