カブクがプロセスのイノベーションで実現する、ものづくりの民主化

by Keiko Kusano
- 2017年6月19日
プロセス イノベーション カブク
[提供: カブク]

“ものづくりの民主化へ”をビジョンとして掲げる株式会社カブク(以下カブク)は、従来は大企業にしかできなかったものづくりにも、個人や中小企業が積極的に参加できる世界を目指し、プロセスの面から製造業におけるイノベーションに取り組んでいる。

同社が運営する個人向けものづくり&マーケットプレイスサービス Rinkak (リンカク) は、3D データを保有する個人がサービスを利用して試作を行い、販売するまでのプラットフォーム。アートや雑貨、フィギュアの試作や出品、デジタルものづくり教育の一環としてマインクラフト建築の 3D プリントなどに幅広く利用されている。

スマホ向けゲームアプリ「星のドラゴンクエスト」内でユーザーがカスタマイズしたキャラクターのフィギュアを Rinkak を活用してアプリ上から購入可能

それを一歩進め、企業からのニーズに応える形で 2016 年 10 月に立ち上げられた Kabuku Connect は、世界 30 カ国、約 300 の工場への製造依頼を行うことができる、BtoB の技術購買アウトソーシング仲介サービスだ。同社のインダストリアル・デザイナー、横井康秀氏は「個人向けの Rinkak サービスで、3D データを保有する個人が提携工場の 3D プリンターで試作を行えることを聞きつけた企業から、さらにハイエンドなものを作りたいという依頼を多くいただくようになりました」と語る。

この Kabuku Connect では、Rinkak で行われている 3Dプリンター を使った製造サービスに加え、切削や射出成型、精密鋳造といった従来型の製造方法、さらには塗装などの加飾にまで、対応する製造の領域が広げられている。各プロセスに精通したカブクの製造エンジニアやインダストリアル・デザイナーが最適な仕様・工法をアドバイスしながら、最適と判断された工場で製造が行われ、その納品までを実行。試作や特注品、小ロットでの製造にも向いたシステムであり、また 3D プリンターなどを使ったマスカスタマイゼーションにも対応可能だ。

受発注に使われる Kabuku Connect のクラウドサービスでは、相見積もりや 3D データのチェックなどの自動化も進められており、工場とのやり取りもシステム上のチャットで行うことができるようになっている。

「Rinkak のマーケットプレイスは多くの人に開放していくというスタンスなので、あえて toC レベルのクオリティコントロールにとどめているのですが、BtoB のものづくりとなるからには、きちんとマネジメントしていかなければならないということになり、BtoB 専用のサービスとして Kabuku Connect を立ち上げました」と、横井氏。

企業から Kabuku Connect への依頼には、さまざまな形がある。どんなものを、どれくらいの数量作りたいかが明確に決まっているものだけでなく、アイデアだけはあるが「どんなふうに作ったらいいかわからない」という場合もあるという。状況に応じて、カブクの製造エンジニアが間に入り、クライアントの要望を聞きながら、工場選定のアドバイスを行うこともある。

Kabuku Connect のスタートと前後して行われた本田技研工業株式会社(以下 Honda)との取り組みは、このプロセスのイノベーションを象徴するようなプロジェクトになった。Honda が構想する次世代の一人乗り超小型 EV (マイクロコミューター) を「鳩サブレー」で有名な老舗菓子メーカー豊島屋のリクエストに応じ、同社の配達用車両モデルとしてデザイン カスタマイズするという試みだ。

このモデルは「CEATEC JAPAN 2016」でお披露目を行うことが決まっていた。量産するものではないが、当然デザインクオリティが求められる。製作期間は約 2 カ月という短期間だったため、デザインの精査は Autodesk Fusion 360 で作った 3D データのみで行われた。

豊島屋
豊島屋の本拠地、鎌倉市内での配達に使用することを想定した超小型 EV のモデル (左)。ほぼ全ての外装 (右) が 3D プリンターによって製造。素材にはハイグレードの ABS 樹脂が使われている。 [提供: カブク]

そして各社の同意を取り付けた上で、Kabuku Connect を利用して複数の工場に約20点のパーツの製造を依頼。各工場から仕上がったパーツを車両の骨格の上に組み立て、納期に間に合わせることができたという。各パーツは 3D プリンターで作られ、その中にはかなり大きなものも含まれていたが、仕上がりも従来の製造方法と遜色なく、「3D プリンターの可能性を広げる結果になったと思います」と、横井氏は振り返る。[事例記事を読む]

こうした大規模なプロジェクト以外にも、Kabuku Connect にはさまざまなニーズがある。「ある工場で 1 年前に製造した製品が、その後半年は動きがなかったのに、売り場からのリクエストによって追加で 100 個 作りたいというような急なオーダーが発生することは、製造現場ではよくあります」と、横井氏。「その場合、前回と同じ工場が忙しかったりすると、別の工場を探さないといけないですよね? これまでは個々の企業で探していたわけですが、Kabuku Connect を使えば、その手間が必要なくなります」。

「同じものを別の工場で作った際のクオリティ コントロールもカブクで保証するとなれば、企業の負担はさらに減ります。さらに、PL (製造物責任) はカブクが担保しています」。

こうしたプロセスのイノベーションは、製品を発注する側にも、工場側にもメリットをもたらす。それこそが、ものづくりの未来には欠かせない要素であり、最終的にはユーザーのメリットとなる。「Kabuku Connect は利用する企業側のメリットが大きいことを、お客様のフィードバックからも実感しています。一方で工場側には、お客さんと直接やり取りをしないので、ものづくりに集中できるというメリットもあります」。

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