IPD と BIM、コロケーションで、より多くの階数を実現

by Timothy A. Schuler
- 2016年12月26日
インテグレーテッド プロジェクト デリバリー IPD
Biogen headquarters. Courtesy Peter Vanderwarker.

バイオジェンがマサチューセッツ州ケンブリッジに本社を戻した際、このライフサイエンス企業を R&D ラボとともに再結集する 3 万平米以上もの複合施設がいったい何なのか、そしてそれをどう実現しているのかが注目された。

ケンダル・スクエアのビニー通り 225 番地にあるバイオジェン本社は、SGA がデザイン、Consigli が施工を行った。このバイオジェンのプロジェクトでは、プロジェクト チーム全体の 8 カ月に及びコロケーションを含めて、IPD (インテグレーテッド プロジェクト デリバリー) と呼ばれるプロセスが採用された。こうしたプロジェクトは増加しつつあるものの、まだ絶対数は多くない。

IPD には、プロジェクトの主要チームメンバーによるリアルタイムのコラボレーションと、リスクを分担する契約上の義務が含まれている。これは業界による取り組みであり、「建設プロジェクトにおいては、早い段階からチーム全体が継続的に参加することで大きな恩恵を受けられる」という、このところ広く認められるようになったことを正式化するものだ。

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バイオジェン本社 [提供: Robert Benson]

アマンダ・コルソン・ハーリー氏は 2009 年、「Architect」誌に「建築の実践で大きな違いを生み出す先触れとなるアイデアが、インテグレーテッド プロジェクト デリバリー (IPD) です」と記している(英文)。「IPD は、それを支持する人々にとって、プロジェクト チーム メンバー間の障壁が消失し、よどみなくコミュニケーションが行われて、(BIM テクノロジーの発達により) 衝突や確執が過去のものとなる未来を象徴するものです」。

IPD は有望にもかかわらず、なかなか広まらない。だが、マグロウヒル コンストラクションによる 2014 年 8 月の報告書 (英文) では、「IPD を実践した 1/3 から半数が、コミュニケーションやプロセスの向上、効率や生産性の改善を実現するには最高のシステムだと実感している」という。また、この報告書では「IPD に精通している人のうち 40% が、今後 3 年間で IPD システムの使用が増加すると予想している」とも言及されている。

バイオジェン本社のプロジェクトにおけるチームワーク
マシュー・マイケル氏は、バイオジェン ビル プロジェクトにおいて SGA のプロジェクト マネージャーを務めた人物。彼は、Consigli で BIM グループを率いるアンドリュー・デシェネス氏と同様に、プロジェクトの成功には IPD のアプローチが不可欠だったと述べている。彼らの見積りによると、インテグレーテッド デリバリー モデルとチームが BIM へ大幅に依存したことで、コストにして 2.3 億円以上、最大 147 作業日もの削減に貢献した。

2012 年に完成し、LEED Gold 認証を取得したビニー通りのバイオジェン本社は、MIT から数分のロケーションにある、急成長するバイオテック地区の一画を占めている。この複合施設は、アダプティブ ユースと新規建設が組み合わせられている。既存のレンガ製建造物 2 棟が、30,660 平米にわたるエリアを挟むような形になっており、南側のファサードにはガラス製のカーテン ウォールが、北側には金属製パネルがそれぞれ使用されている。

エレガントかつ最新鋭のビルだが、新旧建造物の相互作用にスポットを当てた 6 番通り沿いのエントランス広場など、この建築のハイライト部分は、チームが協力して取り組まなければ違う形で展開されただろう。広場そのものが、全く存在しなかったかもしれない。

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コロケートの様子 [提供: SGA]

マイケル氏によると、ケンダル・スクエアには高さ制限があり、新規建造物の高さは従来の 5 階建て相当に制限されているが、5 階建てであれば、このプログラムに必要な面積で現場のほぼ全域が占められてしまう。だが高さ制限に収まる形で 6 階建てビルを建設できれば、ビルを再建して、より多くのスペースを公共空間として提供できる。

問題の迅速な解決
これこそ、IPD プロセスの価値が顕著となった箇所だとマイケル氏は話す。建築家たちはAutodesk RevitAutodesk Navisworks を使用し、同席するエンジニアとビルダーからのものも含めて多数のアイデアを検証しながら、チームの各メンバーの意見をリアルタイムに取り入れた。

デシェネス氏によると、質問がある場合、通常は数名に順送りされることになる。それが各人のメールボックスに、それぞれ数日間放置されることも多い。「単純な質問への回答に、何週間もかかることすらあります」と、デシェネス氏。「皆が同じ部屋にいれば後ろを振り返って、悪いけどちょっとこれを見てもらえないかな?と言えば済むのです」。

チームはその後、給排水系統や配管系統、電気系統の各システムを構造フレームの下でなく内部に配置することで各フロアに必要な空間を大幅に削減できる、カスタム製造によるトラス梁システムを考案した。

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バイオジェン本社 [提供: Steve Dunwell]

「トラス梁システム内の限られた空間に全てを収められたことが、プロジェクトの成功に極めて重要な役割を果たしました」と話すマイケル氏は、この BIM モデルと、それを Navisworks を使って共有できることにより、チームが「選択肢を模索し、モデル内での操作が現実に実現可能であるという確信を持つ」ことができるようになったと説明している。

この構造システムは、うまく機能した。バイオジェン本社は 5 階建てでなく 6 階建てとなり、マイケル氏によれば建設中も配管やダクト、配線まで全てが「きっちりと収まった」。この成功を収めたプロジェクトで、パンチ リストからカスタムのチェック リスト、モバイル モデル ビューワーまで、Autodesk BIM 360 Field が幅広く使用された。中でも注目すべきは、チームが各設備の状態を追跡し、関連するチェックリストをリンクさせて、問題を追跡し、運用管理マニュアルと竣工図をリンクさせるのに使用した、10,000 項目に上る設備データベースの作成に BIM 360 Field が役立ったということだ。最終的には成果物として、バイオジェンに提供可能な、バーコード分類された設備を含む堅牢な竣工モデルが得られた。

現在、SGA と Consigli は再び連携して業務を行っている。今後 8 カ月、彼らが同じ場所に集まることはないが、それはある意味、必要ないことだとデシェネス氏は話す。こうした連携によりチームがお互いについて、またそれぞれの業務について学んだことがある種の基盤を築き、その基盤は今でも失われていない。

デシェネス氏は、今後はより頻繁に IPD が導入されるだろうと話す。「さらに IPD を取り入れようという動きが進行中です。全てのプロジェクトで必ず使うわけではありませんが、IPD を理解する人々が増えていることは確かです」と、デシェネス氏。「方法を理解してしまえば、本当に効率的になります」。

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