プレファブリケーションでインドのインフラのニーズに応える KEF Infra の取り組み

by Zach Mortice
- 2018年6月26日
プリファブリケーション インド KEF Infra Philip Johnson House
わずか 20 日で建設された KEF Infra の Philip Johnson House は、同社のプリファブリケーション工法のショーケースとなっている [提供: KEF Infra]

インド・クリシュナギリ郊外にある KEF Infra One のプレファブリケーション プラントでは、その組み立てラインから住宅やカフェテリア、病院が、そこに設置される既製扉や窓、浴室設備、家具同様に生み出されている。ここは家族団らんのディナーに必要な全ての材料と皿、調理器具を大手スーパーマーケット チェーンで買い揃えるのと同じくらい簡単に、建物を住宅へと変貌させるワンストップ ショップだ。

インドには、インフラの膨大なニーズがある。インドの地方分権化と建設業における手作業への依存度を考慮すれば、これほどのレベルでモジュール建築を融合することは、あらゆる分野で見果てぬ夢に過ぎなかった。KEF Infra によると、単なる四方の壁と屋根を大きく凌駕する家屋を提供する建築キットを組み立てるために、このようにデザインとエンジニアリング、製造を統合した施設は、世界でもここにしかない。

KEF Infra 取締役会長のファイザル・コッティコロン氏は「ベンツのディーラーに足を運んで“自分でキットを組み立てるので、マニュアルをください”と言う人はいないでしょう」と述べる。「ショールームで車を選び、オーダーしたら、すぐに使用できる状態で納車されます。私たちは、それを建物でやろうとしています。建物を製造するビジネスに取り組んでいるのです」。

KEF Infraは、工期を業界標準の半分に短縮することを目指している。また、インド同様にインフラを緊急に必要としている場所は、ほかにもある。コンサルタント会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーは、インドの都市人口は 2030 年までに約 2 億人に膨れ上がり、1.2 兆ドルの設備投資が必要になると推定している (英文資料)。これは商業地区と居住地区を合わせて、毎年シカゴ市全域に相当する面積 (東京 23 区とほぼ同じ) を開発しなければならないことになる。

インフラ インド KEF Infra キャンティーン
2017 年、KEF Infra はインドの労働者階級に手頃な価格で食事を提供する 400 軒以上のキャンティーン セルフサービス式の半簡易食堂)を建設した [提供: KEF Infra]

「インド人全員に居住空間を提供するには、今後 5 年間で最低でも 2,000 万戸の住居が必要です。今後 5 年間に必要となる病院のベッド数は 300 万床。どうすれば、それを実現できるでしょう?」と、コッティコロン氏。「従来の建設手法では実現不可能です」。

クリシュナギリの施設は 4 つのセクションに分かれている。プレキャスト コンクリート、プレファブリケーションのユニットバスとモジュール式空間構造、モジュール式 MEP (機械、電気、配管) システム、家具や室内装飾品用の建具類と外壁、扉用のアルミ グレージングだ。施設全体でオフサイト製造技術が使用され、コンクリートを型枠に流し込み、組立準備が整った状態の構成要素と建築部材を作成している。同社は Revit を使用しており、そのビジネスモデルには BIM が不可欠だ。

大きな注目を集めたコッティコロン氏のプロジェクトに、2017 年にバンガロール近郊で実現した、400 軒を超えるキャンティーン (セルフサービス式の半簡易食堂) がある。このキャンティーンは、一元管理された複数のキッチンで構成されたネットワークからサービスが行われ、インドの労働者階級や貧困層に食事を低価格 (昼食、夕食が約 20 セント) で提供。毎日 20 万人に食事が提供されており、KEF Infra はさらに多くのキャンティーンをカルナータカ州全域に設置することに取り組んでいる。

各キャンティーンにはインディラ・ガンディー元首相の画像が Graphic Concrete を使って壁面にプレントされており、日に 4 軒という猛スピードで建設が進められている。このプロジェクトは、そのデザインと設置も迅速だった。州政府は 8 月中旬までのキャンティーンの設置を公約したが、KEF Infra にアプローチがあったのは 5 月 1 日だ。

インフラ プレファブリケーション プラント KEF Infra
インド・クリシュナギリにある KEF Infra のプレファブリケーション プラント。建物や部材が組立ラインで製造されている [提供: KEF Infra]

コッティコロン氏は以前、工業潤滑油やガス弁を製造する会社をアラブ首長国連邦で設立し、その後売却している。その成功は、生産スケジュールから時間と材料費を大幅に削減するテクノロジーによるものであり、そのガス弁は競合他社の 1/4 の時間で製造できた。KEF Infra でも、こうしたエンジニア的思考が保たれている。KEF Infra は建物をコモディティだと考えているが、コッティコロン氏はこの新たな取り組みを、テクノロジー企業によるものだと捉えていると話している。

だが、その成果物が建造されたインフラなのか、新しい製造テクノロジーなのかはさておき、KEF Infra のモチベーションとなっているのは、壊滅的レベルにあるインドの不均衡を緩和するという社会的義務だ、とコッティコロン氏は話す。彼は生まれ故郷であるインド・ケララ州の公立学校改修のパイロット プロジェクトにより、建設業界における新たな分野へ、自らも認める「社会的起業家」として進出を始めた。「公立学校の状況は極めて悲惨で、十分なトイレがないのです」と、コッティコロン氏。「教室の数も十分でなく、学校には安全に食事できる場所がありません。全てが酷く荒れ果てた状態にあります」。

最初の改修の第一段階は、夏休み中の 95 日間で完了した。プレファブリケーションやモジュールの技術を洗練させることで、KEF Infra は学校やその他のインフラをわずか数週間でデザイン、製造、組立ができるようになった。[英文リリース]

「このモデルをもとに、州は 1,000 校を建設しています」と、コッティコロン氏。「これによって、インフラのデザインと建設、提供を行えるスピードが、私の人生と KEF の歴史における次なる挑戦となると認識しました。同時に、プレファブリケーションという概念が実現した瞬間でもありました。その後、私たちは病院やホテル、住宅にも進出しています」。

インフラ インド プレファブリケーション 低価格住宅
プレファブリケーションによる KEF Infra の低価格住宅は 3 時間以内で組立可能 [提供: KEF Infra]

KEF の建設により昨年竣工したコーリコードのベッド数 500 床の病院は 18 カ月で建設され、その 1 床当たりのコストは米国の標準的な病院の 1/4 だった。さらに注目度の高いプロジェクトも控えている。KEF Infra はインドの大手 IT 企業インフォシスのため、インドのマイソールに世界最大の自立式時計塔を建設する取り組みを行っている。全高 135 m のこの時計塔は、バーミンガム大学の時計塔 Old Joe の高さを 30 m 以上も更新する予定で、完全オフサイトで建設される。

KEF Infra は、住居用建造物や住宅のプレファブリケーション建設にも大規模な投資を行っている。低価格住宅に関しては、KEF Infra は政府より自社のシステムの方が、より高い品質と耐久性を提供できると考えている。KEF Infra は幅広い価格帯の多種多様なモデルを実験中だ (一部のモデルは 3 時間で組立可能)。

そして最もエキサイティングなのは、コッティコロン氏が「Eホーム プロジェクト」と呼ぶプロジェクトかもしれない。これは花束のように、オンラインでデザイン、注文できる住宅だ。「約 50 種類の豊富なデザインから選択できるようになります」と、コッティコロン氏。「平屋も 2 階建てもあり、ベッドルームの数も 2、3、4 とさまざまです。スマートホームに付随するテクノロジーも含まれますが、重要なのは、住居を購入する手立てを個人に提供しているという点、住宅のデザインの建設、提供のプロセス全体を極めて簡単なものにしている点です」。

迅速に実現できるインフラの必要性が切迫しているにもかかわらず、直感的にハイテクのモジュール建築を受け入れる土壌がインドにあるとは言えない。低賃金の肉体労働者が多いこと、製造技術の許容レベルが比較的低いことがその要因だ。だが、KEF Infra がインドへコスト効率に優れたプレファブリケーションを導入できれば、他の地域でも KEF Infra の名が知られるようになるだろう。

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