リアル ライフ: Precihole の工作機械デザイン マネージャー、アズハー・カジ氏

by Rich Thomas
- 2017年9月26日
Precihole
Images Courtesy Precihole Sports

工作機械会社 Precihole のウェブサイトで、アズハー・カジ氏は同社を牽引する「次の世代」と紹介されている。共同設立者 A.A.カジ氏の子息である彼は、その家業のデザイン、開発部門へ飛び込む腹づもりだった。だがほどなく、深穴加工ソリューションの世界でインドをリードする Precihole Machine Tools での自身の役割には、機械設計の域をはるかに超える知識が必要だと理解することになる。

工作機械デザイン 深穴加工機械
深穴加工機械 [提供: Precihole Machine Tools]

Precihole Machine Tools は防衛、航空宇宙、石油、医療など、さまざまな産業におけるエンジニアリングのニーズに対応している。カジ氏の入社した当時は、高い離職率と社内におけるマーケティング知識の全般的な欠如が Precihole の前進を妨げていた。そこで氏は勤務時間の終了後、夜を徹して CorelDRAW や Adobe Illustrator などのプログラムのチュートリアルを YouTube で視聴し、独自のパンフレットやその他のマーケティング資料を作成した。

それだけではない。ウェブサイトのデザイン変更が必要となった際には、それを引き受けた。また、見込み客が製品をより良い形で確認できることが必要だと分かれば、説明に役立つビデオを作成できるよう、独学でアニメーション制作を勉強している。「機械設計の一部の領域だけを学ぶことでは満足できなかったんです」と、カジ氏。「3D プリント、VR、AR など新しいテクノロジーを常に探し続けています。それら全てを YouTube で学び、自分の組織に応用しています」。

「石にかじりついてもやり遂げる」というカジ氏のメンタリティとプロセス最適化の情熱が Precihole Machine Tools の注目度を高め、同社が立ち上げた若いベンチャー企業 Precihole Sports を、インドをリードするエアライフル メーカーへと押し上げた。そのカジ氏が両社における自身の多面的な役割を解説し、インド製造業の世界的な注目度を高めるという意欲的な目標を語ってくれた。

Precihole Machine Tools と Precihole Sports での、あなたの役割は似ていますか?
両方の会社でデザインと開発に関わっていますが、事業主である私の役割は特定の部門には限定されません。これまで 3 年間の私の仕事を簡潔に説明するなら、ムダの削減ということになるでしょう。私の活動は全の部門において、付加価値を生み出さない活動を減らすことです。賢明とはいえない活動内容をできるだけ減らし、繰り返しの作業が不要となるよう努めています。

Precihole Sports は 2012 年に事業を開始しました。この新たなベンチャーをスタートさせた際の課題は?
射撃は、インドがオリンピック個人で金メダルを獲得した唯一の競技です。また現在のところ、我々は国際品質のエア ライフルを製造するインド唯一の企業でもあります。

工作機械デザイン スポーツ ライフル
Precihole Sports はインドをリードするエアライフル メーカー [提供: Precihole Sports]

最大の課題は、プロトタイプを製造段階へと進めることです。一部の工程は外注する必要がありますが、高品質の供給業者をインド国内で探すのは非常に困難です。3D ソフトウェアどころか 2D ソフトウェアさえ触ったことのない供給業者と連携しなくてはなりません。彼らは手書きの図面を使って作業しているのです。そこで、彼らを単なる供給業者として扱うことを止めて自分たちの会社の一部と見なし、支援を行うようにしました。例えばパーツの製造には治具が必要なので、それを彼らのために設計しました。弊社の社員がプロセスをチェックし、必要な生産数が得られるようにしています。現在は市場の需要に応えて、1 日あたり 75 丁を余裕を持って製造できています。

Precihole Machine Tools における日々の課題は、どう異なっていますか?
私たちが直面している最大の問題は、米国や欧州では、インド製マシンの信頼度が非常に低いことです。ヨーロッパの取引先に 5 種類のマシンを供給しようとしているところですが、マシンについて説明が最初の課題で、次の課題はインドで高品質のマシンを製造していると相手に納得させることでした。

まず 5 種類全てのマシンの 3D 概念モデルを作成し、そのモデルをアニメーションにして、さまざまなパーツと異なるアセンブリ、それらの機能を解説するビデオを作りました。各ビデオの最後には、製品を製造する様子も含まれています。この 5 本のビデオを取引先に見せた際、技術担当者は静かに座っていました。そして、全てのビデオを見終わると簡潔に言いました。「このビデオで紹介されているものと全く同じマシンが欲しい」と。

あなたの仕事で最も大変なことは?
新しい技術を学ぶことに興味を持った、資質のある人材を確保するのは非常に困難です。大卒の人材は、9 時から 5 時まで働くことにしか重点を置いていません。与えた指示は全てこなしますが、言われたことしかやりません。新しい技術を取り入れようとはしないのです。革新を望み、新しい技術を学びたいと願う人材を得るのは難しいことです。インド出身者は、インドを去り、米国やその他の国で教育を受けて、そこで職を得ることが多いのです。そうした国の方が、より良い収入が得られるからです。

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Precihole Sports の製造プラント [提供: Precihole Sports]

社員のモチベーションを保つために、どのようなことを行っていますか?
社員と個人的な関係を作り出すよう心がけています。小さな組織なので、家族のようなものです。例を挙げると、ある社員が自宅の購入を考えていたことがありました。当初は銀行から融資を受けようと考えたのですが、銀行が請求する貸付利率が非常に高かったのです。そこで会社から融資することを決め、こう伝えました。「利子を支払う必要はありません。まとまったお金が用意できた時点で返済するか、給料から天引きするかのどちらかでかまいません」とね。

事業の今後や製造業一般について、最も胸躍ることとは?
最高の気分になるのは、何かをデザインして、それが実際に機能する様子を目にしたとき、その機能を発揮している様子を見たときですね。仕事から得られる最高の満足感です。取引先が、「まさに欲しいと思っていたものを提供していただいた、むしろそれ以上かもしれない」と言ってくれたときにも、非常に喜びを感じます。現時点では、私たちは高品質の製品を提供するインド唯一のサプライヤーであり、深穴加工機械分野を牽引する存在です。これは Precihole Sports でも同じです。極めて高品質なエア ライフルを製造しているインド唯一の企業です。私たちの究極の目標は、世界のトップ プレーヤーの仲間入りをすることです。インド、そしてインド製工作機械やインド製製品に対する認識を変えることができればと思っています。

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