産業用アディティブ マニュファクチャリング: 2017 年注目のトレンド 5

by Duann Scott
- 2017年2月3日
産業用アディティブ マニュファクチャリング トレンド XJet
XJet マシンの内部 [提供: XJet]

3D プリントはコンシューマ分野で大きな期待が寄せられていたが、その期待は 2016 年に急降下し、主要メーカー何社かは影響を受けた。これは、サプライズだったのだろうか? 結局のところ、アディティブ マニュファクチャリング (積層造形) はプロフェッショナルな製造技術だ。3D モデルを作ることができなければ、3D 製品をプリントすることもできない。そして産業用アディティブ マニュファクチャリングが活躍するのは、まさに今年なのだ。

このテクノロジーは、広い意味での製造業界で人気を得るのに少し時間がかかっているが、その状況は 2016 年における金属アディティブ マニュファクチャリングの増加と、金属プリントに対する GE の大規模な投資により変わり始めている。非常にゆっくりとではあるが、アディティブ マニュファクチャリングは他の製造技術と同様の役割を果たし始めている。つまり総合的な製造ラインの一部となりつつあるのだ。他の製造技術と同様、多数の企業との連動がようやく実現し、ソフトウェアや材料、マシン本体も、より豊富な選択肢が得られるようになっている。

2017 年は、2016 年に起こった大きな進歩を足場に、さらに躍進する態勢が整っていると言える。ここでは 2017 年に目撃することになるであろう、産業用アディティブ マニュファクチャリングの 5 つのトレンドを紹介しよう。

産業用 アディティブ マニュファクチャリング トレンド concept laser
自動化され、連動した連続生産を可能とし、Concept Laser の「AM Factory of Tomorrow (明日のアディティブ マニュファクチャリング工場)」ビジョンの一部となる新しい金属プリンティング マシン [提供: Concept Laser]

1. 産業化の進展
産業用アディティブ マニュファクチャリングは、プロトタイプから製造へと転換のときを迎えている。これは産業化の高まりの兆候だ。この数年はプロトタイピング ツールに関心が集まっていたが、メーカーが製造環境へと移行するにつれ、より効率的で信頼性の高いプロセスが必要とされる。プロトタイプがうまく機能しないなら、もう一度プリントすればいい。だが製造パーツの生産工程に不具合があれば、それは大きな問題となる。企業各社はいまや、工場にせいぜい 3 台以内のアディティブ マニュファクチャリング マシンを置くのでなく、10 – 100 台をインストールするというレベルなのだ。

Additive IndustriesEOSConcept Laser (先日 GE が買収) など大手企業の何社かは、マシン間で動作し、製造ライン内のエリアに応じて機能を切り替える自動化システム (つまりロボット) を開発している。こうした機能の一部を自動化し、危険なエリアから人間が排除されることで、製造プロセスの再現性と工業化が高められる。

再現可能なプロセスについて、企業を例に挙げて考えてみよう。例えばミシュランは、年間 100 万個近くものタイヤ用金型をプリントしている。タイヤそのものでなく、最終製品の実現に役立つコンポーネントをプリントしているのだ。今年は、製品の製造に必要な何かを 3D プリントで製造するアプローチが、さらに増加するだろう。また、産業化を示す最後の要素として、業界内で統合が進んでいることが挙げられる。その重要な部分を占めるのが、ここ数年の GE の動向で、業界による本格的な受容の兆候を示している。

産業用 アディティブ マニュファクチャリング Additive Industries
金属プリンターとしては最大級の Additive Industries 製産業用 3D 金属プリント システム MetalFAB1 [提供: Additive Industries]

2. マルチマテリアル、特定用途向け材料、セラミック
企業各社は、2016 年の金属プリント装置への大きな転換を足場に、材料の柔軟性を高めるべく技術の革新を続けている。例えば XJet は、レーザーを使って金属粉末を溶かすのではなく、液体中に金属の粒子を懸濁 (ジェッティング) させる技術を用いている。こうすることで材料特性が変化し、より微細な粒状構造が得られるため、マルチマテリアル金属のプリントにより大きな可能性が提示される。これは、従来とは全く異なる金属 3D プリントのアプローチであり、ジェネレーティブ デザインにとっても恵みとなるかもしれない。ナノ粒子のジェッティング プロセスにより、より複雑な内部構造や支持物をプリントできるようになるからだ。

XJet が金属で行っていることに、Inkbit という企業はポリマーを用いている。Inkbit の射出成形システムは導電インクを使用し、高解像度で優れた材料特性を有する、フルカラーのポリマー プリントを行う。これは機能性ポリマー製部品の作成だけでなく、高価値を持つエンジニアリング ポリマーやパフォーマンス ポリマーに対する、新たな関心をも呼び覚ます。高度なエンジニアリング プラスチックが低価格、高性能な用途向けのソリューションとなる自動車産業においては、このテクノロジーは特に有益である可能性がある。

これらと同時に、特定用途向けの材料も盛り上がりを見せている。メーカーに設計上の問題があった場合、従来はその解決策として、特定の部品向けにカスタマイズした材料調合を開発する手段があった (例えばナイキは数千種のカスタム プラスチックを使用している)。アディティブ マニュファクチャリングが登場するまで、メーカーは既製の材料から選択するしかなかった。だが現在は GM や BMW などの大企業がアディティブ マニュファクチャリング用の特別な製法をリクエストするようになっており、この課題に材料メーカーも挑戦している。

またセラミックもアディティブ マニュファクチャリングの世界で存在感を強めており、金型インサートや機械の精密部品の開発における次の波となりそうだ。

産業用 アディティブ マニュファクチャリング トレンド XJet セラミック
XJet はセラミクス プリンティングに関する調査を行っている [提供: XJet]

3. アディティブ マニュファクチャリングのツールへの広範な応用
製造業においては、テクノロジーの採用は製品ライフサイクルで決定される。自動車、航空宇宙、重機などアクティブなアディティブ マニュファクチャリングの業界では、製品ライフサイクルは 3 – 10 年、ときには 20 年に及ぶこともある。だが、この業界が車 1 台を丸ごとプリントすることからスタートすることはない。例えばツールなどの分野から着手できるからだ。つまり、3 年後 (最初の製品ライフサイクル) に発表される車では、アディティブ マニュファクチャリングで 2 – 3 のパーツを製造。その後、今後 10 年のうちに登場する第二世代では、その 1/3 に積層造形パーツが含まれるようになる。自動車メーカーは、それまでにアディティブ マニュファクチャリング技術を十分に検証し、安全かつ効果的に使用する方法を理解しているだろう。

GE は Autodesk University 2016 で、2020 年までに自社製品の 25% がアディティブ マニュファクチャリングの影響を受けるようになるだろうと語った。「影響を受ける」とは興味深い表現だ。これは、製品全体がアディティブ マニュファクチャリング技術を用いて作成されることを意味するのではなく、そのツールに使用されたり、大型製品の中に、より小さな 3D プリント製部品が含まれたりすることを意味している。ツールと金型の業界には注目しておこう。

4. 小型で複雑かつ高価なアディティブ マニュファクチャリング製品
アディティブ マニュファクチャリング技術は、ツールへ幅広く適用することで、小型で複雑かつ高価な製品を製造できるようになっている。現在は主に医療および歯科分野であり、既に 1,500 万台以上の補聴器が 3D プリントにより製造されている。またマウスピースから冠まで、3D プリント製の歯科用医療器具も普及しつつある。宇宙航空業界や自動車業界も、この小型で複雑かつ高価なアディティブ マニュファクチャリングという流れに続くだろう。

こうした複雑なパーツは、市場におけるアディティブ マニュファクチャリングの価値を示す一方、このテクノロジーの活用に対するメーカーの参入も容易にしている。こうした寿命の短いパーツは、当面は引き続き高額なものとなる。より多くの機械や別の材料が使用可能になれば、価格は降下し始めるだろう。

5. ソフトウェアによる成功
アディティブ マニュファクチャリングの成功には、ハードウェアと材料、ソフトウェアのタイトな連携が不可欠だ。サブトラクティブ プロセス向けに構築された既存のソフトウェアでは、デザイナーやエンジニアがアディティブ マニュファクチャリングのプロセスに最適化することはできない。だが、Autodesk Netfabb など市場に登場しつつある新タイプのソフトウェアは、特定のマシンと材料の組み合わせに対する最適化、シミュレーション、ビルド準備などによってアディティブ マニュファクチャリングのプロセスに対処している。

このソフトウェアはまた、アディティブ マニュファクチャリングに必要となる豊富な情報の変換、追跡に新しいファイル形式を必要とする。3MF ファイル タイプは、現行と未来の両方のアディティブ マニュファクチャリングのマシンの可能性を解き放つという期待を提供している。このファイルタイプは STL ファイルの拡張版であり、STL ファイルは点と三角形を使用したモデル描写を提供するが、3MF はマルチマテリアル階調、格子構造、マシン特性などへのエクステンション、および既存のテクノロジーでは利用不可能な特性を追加する拡張性を提供する。

Additional content provided by Raphael Stargrove, Autodesk Product Management Lead, Additive and Composites

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