難しい話し合いのマネジメント: 高速道路プロジェクトをアニメーションで説明して市民の不安を沈静化

Image Composite: Micke Tong

コミュニティ全体に影響する高速道路やその他のインフラ プロジェクトは、不満と緊張を抱えた多数の人々への対処から始まることも多い。

American Structurepoint 統括責任者のキャッシュ・キャンフィールド氏は、「仕事を受け入れてもらうことが、私たちの仕事の一部になっています」と話す。「市職員の立場に配慮しなければなりません。私たちはもちろん、プロジェクトの建設が完了した“後”がどんな風になり、どのように機能するかを利害関係者に理解してほしいと考えています。そして彼らは、プロジェクトを建設している“最中”に、それがどう影響を及ぼすのかを理解したいと考えているでしょう。なかなか難しい注文です」。

American Structurepoint は、これら全てを遂行し、困難を伴う住民との話し合いに対処するため、建設中の全段階におけるアクセスと交通流量を示す、3D レンダリングと段階別の洗練された交通アニメーションを使用している。今後は重要な影響を与えるプロジェクトにおいて、この手法の初期段階での使用を慣例化することを検討中だ。

「従来のプロジェクトでは、弊社のような企業は担当する業務のみを行い、周辺住民への説明は市に任せていました」と、キャンフィールド氏。「そうした状況が変わったのは、良いことだと思います。私たちには、自らの提案を住民に説明する責任があるのですから」。

managing difficult conversations
インディアナ州カーメルにあるキーストーン景観整備道路交差点のプレゼンと実際の交差点を示す 3D アニメーションを短縮して GIF 化したもの

インディアナポリスで最も交通量の多い高速道路の改良工事として 2007 年に実施された Super 70 プロジェクトは、American Structurepoint が住民との意見交換会で 3D モデルを使用した最初の事例となった。「工事中に幾つかの出入口を閉鎖することになり、それはもちろん地元経済に膨大な影響を与えました」と、キャンフィールド氏は説明する。「施工主は、例えば物資の運搬をどのように行うのかなど、非常に基本的で重要な疑問へ丁寧に回答する必要がありました」。

インディアナ州カーメルにある、先日完成したキーストーン景観整備道路のプロジェクトでAmerican Structurepoint は、より高度なモデルと 3D アニメーションを活用した。今となっては米国でも最も環境に優しい高速道路インターチェンジ (英文記事参照) だと絶賛されているが、このプロジェクトは特に説得が困難だった。

American Structurepoint 統括責任者のマイケル・T・マクブライド氏は「カーメルは米国で最もラウンドアバウト (環状交差点) が多い都市ですが、そんなカーメルでも、私たちの提案したデザインは過激だと受け止められました」と話す。「密集度の高いエリアで信号による交差点を立体交差に変更し、本線の高さを下げて、橋を建設するというものでした。交差点自体も変わった外観をしており、長くてピーナッツのような形でした」。

American Structurepoint のチームは、この新しい交差点デザインの成功に自信を持っていた。従来の交差点に比べて 3 分の 1 の面積となり、多数の周辺建造物を維持できる。また、信号機を排することで交通の流れと安全性を向上させ、歩行者と自転車のアクセスも大幅に向上させることが可能だ。だが住民の大多数は交通工学の専門家ではない。キーストーンの複雑な二重環状交差点がどう機能するのかを想像するのは、間違いなく困難だ。

managing difficult conversations
インディアナ州カーメルにあるキーストーン景観整備道路交差点のプレゼンに使用した 3D アニメーションを短縮したもの [提供: American Structurepoint]

州の関与も、この問題にさらなる複雑性を加えていた。「当初、この交差点の施工主はINDOT (インディアナ州運輸省) でした」と、マクブライド氏は説明する。「そして信号を含む計 7 レーンの改良工事を行う計画でした。コミュニティから反対の声が上がったため市長が INDOT と、キーストーン景観整備道路の引き継ぎに関する話し合いをスタートさせたのです」。

American Structurepoint はカーメル市のパートナーとして、デザイン業務をスタートさせるずっと前から、この話し合いに参加することとなった。キーストーンに関する最初の困難な討議は INDOT との間で行われ、市の構想を説明するため、Autodesk 3ds Max を用いてモデルやアニメーションが作成された。「当時、州は環状交差点についてほとんど知らず、少し神経質になっていました」と、マクブライド氏。「交通シミュレーションが、かなり役立ちました。交通の流れをドライバーの視点から見ることで、多くの疑問に答えることができたのです」。話し合いは順調に進み、カーメルと INDOT は、この斬新な景観整備道路の提案の譲渡と実施、資金調達で合意に達した。

このプロジェクトに関するマクブライド氏の考察は、非常に有益なものだ。現在は American Structurepoint で働いている彼は、このプロジェクトに関わった当時はまだカーメル市の技術職員であり、最初のコンセプト提案は彼によるものだった。つまり、マクブライド氏はプロジェクトと 3D 製作で二重に関与していたわけだ。3D は数々の会議で使用され、プロジェクトのライフサイクルの大部分がオンラインで公開された。

「交通シミュレーションを見せると、プレゼン中のざわめきが必ず静まりました。もちろん反対派は常にいましたが、大部分を納得させることができました」と、マクブライド氏。「事業主たちにとって、最大の懸念は工事の進行でした。来年、再来年よりも、次の四半期が心配なのです。彼らの不安に細かく対処する、各建設段階の可視化が必要とされていました」。

managing difficult conversations
左: インディアナ州カーメルにあるキーストーン景観整備道路交差点のプレゼンに使用した 3D アニメーションを短縮したもの。右: 実際に建設された交差点 [提供: American Structurepoint]

プロジェクト進行中の意見交換会で、キャンフィールド氏は、緊張と怒りが消失し、理解と受容に変わっていくのを目の当たりにした。「モデル、特にアニメーションは間違いなく有益でした」と、キャンフィールド氏。「各段階における交通の流れのアニメーションを見せると、皆が静かになり、それに見入りました。そして理解するに従って、皆が頷き出します。部屋の雰囲気が、わずか数分で明るくなりました」。

だが、これはショーのためだけのものではない。キャンフィールド氏は、こうしたた視覚化が、実際のデザインに関する正確な情報に基づいたものであることが重要だと主張する。「キーストーン景観整備道路の完成後、ヘリコプターを使って完了したプロジェクトの写真とビデオ データを集め、プレゼン内容と比較しました。見分けるのが難しいほどでしたよ!」。

関連記事

Success!

ご登録ありがとうございました

「創造の未来」のストーリーを紹介中!

日本版ニュースレターの配信登録