インフラの未来への投資を変える 3 つのテクノロジー トレンド

世界は、さらに多くのインフラを必要としている。どの予測を見ても、その数値は膨大だ。

中国は 2020 年までに約 50,000 kmもの高速鉄道網を敷設予定だ。インドは都市部居住者の増加を受け、2030 年までに 1 億 6,500 万人を追加収容できる住居を建設する必要がある。そして全世界の電力需要に応えるには、2040 年までにさらに 4,400 ギガワットの発電能力が必要となる。英国の民間調査会社とオックスフォード大経済研究所による報告書「Global Construction 2030」は、世界全体での建設が今後 15 年間で 85% 増加すると予想しているが、それも驚きではない。

各部門の幹部には、この需要にどう応えるかに関して様々な疑問が浮かんでいるに違いないが、恐らく最も根本的な問いは「これら全ての資金は、一体どこからやって来るのか?」ということだろう。

大規模なインフラ投資に対する願望と実際の財源との間にあるギャップは今に始まったことではないが、そうした課題はこの数年のうちに新たな緊急性を持つようになってきた。世界的な金融危機を受けて多くの政府が、社会基盤と経済基盤の供給者という従来の役割を維持することに問題を抱えるようになっている。中央政府も地方自治体も、その債務残高があまりにも多いため、税金を上げたり債務をさらに増加させたりすることで、それをプロジェクトの支払に充当させるという政治的興味は持っていない。

これに呼応して、こういったプロジェクトに資金を提供する民間セクターのポテンシャルが強調されるようになってきた。だが、十分な量の資金提供を誘引できるかどうかは、投資家の警戒が緩和されるかどうかにかかっている。つまり、プロジェクトのリスクとリターンの明確な理解と、長期的インフラ計画の保証とコミットメントが必要だ。ではテクノロジーのトレンドが、民間セクターから主要インフラ プロジェクトへの資金循環をよりスムーズにするのに、どのように役立つのだろうか。その3つの予測を紹介しよう。

1. 建設リスクの抑制
橋やトンネルなど既存のインフラ資産は、人気上昇中の投資クラスだ。国債など、より一般的なオプションから得られる利益が過去最低レベルとなっているこの時代に、魅力的で安定した収入をもたらしてくれる。だが、こうした投資家の強い関心が、必ずしも新たなインフラ プロジェクトにつながるわけではない。建設中のプロジェクトのコストやスケジュールの超過リスク、完成後の資産運用に関する確証がないことは、投資家たちを慎重にさせる理由になり得る。

インフラ 投資

幸運なことに ビルディング インフォメーション モデリング (BIM) が、プロジェクトの効率性と予見可能性を向上させる手段として力量を示しつつある。2012 年の時点で、マグロウヒルの Smart Market Report, The Business Value of BIM for Infrastructure (インフラに対するBIMのビジネス価値) (PDF) は、プロジェクト リスクの低さ、プロジェクト成果の予見可能性の高さについて言及していた。調査対象となった BIM ユーザーの 67% が、BIM でプラスの投資利益率 (ROI) を得たと回答している。投資家が今後、新規インフラ構築プロジェクトに対する資金提供の条件として BIM の採用を要求し始めるようになるのは、ほぼ間違いないだろう。

BIM 以外でも、クラウドでの無限コンピューティングから、リアリティ キャプチャや拡張現実によるデジタル世界と実世界の衝突に至るまで、新たなテクノロジー トレンドにより、施工会社が実際の工事に着手する前にプロジェクト引き渡しまでのあらゆる面を整えられるようになりつつある。その結果、業界は「最良の実践」を行ったプロジェクトを引き渡す時代から、建設計画と性能の間に全くギャップの無い「実現し得る最高の」プロジェクトを引き渡す時代へと向かいつつある。これは建設リスクを段階変化により減少させることになる。

2. 適切なプロジェクトの選択
国家のインフラ成長のストーリーに参加する民間セクターが広範な関与を確保するには、政府が大規模かつ長期的なインフラ計画を策定し、それにコミットすることが必要だ。だがインフラのマスタープランには経済や社会、人口統計、環境など無数の要素の予測と統合が必要となり、その策定は困難を極める。

納税者の税金を投入するという政治色の強い特性に加えて、インフラ計画実施には数十年を要するのに対して、当該政権が関わるのはわずかな期間だという差異もあり、信頼に足るマスタープランを作成するという行為は、後に実現不可能だと証明された古代の「円積問題」をも彷彿とさせる。

インフラ 投資

その結果、今日のインフラ計画はしばしば「コストと資産」に焦点を置いたものとなりがちだ。例えば政府は、ある主要都市内の 2 カ所のハブ間の移動時間を短縮するために、新たな地下鉄システムを提唱するべきだろうか。

将来的にはビッグデータや無限コンピューティング、ゲーミング エンジン、リアリティ キャプチャが潜在的なプロジェクトの評価をシステム オブ システムズ (system-of-systems) の方法で支援するようになり、「コストと資産」から「結果と価値」へ重点が移るようになる。これによりプランナーは「この都市のこの地域で増大する経済成長を支援するインフラとして最適な組み合わせは?」というように、最終目標を念頭に計画策定を開始できるようになる。

その答えの一部は人々を呼び込むための地下鉄網かもしれないし、労働者の移動の必要性を低減するために沿線の各駅にビジネスハブを建設することかもしれない。あるいは自転車専用レーンや憩いの場、コミュニティ施設を設置して、労働者の生活の質を向上することかもしれない。こうした結果と計画の隔たりを縮める能力が投資家に対して、より利益の確実性の高い長期プロジェクトのパイプラインを提供する。

3. 売却、投資、再投資
国のインフラ プロジェクトの相当な割合を、常に政府が負担する必要がある。それは、保安上の理由や政治的な便宜のためであり、また特定のプロジェクトでは民間投資家が求める収益が得られないことが理由になることもある。こうした場合には、既存のインフラ資産を民間に譲渡し、資本を開放してから、その資本を再利用するという選択肢がある。

このプロセスで重要なのは、資産として残された価値がどの程度なのかを的確に確認することだ。その正確な評価には予測解析やリモートセンシング技術 (リアリティ キャプチャなど)、モノのインターネットのセンサーによるフィードバックが役立つ。こういったテクノロジーは、例えば特定の道路で路面にあるくぼみの種類や数、メンテナンスのパターン、車両移動における変化予測の数値化に使用することができる。

それでは、代替融資はどうだろう? 未公開株式や年金基金、政府系ファンドが、グローバルなインフラ資金提供源に取り入れられることが増えている。その一方で、テクノロジーも代替手段を提供するに至っている。そう、クラウドファンディングだ。

インフラ 投資

現在、クラウドファンディングを利用してバンドが新作プロジェクトの資金を得たり、発明家が新しい製品アイデアを実現したりしている。それなら、インフラ資産にクラウドファンディングを利用しない手はない。大規模プロジェクトでは予算も大きくなるが、比較的小さな社会インフラ プロジェクトであればクラウドファンディングが利用できる可能性はある。これはインフラ投資機会の民主化だけでなく、インフラのニーズにおいてコミュニティがより活発な役割を担う、新たな地域主義の時代が到来する可能性を秘めている。

インフラへの投資が十分に行われなければ社会的、経済的な発展が妨げられる。今後のプロジェクトへの資金提供を開放することは、解決すべき課題だ。現在のテクノロジー (特に BIM) には大きな可能性があり、未来のテクノロジー トレンドや、それ以上の存在と成り得るだろう。

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