ワシントン D.C. 初のマイクロホテルが魅力的な低価格で顧客を誘引

by Kim O’Connell
- 2016年8月1日
Hotel Hive マイクロホテル
Hotel Hive の客室 [提供: Abdo Development]

ミニバー、ひじ掛け椅子やデスクのことは、もう忘れよう。ワシントン DC に登場した新しい マイクロホテル Hotel Hive の典型的なシングル/ダブル ルームにあるのは、ベッドとサイドテーブル、そしてコンパクトなバスルームのスペース。それだけだ。

今夏のオープンが予定されているこのホテルは、スイートや簡易キッチンなどはさほど重視せず、効率や接続性、手頃感をより重視した新世代のホテルだ。「マイクロホテル」や「ポッド ホテル」などと呼ばれるこうしたホテルは、予算が限られている出張者や、ありふれた客室にこもりきりになるより洒落たパブリック スペースでリラックスしたい旅行者に、コンパクトな部屋を提供する。

マイクロホテル hotel hive 外観
Hotel Hive の外観 [提供: Abdo Development]

旅行者は、最近はニューヨークやサンフランシスコ、東京など極めて地価が高いエリアでは、カプセルスタイルのホテルに宿泊できるようになった。巨大ホテル チェーンのマリオットでさえも、独自の形態である Moxy (モクシー) マイクロホテル で参入を果たしている。マリオットは来年、この形態のホテルをニューオリンズやナッシュビルなど世界各地で多数オープン予定だ。

ホテル業界は実用本位、コンパクト化という昨今のトレンドに追従している。その例は、安上がりなボルトバスを利用する旅行者、ケーブル チャンネルで幾つかの番組が生まれたタイニーハウス ムーブメント、駐車スペースが通常の半分で済む自動車の Smart など枚挙に暇がない。またこれは、都市部においても客室に飾られる大量生産された風景画など退屈なホテル備品を追いやり、現代の旅行者が望む、より地域的な料理や特色を体験することにもつながる。

Hotel Hive を建設している Abdo Development のプロジェクト マネージャー、ジャッド・ウロム氏は「マイクロホテルという概念は、提供する価値が非常に大きく、都市部に短期滞在する観光、ビジネスでの旅行者には特に適しています」と話す。「大抵のシティホテルには必要以上のスペースがあり、それにプレミアムな料金を支払うことになります。便利で優れたロケーションにあり、楽しく手頃な宿泊施設を求めているなら、マイクロホテルはその全てを、従来のホテルの半格で提供できます」。

マイクルホテル hotel hive 上空から眺めたレンダリング
Hotel Hive を上空から眺めたレンダリング [提供: Abdo Development]

年間 2,000 万人の訪問客を迎えるワシントン D.C の盛況なホテル業界に参入する、現在建設中の幾つかのマイクロホテルの中で、その先陣を切るのが Hotel Hive だ。このホテルは、リンカーン記念堂やジョン・F・ケネディ・センターにもほど近いワシントン DC のフォギー ボトム地区にある、歴史的建造物ながらも放置されていたアレン・リー・ホテルを改築している。20 世紀初頭に建てられたと思われる、この 5 階建ての物件を Abdo Development が購入した当時は、オンラインで酷い評価を受けていることで知られていた。「米国で最悪、もしかすると銀河最低のホテル」というのが、その典型的な見出しだ。

Abdo は、そうした評価が好転することを願っている。Hotel Hive は「Buzz More. Spend Less. (もっと話題を。よりリーズナブルに)」をキャッチフレーズに掲げ、全 83 室、部屋面積は 11.6 ~ 23.2 平米だ。より大型の部屋にはデスクとチェア用のスペースもある。宿泊料金は1泊 125 ドルからで、近隣の 200 ~ 300 ドルが提示されるホテルに比べれば格安だ。パブリック スペースに重点が置かれているのは、その他のマイクロホテルと同様。1階にはバーと &pizza レストランが、その他のエリアには戸外パティオと屋上テラスがある。Abdo は、その雰囲気を「洗練されたミニマリズム」としている。

「私たちは、築年数 100 年の現存建造物という制限の範囲内で、全く新しくモダンなマイクロホテルのブランドを作り上げようとしています」と、ウロム氏。「単に物件を手直しするのではありません。使用可能なスペースを最大限に活用して、快適さを犠牲にしたり建物の個性を損なったりすることなく、宿泊客にとっての機能性と価値を極限まで高めようとしています」。

マイクロホテル hotel hive 外観 レンダリング
Hotel Hive の外観 [提供: Abdo Development]

Abdo は、空間的にタイトな独特のホテルスペースを割り振りするにあたって幾つかの課題に直面した。この建物は F 通り N.W. とバージニア大通りが交差する三角形の区画に位置し、建物自体もほぼ三角形で、ビル全体と同じ高さの六角形のタワーが一番端にある。Abdo のチームは建物のモデル化と、この少し風変わりなスペースに設置可能な部屋数の判断に Autodesk AutoCAD ソフトウェアを使用した (元のホテルは 87 室で、その一部ではバスルームが共同となっていた)。

物件は歴史地区にあるため、Abdo が行える外観の変更には限界があったが、開発チームは戸外のダイニング パティオと ADA (障害を持つアメリカ人法) 準拠のスロープ、屋上デッキ、フェンスを追加した。また Abdo は窓や扉、石積、塗装、屋根など建物の正面部分を大幅に修復している。

同時に内部では、建物の一端に新たに非常階段が追加された。六角形の形状も最大限に活用予定だ。メインレベルには、VIP 向けの雰囲気を持った特別ブースが設けられる。また上階はそれぞれ、周辺エリアの景観がほぼ 360 度の視界で楽しめる珍しい部屋となっている。

コンパクトな客室では、特別な埋め合わせの方策が必要だ。全客室にバスルームが備えられているが、スペースを節約できる引き戸やレインシャワー、ミニスプリット型エアコン、収納量が 2 倍となる家具などが活用されている。各客室にはテレビ (と、最近の宿泊客のほとんどがデバイスを持参することに対応できる高速WiFi) が用意され、2 段ベッドを備えた部屋には寝台ごとにテレビが備えられている。

マイクロホテル hotel hive バスルーム 仕上げ
Hotel Hive の客室内バスルームの仕上がり [提供: Abdo Development]

防音効果を高めるため各客室は高度断熱加工が施され、通常のドライウォールと、石こうと吸音ポリマーで出来た QuietRock と呼ばれるドライウォール パネルの両方で裏打ちされている。入室システムは暗号化されており、宿泊客がフロントでチェックイン手続きを行いたくない場合、あるいはプラスチック製キーカードを持ち歩きたくない場合は、宿泊客のスマートフォン上のアプリにシステムを連動させることができる。

また、このホテルは年配の旅行者や家族連れにも柔軟性を提供している。一部の客室には室内扉が設けられ、扉を開放して続き部屋にすることができる。これは、近隣のジョージ・ワシントン大学に通う子供に会いに訪れた親などにも便利だ。「私たちにとって重要なのは、宿泊客に利便性と価値を提供し、滞在中に交流や観光、家族や友人の訪問など、宿泊客が本当にやりたいことを行えるようにすることです」と、ウロム氏は話す。

建築家ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエは、「Less is more. (より少ないことは、より豊かなこと)」という名言を残した。この標語が次世代の旅行者にとっても当てはまるかどうかは、Hotel Hive をはじめ、ワシントン D.C. やその他の数多くの都市でも完成間近のマイクロホテルによって、今後判明することになるだろう。

関連記事