LEED 認証を受けた世界で最も環境に優しいワイナリー

by Kim O’Connell
- 2017年9月12日
アレクサンダー バレーにある Silver Oak の新施設は、ワイン製造業におけるサステナビリティの新たなスタンダードとなるものだ

2006 年、カリフォルニア州ナパ バレーにある Silver Oak Winery が火災に襲われ、設備と 200 万ドル (約 2.2 億円) 相当のワインが損害を被った。

オーナーは被害を査定し、大きな痛手となる損失を受け入れたが、長年にわたって家族経営を続けてきた Silver Oak にとって、この火災は感情面にも大きな与えた。だが一家はほどなく、この火災が事業を見直し、文字通り灰から不死鳥を蘇らせる機会を提供したのだと考えるようになった。

火災の後、このワイナリーが下した最初の重要な決断は、一刻も早く再建を実現し、そのワイナリーを持続可能なものにすることだった。再設計が行われたナパ郡オークヴィルの施設は、世界で初めて LEED プラチナ認証を取得した醸造ワイナリーとなった。そして今、次なる不死鳥がその後を追いかけている。

Silver Oak の新施設は、ワイン製造業におけるサステナビリティの新たなスタンダードとなるものだ。完成したばかりのワイナリーは、ブドウ栽培が盛んなソノマ郡アレクサンダー バレーにある。この地区は、特に高品質のカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローで有名だ。太陽光エネルギーと LED 照明、浄水システムを採用したこのワイナリーも、LEED プラチナ認証の取得に取り組んでおり、オークヴィルに続く 2 番目のワイナリーになるところだ。プロジェクトはまた、Living Building Challenge 認証プロセスの 7 種類のカテゴリー (「花びら」と呼ばれる) のうち、4 項目 (エネルギー、水、健康と幸福、美しさ) の取得を目指している。

1970 年代初めに合名会社としてスタートした Silver Oak は、2001 年以降はダンカン家の単独経営となった (家長のレイモンド・トゥーミー・ダンカン氏は創業時の共同設立者)。ワイナリーは現在、CEO を務めるデヴィッド・ダンカン氏と、上級副社長のティム・ダンカン氏により運営されている。

「土地の管理とブドウ園の手入れを行い、家族のふるさとを守るために全力を尽くすことは、私にとってごく自然なことです」と、デヴィッド・ダンカン氏。「水資源の保全や農薬の不使用など、サステナビリティについて一般的に考えられている事の全てが、我々の取り組みにぴったりと当てはまります」。

建造物のデザインは Sagan Piechota Architecture が指揮し、Cello & Maudru Construction がゼネコンとしての役割を果たした。サステナビリティと機能性に加えて、Silver Oak にとっては美観も重要だった。配管や通路は均整の取れた心地よさを与える配置であり、施設内では天窓やその他の手法を用いて自然光を増やしている。外壁の羽目板には、85 年物のレッドウッド製のワイン発酵樽が再利用されている。

Silver Oak の新ワイナリー テイスティング ルーム レンダリング画像
Silver Oak の新ワイナリー内にあるテイスティング ルームのレンダリング画像 [提供: Silver Oak]

タスクライト (作業用照明) に関するテクノロジーは、驚くほどの進歩を遂げている。エネルギーの効率化は、従来はワイナリーでは困難であったり桁違いの費用がかかっていたりしたが、今や実現可能となっている。例えば施設内のタスク ライトはすべて LED だが、10 年前であれば、コストは 3 倍はかかっていただろうとダンカン氏は話す。電球の交換はほぼ必要ないため、今後のコストも問題にならない。

「10 年前は、ソーラーパネル費用の回収期間は 7 – 9 年でした」ダンカン氏はこう続ける。「それが今では 3 – 4 年とされています。わずかな期間に、これほどまで進歩したのです」。

ダンカン氏にとって、サステナビリティは何よりもまず、ワインの品質にプラスでなければならない。ワイン製造には大量の水が必要となるため、水資源の保全と再利用は最重要事項だ。Silver Oak のチームは TEP Engineering と連携し、熱エネルギーと CO2 ヒート ポンプを使用して、ワインの温度制御に役立つ温グリコール システムに加えて、施設内や製造システム、再利用水システムにも熱を提供する温水システムを設計した。

TEP の配管設備技術者 (PE/LEED AP) で、AutoCAD の「35 歳未満のデザイナー 35 人」リストに選出されたアンディ・ソウザ氏は「私の知る限り、再利用温水を使用する初のプロジェクトでしたが、ワイン製造施設には理想的です。ワインを 1 ガロン製造するには、一般的に 6 – 14 ガロンの飲用水が必要となるからです」と話している。

「Silver Oak は、樽やタンクの予備洗浄や床掃除に再利用水を使用することで、ワインの製造過程で使用される水の量を削減し、製造に必要な飲用水の使用量をワイン 1 ガロンに対して 2 – 3 ガロンに抑えようと努めています」。

施設内の水管理システムで最も重要なのが、膜分離活性汚泥法 (MBR) だ。これは、一連の沈殿タンクとろ過膜から構成され、処理水 (下水ではない) からワイン製造プロセスで生じる滓を段階的に除去する。これにより、トイレの水洗水など、再利用水をワイナリー内のさまざまな用途で再利用可能。雨水も集められて MBR へ注入される。

「資金も資源です」と、ダンカン氏。「環境保護に膨大な費用がかかるようでは意味がありません」。Revit 内のコンピューター モデリングは、最終的な収益にも役立っている。チームは建設前にコンピューター画面上で問題を特定し、対処することができる。「通常は現場で解決する数々の問題を、コンピューターで解決してきました」と、ダンカン氏。「何十万ドルものコストが節約できたと思います」。

チームは大量の要素を扱うが、BIM 360 Glue を活用することで連携が容易になった。Cello & Maudru のプロダクト エンジニアであるアダム・カッツ氏は「協力会社との大規模な調整会合で使用しました。業務範囲を検討し、それがスケジュールに収まるかどうかを確認するためです」と話す。「また、現場監督と管理者全員に iPad を支給し、360 Glue を使用して現場でモデルをリアルタイムで検証し、組立を確認したり、協力会社との連携に役立てたりしました」。

断熱材としてリサイクル デニムを使用したことも、イノベーティブな取り組みだった。「オフィス空間の断熱材は、すべてリサイクルされたリーバイスのジーンズです。私はほぼリーバイスしか履かないので、なかなか面白いと思いました」と、ダンカン氏。モデリングは、一般的なガラス繊維 (グラスウール) や発泡体と比較した、デニム断熱材のさまざまな寸法特性と R 値 (熱抵抗値) をチームが理解するのに役立った。「ソフトウェアを活用して、さまざまな厚みを計算しました。業界標準とは異なる方法による配置や建設時の組立が、どのような結果をもたらすかを検証したのです」と、カッツ氏。

「私たちの建物は、完成した瞬間に最新のものとは言えなくなります」と、ダンカン氏。「なぜなら、次に同じようなワイン プロジェクトを立ち上げる人は、これを例として学び、より良いものにすることができるからです」。サステナビリティにおける Silver Oak の実績をもとに、より優れた取り組みを行う次のワイナリーは、Silver Oak 自身なのかもしれない。

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