リアル ライフ: インテリア デザイナー、アリソン・ウルフ氏の目まぐるしく変わるデザイン

インテリア デザイナー リアル ライフ

インテリア デザインは、パントン色見本帳や仕上げ方法に関する談笑と、クライアントとコース料理のランチを楽しむだけの簡単な仕事ではない。Huntsman Architectural Group でシニア アソシエートを務めるアリソン・ウルフ氏が実証する通り、その役割には力量を試される面も多い。

インテリア デザイナーの生活は、クリエイティビティとコラボレーション、カラーだけではない。尋問のスキルを持ち、デザインの決定ひとつひとつに質問を投げ掛けてくる弁護士への対応や、非現実的でてんてこ舞いさせられるスケジュール、ゴール直前での完全な方向転換、さらに開放的で美しいが、同時に鉄壁のセキュリティを確保できる空間というような、相反する目標の実現なども含まれている。

ウルフ氏は、Huntsman で 15 年以上キャリアを積み、ドルビーラボラトリーズやフォーブス、Google、オランダ総領事館、テック系法律事務所 Fenwick & West などのプロジェクトを手がけてきた。

その彼女が、同僚やクライアントとのコラボレーションのプロセスや、異なるシチュエーションで統一感を維持する方法、モチベーションに関する謎の解明について話してくれた。

Tolleson オフィス インテリア デザイン
サンフランシスコの Tolleson オフィスのラウンジ [提供: David Wakely]

これまでのプロジェクトで、特に気に入っているものは?
それは恐らく Tolleson のオフィスでしょう。Tolleson は、企業ブランドに特化しているサンフランシスコの広告代理店です。ジャクソン・スクエアにある、レンガと木材を使用した歴史的建造物の構造を剥き出しにして改修した、素晴らしいプロジェクトでした。Tolleson との仕事で最高だったのは、彼らもクリエイティブ分野のエキスパートであり、仕事のやり方に共通する点がたくさんあったことです。彼らは、ブレインストーミング セッションを行ったり、シャレットを行ったり、色やコンテキストを検討したり、そうしたアイデアをクライアント向けに準備してプレゼンしたりします。彼らのためにデザインを行うことは、ある意味で自分自身のための空間をデザインするようなものでした。

このプロジェクトでは 4 名から構成されるチームで取り組んだそうですね。どのようにコラボレーションを行いましたか?
チームには、デザイン主任と、リード デザイナーである私、そしてベンダーと連携してドラフトを作成し、照明や仕上げの選択の手助けを行うジュニア デザイナーがいました。まず、クライアントと一緒に目標とデザイン コンセプトを練りました。次に、チームで空間計画に取りかかり、3D でその空間を検討。ここでプロジェクト アーキテクトがチームに加わりました。彼は新しいロフトや階段、天窓のディテーリングを手伝い、プロジェクトの建設管理の指揮をとりました。

Huntsman では、メンバーが密接に連携し、プロジェクトがまとまりのあるものになるようにしています。全体的なデザイン コンセプトのディレクションや、仕上げの方向性の設定など、自動的に私のカテゴリへと分類される仕事もあります。また、規制に関する調査や、扉や機械設備のスケジュールなど、建築寄りのタスクもあります。それぞれに役割がありますが、経験と知識には重複する部分も多く、それがチームとしての連携に役立っています。

オランダ総領事館 インテリア デザイン
サンフランシスコのオランダ総領事館のロビー [提供: Sharon Risedorph]

手掛けられたサンフランシスコのオランダ総領事館のプロジェクトは、開放的で広々としたデザインが要求された一方、高いセキュリティ機能が組み込まれていますね。それらを、どう両立させたのですか?
様々なセキュリティ機能が、できるだけ見えないものになるよう最善を尽くしました。防弾ガラスを扱っても、窓枠はすっきりとしたデザインになるようにしています。また、エアロック式の出入口もデザインしました。その用途上、出入口は中が見える形である必要がありますが、セキュリティ機能は壁と床、天井の間に隠されています。空間を広々と感じられるよう、ガラス張りのオフィスとクリアストーリー (採光窓)、カンファレンス ルームには格納式の扉を採用しました。総領事館からの景観は美しく、オフィス内のほぼ全域からその景色を楽しめるようになっています。

クライアントとのコラボレーションのプロセスについてお聞かせください。
まずクライアントを会議室に招き、全員の携帯電話の電源を切って、プロジェクトの目標に焦点を絞ります。クライアントの典型的な日常業務について話を聞き、クライアントの Webサイトや現行のブランディング戦略についても議論します。その後、その空間に足を踏み入れたときの第一印象がどのようなものであるべきかについて話し合います。カジュアルなイメージであるべきか? 洗練された空間であるべきか? それとも、若々しく、楽しく、テクノロジーを感じさせる空間? 彼らが文化上、ビジネス上で競合よりも優れているものが何なのかを明確にしていきます。クライアントのモチベーションとなるものが何かを理解し、そこからクライアントの特徴を反映した空間を作り上げていくのです。

Tolleson オフィス インテリア デザイン
サンフランシスコの Tolleson オフィスのカンファレンス ルーム [提供: David Wakely]

クライアントがマーケティング担当を同席させ、ブランドやイメージの方向性についてコメントさせることもあります。その一方で、「どれにするべきかよく分からないので、カラー パレットはそちらで選択してください」というクライアントもいます。クライアントのためにコーポレート カラーを選べるのは、楽しいですよ。

図面を作成する際、クライアントの空間に含まれる制限要因を検討しますが、私たちはそれを「機会」だととらえるようにしています、そしてクライアントの計画と目標を組み込んだ、幾つかの空間計画を作成します。そのうちのひとつに意見がまとまることが多いですね。そこからデザイン開発のフェーズへと進みます。

仕事で不安になるのはどのような場合ですか?
最大のハードルは、クライアントがプロセスがかなり進んだ段階で方向転換することです。時には、プロジェクトのデザインが完成した後に、クライアントから大きな変更を依頼されることがあります。

変更が遅い段階で行われると、デザイン コンセプトを完全なものに保つのが難しくなることもあります。特に空間計画に大転換が要求される場合はなおさらです。それが、最終的にスケジュールの遅延やコストの増大につながることもあり、デザイン チームが意気消沈する原因ともなります。

感情的になりすぎないよう心がけていますが、それでも気持ちはコントロールできません。心血を注いできたデザインから一歩離れて、「これがクライアントの望みだから」と言わなくてはならないのです。再検討し、困難な状況から有益な何かを得て、自らを奮い立たせるエネルギーをかき集めて、新しい方向に向かって歩みを続ける必要があるのです。精一杯やるしかありません。それに、こうした新たな方向性が、最終的にプロジェクトをより良いものへ変更する機会を提供することもあるのです。

Dutch Consulate interior design
サンフランシスコのオランダ総領事館のエアロック [提供: Sharon Risedorph]

クライアントとの困難な状況を、どうやりくりしてきましたか?
本人は建築家ではないのですが、有名建築家の息子であるクライアントと仕事をしたことがありました。彼はデザイン プロセスへの関与を望みました。それ自体は歓迎でしたが、ある時点で、彼が全てに疑問を投げ掛け、ありとあらゆる決定について詳しい説明を求めていることに気が付きました。

デザイン プロジェクトでは毎日のように微細な決定を大量に行いますが、そのひとつひとつについてクライアントに話を通すのは大仕事です。私に必要なのは彼の信頼を得ることだと悟りました。彼は弁護士でしたので、弁護士のように考えようと努めました。極めて単刀直入に話し、コストの話題も避けることなく、現況とその理由について説明し、私がこの分野のエキスパートであることを彼に対して売り込む必要がありました。10 分で済む話に 1 時間もかけたミーティングもありましたが、数回のミーティングを経て、彼の信頼を得ることができました。私の選択を信頼し、熱心な擁護者となってくれました。「アリソンがオーケーなら、それでいこう」と言ってくれるようになったのです。

Redshift の「リアル ライフ」シリーズは、建築家やエンジニア、施工業者、デザイナー、その他のクリエイター/メイカーの取り組みや成功例、現実について話を聞いています。

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