フェリックス・ホルスト氏が語るインダストリアル デザインのキャリア の最大活用

by Kimberly Holland
- 2016年8月4日
インダストリアル デザインのキャリア Hack Rod
フェリックス・ホルストのキャリアにおける最新アドベンチャー、Hack Rod のレンダリング

フェリックス・ホルスト氏は、車をデザインしたいという欲求を意識し続けてきた。「子供の頃から芸術が好きでしたが、ものづくりも大好きでした。4 歳からカー デザイナーになりたいと思ってきました」。

Hack Rod の共同設立者であり、以前はマテルの統括責任者を務めていたホルスト氏は、カー デザイナーになるという夢を実現した。だが彼のインダストリアル デザインのキャリアは、それほど単純なものではなかった。

インダストリアル デザインのキャリア ホットウィール フェリックス・ホルスト
フェリックス・ホルスト氏のマテルでの仕事風景 [提供: Felix Holst]

別ルートが功を奏することもある
ホルスト氏のスタートは、十分に普通なものだった。教師のアドバイスに従い、インダストリアル デザインの学位取得を目指し、その後カー デザインで修士号を取るつもりでいた。だが運命と玩具メーカーであるマテルのホットウィール (Hot Wheels) が、彼のプランを中断した。「学士号の取得後、修士号の勉強を始める前に 1 年間の休暇を取り、洞察を深めようと半年の短期バイトをやりました。そこですぐに、自分は玩具デザインにとても長けていることに気がついたのです」と、ホルスト氏。「自動車関連の分野で仕事はしていても、自動車デザイナーとしての仕事ではありませんでした」。

とは言え、ホルスト氏はその玩具メーカーでスキルを拡張することができた。「適性を生かせる職業を見つけたのです。純粋に自分のアイデアにフォーカスすることで、より優れたクリエイティブになることができました」と、氏は話す。「あの体験が、ここに到達するまでの経過で、初めての大きな逸脱でした。キャリアのかなり初期の段階で、やりたいと思っていたことが自分にとってベストではないのかもしれない、と気付いたのです」。

だが、ホルスト氏がデザインの仕事を始めて 3 年が経過したときに、マテルは英国オフィスの閉鎖を発表する。社内でいち早く頭角を示していた彼は、失業することとなった。

回り道が新たな発見につながる
氏は米国に移り、管理職としてマテルに再加入することもできたが、自分のもうひとつの芸術的側面である音楽を追求してみたい気持ちに駆られた。彼のバンド Kustombuilt は注目を集めつつあった。そこで 27 歳だったホルスト氏とバンド仲間は、バンドで名を馳せるというミッションに着手した。

インダストリアル デザインのキャリア フェリックス・ホルスト 実物大 ウィール トラック 2012 X Games
フェリックス・ホルスト氏は実物大のホットウィール トラックを 2012 X Games へ持ち込むのに一役買った。

「ロックンロールな生活は楽しかったし、成功までもう一歩というところまで行きました」と、ホルスト氏。「でもこれも、私にとって新たな気付きの機会となりました。人々について、もっと知る必要があることに気がついたのです。その機会を得たことは、その後無一文となり、生活を取り戻す必要があると気付いた際にmp、困難を乗り越えるのに役立ちました」。

キャリアのスランプを収拾すべく、氏はインダストリアル デザインの世界へと戻った。「プロフェッショナルの世界に戻ったとき、自分のインダストリアル デザインのスキルが向上していることに気付きました。それまでとは考え方が大きく変わったためです」と、ホルスト氏。「また、5 年前には備わっていなかっただろうと思われる、人々を理解し管理する能力も身に付いていました。この体験は、登ろうとしている山の頂上だけに重きを置くのではなく、一本道から外れたステップを経ることで、はるかに多くの扉が開かれることもあるということを教えてくれました」。

最高にホットな体験が必ずしも最良の価値を提供するわけではない
ホルスト氏は荷物をまとめ、カリフォルニアへと向かった。マテルに戻り、ホットウィール コレクターズ のデザイン マネージャーという、念願のポジションを得るために。だがアメリカに到着するや否や、マテルから計画変更の連絡が入る。明らかに魅力に劣る、マッチボックス (Matchbox) ミニカーの管理職を引き受けて欲しいと提案してきたのだ。

インダストリアル デザイン キャリア Hack Rod シャーシ
Hack Rod 用に製作されたシャーシ [提供: Felix Holst]

「正直言って、ひどく落ち込みました。マッチボックスは単なる玩具ブランドで、しかも当時はまだかなり小さなブランドでしたから」と、ホルスト氏。「魅惑は突如として消え去り、子供向けのベーシックな玩具デザインという現実世界に連れ戻されたのです」。

だが蓋を開けてみれば、マッチボックスは、より幅広いスキルを学ぶ絶好の機会を提示してくれた。「華やかな巨大ブランドの一部として働く代わりに、生き残りをかけて闘わなければならない小規模ブランドの全体に関わることとなりました」と、氏は話す。「クリエイティブな部分をコントロールすることもあり、マネージャーというよりもディレクターとしての責任を全うするための、優れた訓練の場となりました」。

長い目で見れば、この機会はホルスト氏にとって大きな利益をもたらした。彼はホットウィールとマッチボックスの両方を監督する、マテルのホットウィール部門のデザイン統括責任者に上り詰めた。いつの日か車をデザインしたいと夢見た子供にとって、これは悪くない結果だ。

新しい道は新たな機会をもたらす
氏は今となってみれば、それがカー デザインにおけるキャリアでも、ロック スターになるという挑戦でも、米国に移住することでも、とにかくやってみるという彼の意欲が、訪れる全ての機会にオープンであることを教えてくれたのだろうと話す。「常に謙虚さを忘れず、得た機会に感謝の気持ちを忘れないようにしてきたつもりです」。

industrial design career Hack Rod poster
Hack Rod 公式ポスター [提供:
Felix Holst]

現役のインダストリアル デザイナーや、クリエイティブとしてのキャリアについて漠然と考えている人たちにとって、こういった教訓は彼が提供できる最高のアドバイスなのかもしれない、と氏は話す。「ひとつ確信しているのは、20 代であれ 50 代であれ、ぬるま湯に浸かったような状態から飛び出して、新しい人々と接し、世界の移り変わりを目の当たりにすることは悪いことではないということです」と、ホルスト氏。「可能なのであれば、全てを投げ出してチャンスを手にすることを恐れないことです」。

これはホルスト氏自身が 2015 年の初めにマテルを去り、人工知能とジェネレーティブ デザインを用いて設計された初の車両を製作するデザイン/研究グループ Hack Rod をスタートさせた際に受け入れたものと、全く同じメッセージなのかもしれない。

重要なのは手段でなく行為そのもの
「デザイナーとは、独創的に物事を考えることに熟練した人です」と、ホルスト氏。「紙、3D 空間、デジタル領域のいずれで描画するのかは、それほど重要ではありません。問題解決とクリエイティブな思考が大切なのです。そして、それを世界の仕組みに対する幅広いものの見方と、多岐にわたる領域での経験に組み合わせることができれば、仕事に困ることはないでしょう。キャリアにこだわり過ぎるようになったときにこそ問題が生まれるのです」。

ホルスト氏は、新進デザイナーが氏の生き方から何か得ようとするならば、彼らが最も興味深いと感じることだけでなく、デザインがもたらすあらゆる可能性にオープンであって欲しいと願っている。

「あなたが誰であるか、どういった業界に属しているかは関係ありません。タスクが与えられたのなら、それを受け入れ、楽しんで取りかかることを学び、その技能を磨き、成果を納品するのです」と、ホルスト氏は話す。「デザインの本質は、高級ブランドや見栄えのするキャリアではありません。デザインとは、問題を解決することです。あなたの前に提示された問題が何であるかは重要ではないはずです。優れたデザイナーになりたいと考えるなら、いままで誰も思い付かなかったような解決策を考え出し、自分の能力を示すことのできるその機会を享受するべきです。それがキャリアを積む方法なのです」。

ホルスト氏による Hack Rod の最新情報については インスタグラム ページをご覧ください。

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