MegaBots が目指す近隣のアリーナでの巨大ロボット対決

by Jeff Walsh
- 2015年7月1日
提供: MegaBots, Inc.

“巨大ロボットが、観客を前に死闘を繰り広げる世界… ”

計画どおりに進めば、このフレーズが映画の予告編やテレビゲームの世界に登場し、各地のアリーナで実際に観戦できるようになる。

それが実現した暁には MegaBots に感謝しよう。

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ペイントボールを発射するプロトタイプの MegaBot ロボット [提供:S.N.ジェイコブソン]

人間が内側からコントロールする戦闘ロボットは『パシフィック・リム』や『リアル・スティール』『マトリックス』といった映画に描かれているが、MegaBots の共同設立者であるマット・オーアライン氏とガイ・キャヴァルキャンタイ氏は、彼らがロボット・バトルを行うこととなったきっかけは、こうした作品の公開より前だと話す。

「中学、高校時代にはテレビゲームに影響を受けました。そこがスタートなので、私たちのロボットは当時のテレビゲームによくあった分厚くて角張った戦闘向きのスタイルで、最近のスマートな巨大ロボットとは対照的です」と、オーアライン氏。

両氏は現在、MegaBots プロジェクトの立ち上げ初期段階にある。MegaBots とは、全長4.6 mのロボット (内部には 2 人組のチームがいる) が、観客の声援を浴びながらソフトボール大のペイントボールを互いに打ち合い、塗料まみれの敗者がロボットから這い出してくるまで死闘を続けるゲームだ。しかし、これが現実のものとなるには、少なくともあと 2 年はかかる。

ここに至るまで、二人ともかなり普通のキャリアを歩んできた。オーアライン氏は、イートン コーポレーションの研究所で働き、建築機器向けの高度油圧制御システム、軍用車両向け油圧式ハイブリッド パワー トレイン、さらにはゴミ収集車の開発に長い時間を費やしてきた。本人の説明によれば「油圧を使用して今までにない方法で駆動する金属製の巨大な物体」を扱うのが彼の仕事だった。

一方、キャヴァルキャンタイ氏は共同設立した Project Hexapod という会社で独立系プロジェクトに取り組んでいる。開発しているのは、100 馬力のフォークリフト エンジンで駆動される、パイロット 2 名を擁する重量 2.7 t の六足ロボットで「見世物的ロボットとしてパレードに参加するために」製作された。Project Hexapod 以前、氏はボストン・ダイナミクス (Google が買収) で、LS3 と呼ばれる重量 545 kg の荷役用四足歩行ロボットの開発に取り組んでいた。

MegaBots 内部 コックピット
MegaBotロボット・コクピット内のガイ・キャヴァルキャンタイ氏 (後) とマット・オーアライン氏 (前) [提供: MegaBots, Inc.]

オーアライン氏は、MegaBots までの道のりはある意味で必然だったと話す。

「私たちは、ロボット工学メーカーでこうしたコントロール システムの開発に従事してきました。ですから、人生において次に何をするかを考える時期が来たとき、「どうやらテクノロジーがやっと追いついて、SF に出てくるロボットやメカを実際に製作できる時代になったようだ。どこまでやれるのかトライしてみてはどうだろう?」と考えたのです」。

オーアライン氏はさらに続ける。「何かクールなものを生み出したくてロボット工学分野の道に進む人はたくさんいますが、結局は自動車会社でトランスミッションの微調整を 40 年続けることになる人がほとんどです。だから私たちは、「誰もが夢見たことをやってやろう」と考えたのです」。

MegaBots のプロトタイプは、コンポーネントに指示を送るために建築機器のベーシックなアクチュエーターとバルブを高性能センサーと組み合わせた経験を元に構築されている。

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コックピットからの眺め [提供:MegaBots, Inc.]

「非常に堅牢で比較的ローテクなコンポーネントに、ハイテクなコンポーネントを組み合わせました」と、オーアライン氏。「ハイエンドのロボット工学で使用されているのと同じソフトウェア パッケージを、建築機器向けのハードウェア コンポーネントに使用しているわけです。ある意味、2 種類の異業種間のマッシュアップですね」。

チームが実際に行っているのは、競技に参加するライバルたちがロボット工学のエキスパートでなくてもクールなロボットの製作に取り組めるようにする技術の開発だ。彼らはは、独自のロボットを製作できるキットをライバルたちに提供できるよう、ロボットの内部構造を調整していくつもりだ。こうすることで各チームは、ロボット工学のスペシャリストにならずとも独自のユニークなロボットの製作にクリエイティビティを注ぎ込めるようになる。

「廃車の部品や農機具、建設車両の部品を使用してさまざまなロボットが製作され、バラエティ豊かなチームが誕生することになるでしょう」と、オーアライン氏。「このキットがあれば、ロボット製作のためにロボット工学の学位を取得する必要はありません」。

競技自体はアクション フィギュアやテレビゲームに似ており、ソフトボール大のペイントボールが当たると特定のアクションが発生し、ロボットに影響を与える。

「ロボットに受けたダメージが計算され、それに従ってダメージの影響がボディに反映されるようになっています」と、キャヴァルキャンタイ氏は話す。「右腕が落ち、左足が取れ…と、ライブアクションのテレビゲームのようなビジュアルになります。ダメージを受けると、煙が出たり、炎にまみれたりして、最後には倒れて動かなくなります」。

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MegaBots チーム [提供:MegaBots, Inc.]

MegaBots のテクノロジーを使用した 4.6 m のロボットの製作に興味を持ったチームは、Autodesk Fusion 360 などクラウドベースのソフトウェアを使用して、キットの主要コンポーネントにかぶさるロボットの外観をデザインできるようになる。「Fusion 360 を使用して、ロボットのスケルトンや外観をデザインできます」。オーアライン氏は、MiniMegaBots コンペで提出されるデザインの受領に Fusion 360 を使用した経験についてこう話す。

「説明は“スターター・キットがこれ、ロボットのフレームワークがこれです。このフレームワーク上でロボットを製作してください”という簡単なものでした」と、オーアライン氏。「MegaBots ゲームをスタートさせるには、このプロセスをスケールアップするだけでいいのです」。

面白いのは、MegaBots が全長 4.6 m の戦闘ロボットだけではなく、ロボット開発をリアルなものへと推進するスポーツ競技や業界まで構築しようとしていることだ。今週、MegaBots は日本の水道橋重工 (同じく巨大ロボットを製作している) に決闘を申し込み、そのバイラルな YouTube ビデオが評判を呼んだ。

「結局のところ、このプロジェクトの最難関項目はハイテクではありません」と、オーアライン氏。ロボット同士の試合でアリーナを観客でいっぱいにするのは、現時点では困難だろう。戦うロボット、ロボットを操縦するパイロット、ロボットを製作するチームの存在が広く知られるようにならなければならない。そのためには、マッチが実際に行われる前に、イベントの骨子が確立されている必要がある。

「アイデアとしては目新しいものではありません」と、キャヴァルキャンタイ氏は話す。「目標とするのは、マッチが実現するまでにチームやロボットについて知ることのできるドキュメンタリーやリアリティ番組が作成され、マッチ自体がこのストーリーの単なる 1 ページとなることです」。

ティーンエイジ ゲーマーの夢を現実化させた巨大ロボットに乗り込み、ソフトボール大のペイントボールで撃ちのめされるというのは、どれほど愉快なことだろう。我慢できずこう尋ねたが、キャヴァルキャンタイ氏は一切のぶれをみせない。

「遊びじゃないんです。試合に負けるとしたら、それが原因でしょう。本来、辛い体験であるべきなんです。ただ、ペイントボールでめちゃめちゃになるロボットやパイロットを観るのは最高に楽しいです」。

戦う巨大ロボットの製作について話を聞きながら、このことについて触れないのは間違っている気がしてならない。そう、映画『ターミネーター』シリーズで、ロボットによる世界の乗っ取りを招いたスカイネットについてだ。だが、キャヴァルキャンタイ氏はこの質問をすばやくシャットダウンした。

「そこまで。インタビューはこれで終了です」。

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