マイ デザイン マインド: OC Choppers のジェイソン・ポール氏が語るバイク作りの芸術

OCC バイク
ジェイソン・ポール氏 [提供: OC Choppers]

Orange County Choppers のリード デザイナーであるジェイソン・ポール氏は、その職業を尋ねられると「バイクの画を描いて、そこに色を塗っている。まあ、色を塗るのが仕事ということかな」と答える。お分かりの方も多いだろうが、彼は楽しい時間を過ごすには自腹を切ることもためらわない人間だ。

ポール氏は、実際にはずっと複雑なことを行っており、そこには研究開発やコンセプト スケッチ、3D モデリング、デザイン アイデアのリアルなレンダリングなどが含まれる。クライアントの承認を得たデザインの製造準備が整うと、他に類を見ない Orange County Choppers (OCC) のバイクを構成する、独特かつ複雑なコンポーネントの CNC プログラミングと機械加工に取りかかる。

それほどバイクに詳しくなくても、OCC の名を耳にしたことはあるかもしれない。バイク メーカーでありライフスタイル ブランドでもある OCC のカスタムビルド バイクは、リアリティ番組「アメリカンチョッパー」や、メーカー名を冠した CMT の番組「Orange County Choppers」で取り上げられている。OCC のデザインは、氏が説明するように、かなり「独特」なものだ。このメーカーが北京のショールーム開設に合わせてデザインした、3D プリント パーツを用いた全長 3 mの金色の龍に包まれたバイクは、非常に有名だ。

美術学校を卒業後、TV ゲームのアニメーターとしてキャリアをスタートさせた氏にとって、カスタム バイク界への転身は長く残る芸術作品を生み出せる機会に映った。「30 年後にガレージから引っ張り出し、カバーを外して「やっぱり格好いいな」と思える何かを作りたいと思ったんだ」と、ポール氏。「バイクは、まさにそういうものだよ。時代を超越する存在だ。大きくて、クロムめっきが輝いており、大胆かつ独特だ」。

その彼がバイクとオートバイ、芸術、巨大なヘラジカの頭蓋骨、ものづくりから得られる高揚感について語ってくれた。

デザインへの全体的なアプローチを説明していただけますか?
完全なるカオスで、混沌として体系だっておらず、あまり秩序もないね。

スケッチは手書きですか、それとも全てコンピューターで?
手書きだね。私はファインアーティストだ。絵画と描画の畑の出身なので、どのプロジェクトも HB の鉛筆でスタートする。鉛筆は安いほどいいし、気が乗れば木炭の切れ端を使うこともある。それと紙だね。コンセプト スケッチの走り書きで、10 種類くらいのアイデアを一気に吐き出す。それはバイクの半分の場合もあれば、ヘッドライトやフレームだけのこともある。気に入ったものがあったら、そこにフォーカスを当て、その写真を撮っておく。
そこから Photoshop や SketchBook Pro を使って描画を始めて加筆し、簡単に色も加えるんだ。

jason pohl on dragon bike
北京の顧客に送られた龍のバイクにまたがるジェーソン・ポール氏 [提供: Courtesy OC Choppers]

デザインと製造で、特に気に入っているプロセスは?
それはもちろん、始まりの部分だね。初めてのミーティング、初めての握手。多少緊張して、「上手くやれるだろうか」と心配になる。子供の頃のリトルリーグを思い出すよ。皆に見つめられていた、あの時のことが。バッターボックスに立ち、ピッチャーが振りかぶって投球姿勢に入ると、胸騒ぎのような感覚が生まれる。神経が刺激されて、「よし、やるぞ」という気分になるんだ。後は目をつぶって、バットを振り切るだけだ。

では、プロセスで一番気乗りしない箇所は?
プロジェクトが完了して、別れを告げる時だね。これがビジネスであることは、よく分かっている。ローンも残っているし、生活のために稼がなければならない。それに、在庫のバイクだらけになって破産するのは、もちろん嫌だよ。でもバイクが手を離れるとき、それはプロジェクトの完全な終了を意味している。バイクの一部は中国の北京に送られるが、あの龍のバイクを北京に行って再び目にできる機会があるかどうかは分からない。バイクが行ってしまうと、少し寂しくなるよ。全身全霊をかけて生み出したものだからね。

顧客からのバイクに関する要望で、一番クレイジーだったのは?
コロラド州でキャンプファイヤーを囲んでいたハンティング仲間ふたりが、自分たちが運営するクロスボウ メーカーのバイクの前面に巨大なヘラジカの頭蓋骨を取り付けるという、とんでもないアイデアを思い付いた。かなり変わったアイデアで想像しにくいかもしれないが、全長 3 m の大型バイクに、1.8 m のヘラジカの頭蓋骨を取り付けた。機械加工した 13個のアルミ部品を溶接し、滑らかに研磨したものだ。スムーズで最高に素晴らしい外観になったよ。

それは、バイクのエンジニアリングへどのような影響を与えたのでしょう?
いい指摘だね。頭蓋骨と枝角を、単にバイクの上に乗せるという訳にはいかないことは分かっていた。それではステアリングに影響するし、ハンドルが重くなりすぎてしまう。最終的には首の軸を溶接して、ハンドルを回したときに枝角が一緒に回転せず、フレームに固定されるようにした。こうすれば、ウェイトは全てフレームにかかるので、問題を上手く解決できる。このオートバイで、もちろん (モーターサイクル ラリーが開催されるサウスダコタ州の) スタージスとの間を往復可能だ。ただ、途中で鳥やその他の野生動物が引っかかるかもしれないけどね。

それ以外にもデザインや製造でユニークな挑戦をもたらしたバイクはありますか?
ちょうど Autodesk バイクを完成させたところだ。一番気をもんだのは、作成にFusion 360 を使用したことだね。移行には神経をすり減らしたよ。クレイジーなソフトだけど、最高に気に入っているよ。どのみち Orange County Choppers は毎日が完全にカオスだしね。新しいこのソフトウェアで、さらにクリエイティブになれる。ずっと素早く作業が行え、最終的な成果が、よりスピーディに得られるんだ。勇気を出してディープな世界へと飛び込み、新たなことにチャレンジしてみて良かったよ。

OCC での 13 年間でデザインはどう変化していますか?
以前は、例えばトーチを手に持って、手作業で切断していた。それも素晴らしいことだ。実験は今でも大好きだが、より組織立ったものになった。進化しており、それによって、さらに良い製品が生まれている。大きく成長したと言えるね。ここまでにはいろいろなことがあったが、番組が 164 カ国で放送されるようになったおかげで、優れた機械やクールな道具を利用できるようになった。

オートバイのデザインと製造には、今後どのような未来が待ち受けていると思いますか?
(OCC 設立者ポール・タトル・シニア氏と) 私、チームでパーツの製品ラインをスタートさせた。一般購入可能な、ボルト固定のハーレーダビッドソン用パーツを販売予定だ。現在生産中だが、こういう手法での製造は考えたこともなかった。これまでは、全てカスタムメイドだったからね。プロジェクトがスタートしたばかりなので楽しいし、パウダーコートやクロムを外注する方法を学んでいるところだ。パッケージングも、パーツの製造も社内でやるつもりだよ。業界で生き延びる手段を学んでいる。必要なことだからね。

Redshift の「マイ デザイン マインド」シリーズは、各界で活躍するデザイナーによる洞察を紹介しています。

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